ヒレグロコショウダイ

ヒレグロコショウダイの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
SL 40cm前後になる。体側に黒い筋があるが腹部にはない。背鰭・尻鰭・尾鰭の縁辺が黒い。体高が低い。
体側に黒い筋があるが腹部にはない。ムスジコショウダイにはある。
珍魚度・珍しさ★★★
がんばって探せば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★
まずくはない
分類
顎口上綱硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目イサキ科コショウダイ属
外国名
Lesson's thicklip
学名
Plectorhinchus lessonii (Cuvier, 1830)
漢字・学名由来

漢字 鰭黒胡椒鯛
由来・語源 各鰭に黒い帯や斑紋があって目立つため。
英名/sweetlips sweetlips は直訳すると甘い唇だが、分厚く唇がやけに目立つから。

Cuvier
バロン・ジョルジュ・レオポルド・クレティアン・フレデリック・ダゴベール・キュヴィエ(Baron Georges Léopold Chrétien Frédéric Dagobert Cuvier 1769-1832)。フランスの分類学者。キュビエとされることが多い。スエーデンのリンネ、フランスのビュフォンの分類体系に解剖学や古生物学などを加味して現在の形の礎を作った巨人のひとり。
地方名・市場名
アナクデー イシクデー ヤナグレー
参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 場所沖縄県南城市知念漁協 
コーコダー コーコダイ
参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所鹿児島県種子島 
ヤーバンクレー
備考「や」は家という意味で根(魚などがつく岩場など)のこと、「ばん」は「番」のことか。根につく魚であるために、「家の番をしている」ようだから。 場所沖縄県石垣島 

概要

生息域

海水魚。浅い岩礁域、サンゴ礁域。
伊豆諸島、小笠原諸島、伊豆半島東岸・西岸、八丈島、和歌山県串本、高知県柏島、(宮崎県日南市油津)、薩摩半島西岸、屋久島、琉球列島、南大東島、尖閣諸島。
台湾、東沙諸島、西沙諸島、南沙諸島、インド-西太平洋、パラオ諸島、サモア諸島。

生態

基本情報

主に屋久島から琉球列島、小笠原諸島などにいる小型のコショウダイ属の魚、
沿岸の浅い岩礁域にいてときどき定置網などに入る。
磯臭い個体があるので好んで利用している地域は少ないかも。
珍魚度 国内全体で考えると明らかに珍魚だ。ただ鹿児島県島嶼部以南で探せば手に入る。

水産基本情報

市場での評価 関東には来ない。産地でも量的に非常に少ないと思われる。安い。
漁法 定置網
産地 沖縄県、宮崎県

選び方・食べ方・その他

選び方

味わい

旬は夏だと思われるが、沖縄などでのことは不明。
鱗は細かいが硬くやや取りにくい。皮は厚くて丈夫。骨はやや硬い。
血合いが美しい少し赤みがかった透明感のある白身。煮たり焼いたりしても硬く締まらない。
手に入れた個体には磯臭みが感じられた。これがこの個体特有のものなのかはわからない。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

ヒレグロコショウダイの料理法・レシピ・食べ方/生食(刺身)、焼く(塩焼き)、煮る(煮つけ)
ヒレグロコショウダイの刺身 水洗いして三枚に下ろして、腹骨をすく。血合い部分を切り取り皮を引き刺身状に切る。血合いが赤く、身色も赤みがかる。鮮度がいいもののふんわりと柔らかく、甘味がある。残念なのは独特の磯臭みが感じられたこと。この臭みが本種の本来の味なのかは不明。


ヒレグロコショウダイの塩焼き イサキの塩焼きがおいしいように、同科である本種もいいはずだと思って焼いてみた。小型でも体高があるので切り身にして骨つきの方を適当に切り、振り塩をして1時間程度寝かせる。これをじっくり焼き上げる。まずくはないが後に磯臭みが感じられる。
ヒレグロコショウダイの煮つけ 30cmほどの大きさ1尾だけの評価なので、できれなもう数個体を食べてみたい。刺身などにした残りを煮つけにしてみた。熱を通してほどよく締まり、身自体の甘味と皮目の脂を感じる。問題は磯臭みだが、煮つけるといちばん感じない。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど