ギンザメ

Scientific Name / Chimaera phantasma Jordan and Snyder, 1900

ギンザメの形態写真

体長70cm前後になる。頭部が大きく、後半急激に細まる。第1背鰭の棘は太く鋭く強い。尾鰭に欠刻がある。体の前方の測線は細かく波打つ。口が円錐形で他の魚類同様に横に開く。
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体長70cm前後になる。頭部が大きく、後半急激に細まる。第1背鰭の棘は太く鋭く強い。尾鰭に欠刻がある。体の前方の測線は細かく波打つ。口が円錐形で他の魚類同様に横に開く。体の前方の測線は細かく波打つ。尾鰭に欠刻がある。口が円錐形で他の魚類同様に横に開く。外鼻孔は深い鼻溝によって口角に通じている。側線系は台湾魚類資料庫の硬骨魚類よりもよく発達史、特に頭部に顕著。側線は溝状であることが多く、頭部の側線系は一部分が管状で側線孔によって外部と通じている。吻近くに電気受容機能をゆうする瓶器(びんき)がある。口が円錐形で他の魚類同様に横に開く。外鼻孔は深い鼻溝によって口角に通じている。側線系は台湾魚類資料庫の硬骨魚類よりもよく発達史、特に頭部に顕著。側線は溝状であることが多く、頭部の側線系は一部分が管状で側線孔によって外部と通じている。吻近くに電気受容機能をゆうする瓶器(びんき)がある。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度


      食用として認知されていない
    • 味の評価度

      ★★★
      美味

    分類

    顎口上綱軟骨魚綱全頭亜綱ギンザメ目ギンザメ科ギンザメ属

    外国名

    Silver chimaera
    備考銀色のキマイラ。キマイラはギリシャ神話に出てくる雌の怪物。頭部はライオン、胴はヤギ、尾はヘビの形をしている。火を吐く。 
    Ghost shark
    サイズ / 時期英語 

    学名

    Chimaera phantasma Jordan and Snyder, 1900

    漢字・学名由来

    漢字 銀鮫 Ginzame
    由来・語源 東京での呼び名。体色から。
    〈魚綱板鰓亞綱全頭目ギンザメ亞目ギンザメ科ギンザメ〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
    天狗鯊(天狗ザメ)、銀サメ、キンザンジ/鯊は「さめ」とも。『魚譜』(栗本丹州/宝暦6年・1756年江戸生まれ。天保5年・1834年死)にも。
    属名/Chimaera ギリシャ神話の怪獣でキマイラ(キメラ)で頭部などはライオン、真ん中はヤギ、後半は龍の姿をしていて、火を吐く。
    種小名/phantasma 小種名は幻影、亡霊という意味。
    Jordan
    David Starr Jordan〈デイビッド・スター・ジョーダン(ジョルダン) 1851-1931 アメリカ〉。魚類学者。日本の魚類学の創始者とされる田中茂穂とスナイダーとの共著『日本魚類目録』を出版。
    栗本丹州
    栗本丹洲(くりもと たんしゅう栗本 丹洲(くりもと たんしゅう 宝暦6年/1756年〜天保5年/1834年)。江戸神田紺屋町生まれ。奥医師、本草学者。『魚譜』、『千虫譜』、『異魚図賛』など多くの図譜を残す。

    地方名・市場名

    ウサギザメ
    場所北海道 参考文献 
    ウサギ
    場所千葉県銚子 参考文献 
    ギンザメ
    場所東京、神奈川県江ノ島・小田原、和歌山、鹿児島 参考文献 
    フカ
    場所福岡県玄海、長崎県壱岐 参考文献 
    ギンブカ
    場所和歌山県、大阪府堺、関西、高知 参考文献より。 

    生息域

    海水魚。水深10-699m。
    新潟県〜九州北岸の日本海・玄界灘沿岸、相模湾〜土佐湾の太平洋沿岸、九州西岸、東シナ海大陸棚縁辺〜斜面。
    少ない/北海道〜鹿島灘の太平洋沿岸。
    朝鮮半島西南部、黄海、台湾、浙江省〜広東省、フィリピン諸島。

    生態

    卵生。
    危険な棘 第1背鰭にあるトゲに刺されると強い痛みが長く続く、というのは静岡県沼津でも神奈川県小田原市でも聞いている。甑島周辺(鹿児島県薩摩川内市甑島列島)、深海延縄でアカムツをねらっていた漁師さんも上がってくると、必ず棘を切り落としているのがわかる。

