ぼうずコンニャクの食べる魚貝類だけでなく多彩な生物の図鑑です。掲載種は2000種、食用の水産生物の一般的なものは総て網羅。検索法・食べ方を詳しく解説しています。

ウマヅラハギ(Filefish, Leatherfish, Leatherjacket)

学名:Thamnaconus modestus (Gunther,1877)

ウマヅラハギの形態写真

30cm前後になる

  • 魚貝の物知り度 食べ物としての重要度 味の評価度

    ★★★

    知っていたら通人級

    ★★★

    一般的な水産物(流通量は多くも少なくもない)

    ★★★★

    非常に美味
    分類
    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系フグ目カワハギ科ウマヅラハギ属
    外国名
    Filefish, Leatherfish, Leatherjacket
    学名
    Thamnaconus modestus (Gunther,1877)
    漢字・由来
    漢字 馬面剥。
    由来・語源 神奈川県三崎での呼び名。馬のような長い顔の「はげ(カワハギ)」という意味。
    地方名・市場名
    ウマヅラ/山形県酒田市由良漁港、富山県南砺市城端
    カワハギ/富山県南砺市城端
    ギハギ/宮城県石巻
    コングリ/京都府与謝郡伊根町・与謝野町・宮津市
    チューコー、チューカー/鳥取県鳥取市
    チュンチュン、チュッチュ/北海道、青森
    ナガコングリ/京都府与謝郡伊根町・与謝野町・宮津市
    ナガハゲ(長剥)/徳島県阿南市椿泊『椿泊漁業協同組合』、大阪市。ハゲ(剥げ)というのは絨毛(じゅうもう)状に布のように連なった皮とウロコを引っぺがして(剥がして)料理することからくる。大阪でときどき「禿」と言って笑わすのは洒落。カワハギをマルハゲ(丸はげ)、ウマヅラハギをナガハゲ(長はげ)と区別することが多い。
    ナガベコ(長べこ)/熊本県天草のナガベコ(長べこ)は馬が牛になった例。
    ハゲ/大阪市。ハゲ(剥げ)というのは絨毛(じゅうもう)状に布のように連なった皮とウロコを引っぺがして(剥がして)料理することからくる。
    ベトコン/熊本県天草ではベトコン。「べと」は泥質の海底という意味合いではないか? 泥っぽくても海が汚れていてもとれる?
    マガリ/京都府舞鶴市舞鶴魚市場
    メンボ//山口県長門市仙崎
    ■ ウマヅラ、ウマハゲ、オウマサンなどは形態を表したもの。
    ■ ツノギ(角ぎ)は明らかに目の上の非常に長く硬い第一背鰭棘からきている。
    ■ バクチ、バグチ。ともに博打(ばくち)で身ぐるみ剥がれるの意味から。この棘を表現しているものは他の地域にもありそうだ。
    生息域
    海水魚。北
    北海道〜九州の日本海・東シナ海・太平洋沿岸、瀬戸内海、屋久島。渤海、黄海、朝鮮半島、浙江省・福建省、マレーシア。
    生態
    ■ 産卵期は4月から7月。複数回産卵し、19回産卵。1回に7万粒、1産卵期に130万粒排卵する。
    ■ 稚魚は流れ藻で生息し、成長するにつれ浅い岩礁域などに移動する。
    ■ 夏には石灰藻、甲殻類や低生動物を食べ、冬には海藻を主に食べている。プランクトン捕食魚であるが、付着生物や低生生物、環形動物、稚貝、珪藻、紅藻など様々なものを食べる。(釣りなどでは魚肉なども)
    ■ 1歳で18センチ、2歳で22センチ、3歳で25〜26センチ。
    基本情報
    1980年代までは関東では比較的安くてカワハギの代用品的なものであった。これが現在では鮮度さえよければ高級魚となっている。特に大型で肝のふくらんだ秋から冬の活魚は非常に高価である。
    また定置網などで揚がるものは皮を剥いて流通し安いが人気が高い。関東ではスーパーなどにも並んでいる。
    キビレハギのトゲキビレハギとの見分け方
    キビレハギ
    目の上のトゲの前端が瞳の真上にある。また斜めに切れ込む鰓穴が目よりも前方にまで切れ込んでいる。
    また身体の色合いは黄味のある茶色で模様はない。
    ウマヅラハギのトゲキビレハギとの見分け方
    ウマヅラハギ
    目の上のトゲの前端が瞳の真上よりも後ろにある。斜めに切れ込む鰓穴が目の前端よりも後ろまでしか切れ込まない。
    また全体に身体の色合いが黒っぽく、ときに雲状の模様がある。
    水産基本情報
    市場での評価 市場では入荷量の多い魚。多くは皮をむかれた状態で入荷して値段も安いが、活け、もしくは活けじめのものは高級魚。産地では加工品にもなる。
    漁法 定置網、底曳き網、巻き網など
    産地 宮城県、福島県など
    ウマヅラハギの荷ウマヅラハギの荷 皮を剥かれて入荷してくることも多い。
    選び方
    味わい
    旬は秋から春
    鱗と皮が一体化している。鱗はひくのではなく皮と一緒にはぎ取る。骨はあまり硬くはない。
    透明感のある白身で、熱を通すと硬く締まる。肝は非常に美味。
    栄養
    寄生虫
    食べ方・料理法・作り方
    生食(刺身、カルパッチョ、セビチェ)、汁(みそ汁、ちり鍋)、煮る(煮つけ)、揚げる(唐揚げ)、焼く(塩焼き、干もの)
    ウマヅラハギの刺身ウマヅラハギの刺身 肝の大きくなった秋のを刺身にする。皮を剥ぎ水洗い。薄造りにしてゆでた肝を合わせた。活魚なら生の肝でもいい。わさびでもいいが、紅葉下ろし、ねぎ、ポン酢で食べるとまた味わい深い。
    ウマヅラハギのちり鍋ウマヅラハギのちり鍋 水洗いして適宜に切る。湯通しして冷水に落とし滑りや血液などを流す。よく水分を切っておく。本種は鮮度がよければこの行程を省いてもいいが、これで確実にだしが濁るのを防げる。これを昆布だし、酒、塩で味つけした汁で煮ながら食べる。野菜、キノコなどはお好みで。煮ると適度に身が締まり、身に甘みがあってとてもおいしい。
    ウマヅラハギのみそ汁ウマヅラハギのみそ汁 水洗いして適宜に切る。これを水から煮出してみそを溶く。野菜はお好みで。肝を入れると味にこくが出る。実にうま味豊かな汁になり、意外なことにご飯にもよく合う。
    ウマヅラハギの煮つけウマヅラハギの煮つけ 水洗いして適宜に切る。湯通しして冷水に落としてぬめりや血液を流す。よく水分を切っておく。鮮度のいいものはこの行程を省いてもいい。酒、しょうゆ、少量の砂糖で煮る。味つけは「酒、塩」、「酒、みりん、しょうゆ」などお好みで。「酒、塩」の淡泊な味つけは酒に合う。
    ウマヅラハギの唐揚げウマヅラハギの唐揚げ 水洗いして三枚に下ろして、適宜に切り、片栗粉をまぶしてじっくり揚げる。揚げ揚がりに塩コショウ、カレー塩などを振る。表面がかりっと中は鶏肉のように締まる。
    ウマヅラハギの塩焼きウマヅラハギの塩焼き 水洗いして、水分をよくきる。振り塩をて1時間以上置き、じっくりと焼き上げる。淡泊な白身の味が堪能できる。もの足りないと感じたら、オリーブオイルやサルサソースで食べてもいい。
    ウマヅラハギの一夜干しウマヅラハギの一夜干し 水洗いして三枚に下ろしてよく水分を切っておく。これを塩、少量の酒、水の立て塩につけて干し上げる。干し上げることでうま味が強くなり、独特の風味が楽しめる。佳肴である。
    好んで食べる地域・名物料理
    肝たたき 生の肝を叩き(ペースト状にし)、刺身(やや小さめで、ときに拍子木切り)と和える。静岡県伊東市
    干しなすとかわはぎの煮もの 富山湾にはカワハギよりもウマヅラハギの水揚げが多いのではないかと思う。山間部の南砺市城端では単に「かわはぎ」ということが多いようだ。これと保存食である「干しなす」を合わせて煮て食べている。「干しなす」はナスを縦に薄くスライスし、色止めにゆでて干してある。熱湯で一度ゆでて水にさらし水が澄むまで水をなんどか取り替える。「干しなす」は煮汁のなかでさっと煮上げる。[富山県南砺市城端]
    加工品・名産品

