イネゴチ

Scientific Name / Cociella crocodila (Tilesius, 1812)

イネゴチの形態写真

35cm SL 前後になる。縦へん(体高が低く)し、細長く頭部はそれほど大きくはない。体色は比較的薄く全身に丸く小さな褐色の斑紋が散らばる。両眼の間にある眼下骨隆起線は、ノコギリ状になっていて棘の数はなんとか数えられる。眼下骨系の隆起線は2-4棘。吻は極端に長くない。間鰓蓋骨に皮弁がない。
イネゴチの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
35cm SL 前後になる。縦へん(体高が低く)し、細長く頭部はそれほど大きくはない。体色は比較的薄く全身に丸く小さな褐色の斑紋が散らばる。両眼の間にある眼下骨隆起線は、ノコギリ状になっていて棘の数はなんとか数えられる。眼下骨系の隆起線は2-4棘。吻は極端に長くない。間鰓蓋骨に皮弁がない。35cm SL 前後になる。縦へん(体高が低く)し、細長く頭部はそれほど大きくはない。体色は比較的薄く全身に丸く小さな褐色の斑紋が散らばる。両眼の間にある眼下骨隆起線は、ノコギリ状になっていて棘の数はなんとか数えられる。眼下骨系の隆起線は2-4棘。吻は極端に長くない。間鰓蓋骨に皮弁がない。体にゴマ状の濃い褐色の斑点があるのが特徴。間鰓蓋骨に皮弁がない。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★
      がんばって探せば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★
      一般的(流通量は普通)
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カサゴ亜目コチ亜目コチ科イネゴチ属

    外国名

    学名

    Cociella crocodila (Tilesius, 1812)

    漢字・学名由来

    漢字 稲鯒 Standard Japanese name / Inegoti
    由来・語源 不明。富山県で「いなごち」という。推察すると、稲(いね、いな)が伸びる頃に味がよくなるためではないか。
    コチについて
    漢字
    ■ 「鯒」は敵に遭うと飛び跳ねるように逃げる。この様を「踊る」として文字を作った。
    ■ 「牛尾魚」とも書く。牛の尾の形なので。
    由来・語源
    ■ 大言海に“笏(こつ)”に似ているため。“笏(こつ)”は衣冠束帯(貴族の正装)のとき右手にもっていた細長い木の板。字音が“骨”に似ているため「しゃく」と読ませるようになった。
    ■ 「こち」は「こつ」で頭を表す方言。
    ■ 「こち」は「骨」で骨っぽいことから。
    Tilesius
    ヴィルヘルム・ゴットリーブ・ティレジウス(Wilhelm Gottlieb Tilesius von Tilenau 1769-1857)。ドイツの博物学者、探検家、医師。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。大陸棚浅い海域。
    青森県太平洋沿岸、茨城県〜日向灘の太平洋沿岸、瀬戸内海、秋田県〜薩摩半島の日本海・東シナ海・東シナ海大陸棚域。
    渤海、釜山、台湾、浙江省〜広西省、海南島。

    生態

    産卵期は夏。

    基本情報

    本州から九州、中国大陸の浅場に普通で、水揚げはマゴチ同様少なくはない。コチ科では大きくなるものの、マゴチと比べると味が落ちるとされ安い。小型は安すぎるという点で明らかに未利用魚だ。
    2000年くらいから入荷が増えていて、関東の流通のプロは安くておいしい魚として認知している。2022年には至って平凡な魚となっている。
    野締めでの入荷がほとんどだが、活魚、活け〆にしたものはとてもおいしい。漁港などでも魚の取り扱いが向上してきているので、値が揚がる可能性大。
    珍魚度 普通の食用魚だが、意外に小売店などで見つけるのは難しい。

    ワニゴチ(上)とイネゴチ(下)の比較
    相模湾周辺ではイネゴチのことを「わにごち」と呼ぶので、両種は流通上よく混同されている。
    ワニゴチ 面長で頭部が大きい。比較的体色が濃く黒っぽい。体に胡麻状の斑紋があるが目立たない。
    イネゴチ 頭部はあまり大きくない。比較的体色が薄く体に散らばるゴマ状の斑紋が目立つ。第2背鰭にもゴマ状の斑紋がある。

    水産基本情報

    市場での評価 少ないながら流通している。ただし雑魚として扱われることが多い。
    漁法
    主な産地 兵庫県、熊本県

    選び方

    味わい

    旬は春〜夏。ただし産卵後以外は比較的味がいい。
    鱗は小さく薄く取りやすい。皮はやや厚め。骨はあまり硬くない。鰓に棘は鋭く触ると痛い。
    透明感のある白身だが水分が多く、白濁しやすい。扱いが難しく鮮度落ちが早いのが難点だ。熱を通すと硬く締まる。
    卵巣は美味しい。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    イネゴチの料理・レシピ・食べ方/生食(セビチェ、洗い、刺身)、煮る(潮煮、煮つけ)、揚げる(唐揚げ、天ぷら)、焼く(漬け魚、干もの)、汁(みそ汁、潮汁)