    基本情報

    「さめ」がついているが板鰓亜綱サメ区のサメのなかまではなく、より原始的な全頭亜綱(Holocephali)の魚である。古生代デボン紀(約4億1600万年前〜3億5920万年前)の地層から化石が発見され、同時代にいた板皮綱から分化したとも。
    全頭亜綱ギンザメ目(Chimaeriformes)にはギンザメ科とテングギンザメ科の2科があり、国内に生息するギンザメ科は7種だ。なかでもギンザメがもっとも漁獲される機会が多い。ときに流通に乗る。
    脊椎などは発達で、交尾をする。第一背鰭に強い棘があり、毒があるとされる。実際に漁師さんは刺されると長く痛むと言っている。
    水産的には底曳き網で混獲されるものでほとんどが廃棄されている。
    またオーストラリアなどでは白身として近縁種が流通しているよう。
    国内の「サメの湯引き」を食べる地域ではニュージーランドから輸入して湯引きして売られている。

    水産基本情報

    市場での評価 非常に希に入荷してくる。安い。
    漁法 底曳き網
    産地 鹿児島県、静岡県、愛知県、三重県

    選び方

    触って張りのあるもの。銀色に輝いているもの。目が澄んでいるもの。

    味わい

    旬は不明。
    鱗はなく薄いアルミ箔のような皮をしている。骨は柔らかく歯のみが硬い。背鰭棘は非常に強いので要注意。
    白濁した白身で繊維を感じない。水分が多くスポンジを思わせる。火を通すと締まるが、ほぐすとぼろぼろする。
    肝はクセがなく美味。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ソテー(ムニエル)、揚げる(フライ、唐揚げ)、煮る(煮つけ)、汁(潮汁)、生食(焼霜造り、肝さし、刺身)、焼く(干もの)
    ギンザメのムニエル
    ギンザメのムニエル クセのない白身ではあるが、うま味に欠ける。これをバターなどの油分で補ってみた。切り身に塩コショウして少し置く。小麦粉をまぶしてじっくりとソテーする。バターの味わいが勝つがムニエルとしては完成度が高い。朝ご飯でパンなどと合わせてもいい。

    ギンザメのフライギンザメのフライ 上質の白身で油を使って熱を通しても強く縮まない。サケ科などと同様、フライに向いている。切り身に塩コショウして、小麦粉をまぶして卵をからめてパン粉をつけて揚げる。パン粉の香ばしいなかに白身のうまさがある。
    ギンザメの唐揚げギンザメの唐揚げ 中骨や頭部などを適当に切る。水分をよく拭き取り、片栗粉をまぶして二度揚げしたもの。骨が柔らかくじっくり揚げると無駄なく食べられる。身に甘みがあっておいしい。
    ギンザメの煮つけギンザメの煮つけ 胸鰭、頭部に近いかまの部分、肝を湯通しする。冷水に取り、ぬめりなどを流す。これを酒、みりん、薄口しょうゆで煮る。こってりした味つけだと本来の味わいが感じられなくなる。平凡な味わいながら、胸鰭のつけね、肝などは美味。
    ギンザメの潮汁ギンザメの潮汁 ギンザメの頭部、尻鰭、肝などを適宜に切り、集めて湯通しする。これを水から煮出して、酒、塩で味つけする。うま味は全体に薄いものの上品な味わいになる。もの足りない場合は化学調味料を使ってもいいだろう。肝の味は絶品だ。
    ギンザメの焼霜造りギンザメの焼霜造り 身自体にはあまりうま味がなく、むしろ皮目に味わいがある。この皮目をあぶって氷水に落としてあら熱をとり、よく水分を拭き取る。刺身状に切り、わさびじょうゆ、酢みそで食べる。
    ギンザメの肝の刺身ギンザメの肝の刺身 鮮度がよければ肝はとてもうまい。適宜に切り、コチュジャンと酢、もしくはニンニクしょうゆ、わさびしょうゆで食べる。非常にクリーミーに口溶けしてうま味も豊かで美味。
    ギンザメの刺身<ギンザメの刺身 キンザメの皮を引き、刺身にしてみた。イヤミは全くなくむしろ淡泊で上品な味わいながらうま味や味に個性がない。食べ方を工夫するといいかも知れない。
    ギンザメの干ものギンザメの干もの 水分の多い身質で熱を通すと硬く締まる。単に塩焼きにすると食べられるものの、もうひと味足りない。むしろ塩をして少し乾かして焼くとそれなりに食べられる。
    ギンザメの塩焼きギンザメの塩焼き 大型のギンザメを3枚におろして骨つきの頭部に近い方を塩焼きにした。小型ほど水分が多くなく、適度に締まっているので、やや美味である。酒などを塗りながら焼き上げてもいい。

    好んで食べる地域・名物料理

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    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/田中水産(鹿児島県鹿児島市)、小田原魚市場、マルモト(伊勢原市)
    日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)
  • 主食材として「ギンザメ」を使用したレシピ一覧

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