出水は八代海で、鹿児島県も広うござんす。カワハギの話

カワハギは平均サイズがいい


さて、旅に出ることもできなかった上に、豊洲すら遠いと思えるような日々だったので、相変わらず八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産と、お隣、八王子綜合卸売センター、福泉が海に開く扉であった。
そんな舵丸水産にこのところ何度か、鹿児島県出水市からカワハギが来ている。鹿児島県といっても、ほぼほぼ熊本県でお隣は水俣市である。
東京にとっては人気のある産地で、「鍋鶴よりも新子」といった感がある。
八代湾にはまだ一度も行っていないので、熊本県から鹿児島県にかけて南下してみたいという願望が募る。
カワハギの産卵期は晩春から夏くらいまでと長い。南ほど早いと思うので、産地ごとに季節ごとに食べている。意外にカワハギの産卵期を見極めるのが難しいし、旬にしてもそうだ。
ちなみにカワハギは産卵後回復したときにも味がよいが、産卵期が長いのでいつくらいから味が回復しているのかわからない。
そんなこんなで今のところ、旬は初秋から晩春としている。

肝が膨らんでいた春直前のカワハギ


出水から来たカワハギは体長18cm・191gで平均的なサイズである。
触った感じは悪くないというか、思った以上にいい。
帰宅後にいの一番に下ろす。
思った以上に肝が大きい。
肝をつけたままにして、料理直前まで保存する。

肝和えとも肝たたきともいうし、他にも呼び名があると思う


今回はどちらかというと煮つけが食べたかったが、肝あえ(肝たたき)から。
肝は一瞬湯通しして氷水に落として水分をきりたたく。
本体は三枚に下ろし薄皮をひき、細かく切る。
あとは肝とたたくように和えて出来上がりだ。
ボクはねぎなどは使わない方が、最近に限っての話だが好きだ。
ころころと好みが変わるので、あくまでも最近の話だけど。
これを鳥取市のキッコーナン刺身醤油とわさびで食べる。
さすがに酒なくしては、(もちろんボクだけの話かも知れないが)食う気になれぬ。
カワハギの身(筋肉)は味があり、また食感が心地よいものの、上品過ぎてもの足りなく感じることが多い。
それを肝が補う。肝と身が協力して出来上がった味は例えようがない。
こまっちゃうな、といったうまさだ。

煮つけくらい、ご飯との相性抜群のおかずはない


翌日は昼ご飯の友に煮つけを作る。
水洗いして湯通しして氷水に落として霜降りにする。
水分をよくきり、酒・みりん・醤油・水を沸騰させた中に入れて煮る。
甘めがよければ砂糖を加えてもいい。醤油などの調味料は控えめにして途中で加減する。
ボクは肝を煮汁の中でつぶしながら、身と一緒に食べるのが好きだ。
このままご飯に乗せると、大御馳走である。
旬を考察するなんて、ただのいいわけで、食いたいだけじゃねーか、と言われても仕方がない。



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