    かわはぎ開き干し 「かわはぎ=ウマヅラハギ」であることも多い。開いて干したもので定番的な加工品。身離れがよく、味わい深い。[みなと水産 島根県浜田市]
    うまづらはぎみりん干 小振りのウマヅラハギを甘辛いしょうゆ味をつけて干したもの。[みなと水産 島根県浜田市]
    釣り情報
    関東ではマダイ釣り、「ハナダイ(チダイ)」釣り、カワハギ釣りの代表的な外道。どちらかというと歓迎される外道だ。
    歴史・ことわざ・雑学など
    ■ 干物や珍味などにも加工されて、「カワハギの干物」などとされ売られている。売られていた。
    ■ 静岡県伊豆半島網代などの干物町はウマヅラハギの大量発生によって生まれてとされる。
    ■〈瀬戸内海の沿岸地域では、この魚は刺身として賞味され価格も高いが、一般的には外形、とくに顔つきのまずさ、皮のざらざらしたところが嫌われて食用になっていない。しかし、昭和53、54年(1977-1978)から突如として、日本海、太平洋岸ともに資源が増大し、定置網に大量に入り始めた。中国大陸でも大繁殖している。この魚が大量に入ると、他の魚を傷めたり、網がこすれて破ける等の事故も起こり、まったくの厄介ものだった。……この魚は珍味加工の干ものに適しているので、漁村で土産品として加工利用が広がっている。……現在ではカワハギの名で、珍味加工品として安定した市場を持っている。〉『新顔のさかな』(東京水産大学第10回公開講座編集委員会扁 成山堂書店 1987)
    参考文献・協力
    協力/中山陽一さん(京都市与謝野町)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『新顔のさかな』(東京水産大学第10回公開講座編集委員会扁 成山堂書店)、『魚類学 下』(落合明、田中克 恒星社厚生閣)
  • 主食材として「ウマヅラハギ」を使用したレシピ一覧

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