    イネゴチの刺身 扱いさえよければ刺身にして食感があり、身に甘味とうま味がある。春から夏にかけて脂ものっている。マグロなどと違ってあっさりと軽い舌触りの脂である。
    活魚、活け締めのイネゴチを使うといい。野締めは産地などでは刺身になるが、消費地では難しい。水洗いして三枚に下ろして皮を引き、薄く造る。

    イネゴチの洗い 締めたばかりの活魚を薄くそぎ切りにしたもので、ぎゅっと締まった身は歯ごたえがある。うま味成分はないはずにも関わらず、ちゃんと甘味とうま味が楽しめる。
    活魚を締める。水洗いして三枚に下ろして薄くそぎ造りにする。これを流水で洗って氷水でしめる。シコシコとした心地よい食感のなかに、甘味がある。柑橘類と塩で食べてもおいしい。
    イネゴチのセビチェ 強い辛味とライムの酸味がいちばんに来る。噛むとじわりと白身の上品な味がしてくる。スピリッツにとても合う。
    野締めのイネゴチで鮮度のいいものを使う。水洗いして三枚に下ろして皮を引き、やや小さめに切る。これを塩、ライムでしめる。辛い青唐辛子と紫玉ねぎとで和える。
    イネゴチの沖縄風天ぷら 皮付きを揚げたもので、皮に独特の風味がある。上品な味の身との対比が面白い。冷めてもおいしい。
    小振りのイネゴチは非常に安い。これなどは天ぷらや唐揚げにするといい。水洗いして、「めごち」と同じように開く。これに小麦粉、砂糖、塩で作った衣をつけて揚げる。ころもをビールで溶くとふんわり揚がる。
    イネゴチの唐揚げ 表面がさくっと硬く、中は鶏肉のようなほぐれ感がする。香りと身のうま味がとても調和している。
    小振りは丸ごと、大振りなものは切り身にして揚げる。水洗いして適当に切り、水分をよく取り除く。軽く振り塩をして片栗粉をまぶしてじっくりと二度揚げにする。
    イネゴチの潮煮 強めにとった昆布だしで煮たものだ。昆布とイネゴチのうま味が合わさった汁が実においしい。汁だけでもごちそうである。皮は弾けてしまうが、身に強いうま味があるのも昆布のせいだろう。非常にうまい。
    水洗いして鍋に入る大きさに切る。これを昆布だしで煮て、酒・塩で味つけして、さらに煮る。
    イネゴチの煮つけ 野締めはこってり甘辛く煮るといい。上品な白身で味的にもの足りないところを、醤油などの調味料が補う。ご飯に合う。
    水洗いして大きなものは適当に切る。小振りはそのままで背鰭際に切れ目を入れる。湯通しして冷水に落とし、残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、酒・砂糖・醤油・水を沸かした中に入れて煮る。
    イネゴチの塩焼き 単純に塩焼きにしたものである。非常に淡泊な味であるが皮目に香りがある。ほどよく締まった身は適度に繊維質で、ほどよく口の中でほぐれる。
    水洗いして大型は焼きやすい大きさに切る。振り塩をして1時間以上置いて、出て来た水分を拭き取り、じっくりと焼き上げる。
    イネゴチのみそ汁 比較的あっさりと味わいに欠ける魚であるが、みそがそれを補う。嫌みのない汁で煮えた皮や身もおいしい。ご飯に合う。
    小振りのイネゴチを水洗いして、半分に切り、湯通しして水(昆布だしでも)から煮る。できるだけたくさん煮る方がうまいだしが出る。火が通ったらみそを溶く。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/平本勝美さん(日美丸 広島県倉橋島)
    『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『魚類学 下』(落合明、田中克 恒星社厚生閣)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『商用魚介名ハンドブック』(日本水産物貿易協会編 成山堂)

    地方名・市場名

    ホンゴチ
    場所和歌山県田辺 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    イナゴチ
    場所富山県富山 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    アジナゴチ
    場所富山県富山市 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    チャマゴチ
    場所富山県新湊 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    ゴンボゴチ
    場所富山県東岩瀬 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    バンゴチ
    場所富山県生地 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    ジャゴチ
    場所広島県呉市倉橋町 参考日美丸・平本勝美さん 
    スゴチ
    場所広島県賀茂郡・豊田郡 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    コチ
    場所新潟県出雲崎・柏崎、三重県鳥羽、富山県、長崎県 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    ワニゴチ
    場所神奈川県小田原市・二宮町、山口県宇部市 備考神奈川県小田原・二宮ではワニゴチとともに。 参考20190330/二宮定置 
    オニゴチ
    場所長崎 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
    コチ
    場所東京都東京市場、神奈川県など 
    メゴチ
    場所和歌山県和歌山市、兵庫県明石市 参考『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年) 
    メゴチ
    場所東京、神奈川県三崎 備考ネズッポ科の魚などとともにメゴチとされている。 参考『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年) 
    ハリゴチ
    場所静岡県浜名湖 参考『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂) 
  • 主食材として「イネゴチ」を使用したレシピ一覧

関連コンテンツ