アジアコショウダイ


50cm SL 前後(最大全長84cm)に前後になる。タイ型ではあるがスマートで側扁する。身体全体、鰭にも暗色(黒色)のドット(斑文)がある。

珍魚度・珍しさ★★★
がんばって探せば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目イサキ科コショウダイ属
外国名
Painted sweetlip, 暗點胡椒鯛、加志、花旦石鱸、暗點石鱸、嘉誌
学名
Plectorhinchus picus (Cuvier, 1828)
漢字・学名由来

漢字 亜細亜胡椒鯛 Ajiakoshoudai
由来・語源 標準和名がついたときの学名の小種名、Plectorhinchus orientalis をアジアと訳したため。
〈スズキ目イサキ科アジアコショウダイ Plectorhinchus orientalis (Bloch, 1793) 〉『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)には和名がなく、『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955)
注/Plectorhinchus orientalis (Bloch, 1793) は現ムスジコショウダイのこと。
英名/Painted sweetlips Painted は鰓蓋の内側や顎回りが赤くペイントしたようだから。sweetlips は直訳すると甘い唇だが、分厚く唇がやけに目立つから。

Cuvier
バロン・ジョルジュ・レオポルド・クレティアン・フレデリック・ダゴベール・キュヴィエ(Baron Georges Léopold Chrétien Frédéric Dagobert Cuvier 1769-1832)。フランスの分類学者。キュビエとされることが多い。スエーデンのリンネ、フランスのビュフォンの分類体系に解剖学や古生物学などを加味して現在の形の礎を作った巨人のひとり。
地方名・市場名
アナグル
参考『魚名からみる自然認識:沖縄・伊良部島の素潜り漁師の事例から』(高橋そよ 2014年03) 場所沖縄県伊良部 
コーコダー コーコダイ
参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所鹿児島県種子島 
クレー
場所沖縄県 
コショウダイ
場所小笠原 

概要

生息域

海水魚。浅い岩礁域、サンゴ礁域。
[岩手県宮古]、小笠原諸島、八丈島、火山列島、相模湾(幼魚)、[三重県志摩市波切・熊野市]、和歌山県白浜、高知県柏島、愛媛県愛南、宮崎県、鹿児島県鹿児島湾湾口・竹島・硫黄島、琉球列島、南大東島。[熊本県天草]。
済州島、台湾、東沙諸島、西沙諸島、南沙諸島、インド洋、ソサエティ諸島までの太平洋。

生態

基本情報

銚子を以上に北の岩手県でも見つかっているが、九州南部が成魚の実質的な北限ではないかと思う。インド洋・太平洋の熱帯、亜熱帯に生息する大型のイサキ科の魚だ。国内では東京小笠原と鹿児島を含む琉球列島の魚である。
コショウダイ属のなかでももっとも味のいい魚のひとつである。血合いが美しく、身に脂が混在して強いうま味がある。東京を除く北海道、本州、四国、九州北部などではまだ馴染みのない魚である
珍魚度 国内で考えると珍魚ではある。ただし鹿児島県島嶼部以南では普通の魚。この産地で探せば手に入る。

水産基本情報

市場での評価/関東などには小笠原などから入荷を見る。やや高値。
漁法/定置網
産地/東京都、沖縄県、鹿児島県

選び方・食べ方・その他

選び方

触って張りのあるもの。口周りの赤が鮮やかなもの。

味わい

旬は不明。年間を通して脂ののった固体がある。
鱗は細かく取りにくい。皮は厚みがあり強い。骨はあまり硬くない。
血合いの美しい白身で熱を通しても硬く締まらない。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

アジアコショウダイの料理法・調理法・食べ方/生食(刺身、カルパッチョ、セビチェ)、焼く(塩焼き)、煮る(あら煮、煮つけ)、蒸す(剁辣椒蒸)、汁(みそ汁)、ソテー(バター焼き)、揚げる(フライ、唐揚げ)
アジアコショウダイの刺身 水洗いして三枚に下ろし、背と腹を分けて、血合いを切り取る。皮を引いて刺身にした。10月の固体は皮下、身の中ともに脂があり、口溶け感と甘味がある。酸味がなく、魚のうま味も豊か。食感もほどよく非常においしい。

アジアコショウダイの塩焼き かまの部分を使ったが切り身を焼いても、兜を焼いてもいい。振り塩をして1時間以上寝かせてじっくりと焼き上げる。皮の風味がなんともいえずいい。身はほどよく繊維質で身離れがよく甘味がある。絶品である。
アジアコショウダイのあら煮 頭部、中骨、尾に近い部分などを集めて置く。湯通しして冷水に落としてヌメリ、残った鱗を流す。水分をよくきり、酒・醤油・水で煮る。みりん、砂糖など甘味をつけるとご飯に合う。身離れがよく皮にうま味があって非常にうまい。煮汁にうま味があるので骨湯で楽しむといい。
アジアコショウダイの剁椒魚頭 大型になるので頭部は蒸し物や兜煮になる。ここでは湖南省・四川省で作られている剁辣椒で蒸し上げた。頭部の鱗はていねいにとる。蒸し器に器、魚の頭を入れて、酒を振る。剁辣椒をのせて15分ほど蒸し上げる。辛いけれども魚の真のうま味が引き出せる。
アジアコショウダイのみそ汁 あらを集めて置く。湯通しして冷水に落として残った鱗をヌメリを流す。水分をよくきり、水から煮出してみそをとく。青みは好みで。実にうま味豊かな味わいで、骨についた身に甘みがある。ご飯に合う。
アジアコショウダイのバター焼き 大型なので水洗いして三枚に下ろして切り身にする。塩コショウして多めの油で皮目からじっくりソテーする。香ばしくソテーできたら仕上げにマーガリン(バターでも)で風味づけする。沖縄などでよく作られている料理だが、醤油をたらすとご飯に合う。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど