石川県金沢港から来たブリで、焼きもの三品

ブリ4分の1で半月暮らせる


25日に、八王子総合卸売協同組合、舵丸水産で買った石川県金沢港から来たブリは、28日の時点でほぼ料理し尽くした。
今回作った焼きものは塩焼き、照焼、西京漬けの三品である。
寒い時季の10kg以上のブリの焼きものほどうまいものはない。昔、石川県七尾魚市場で会った老人は、「年を取っても脂がのったブリの塩焼きは毎日でも食べられる(意訳)」と言い、「だから冬が待ち遠しい」と笑っていた。
金沢港に水揚げされたブリのとれた場所はわからないが、脂ののりからして、まさに厳冬期らしいブリである。
いろんな料理を作ったが、意外にもブリの焼きものは、尾を引くほどにおいしいものだと再認識できたのが、今回の最大の収穫であった。

定番中の定番、ブリの塩焼き

鰤の塩焼き

切り身にして塩焼きにしただけで、こんなにうまいとは思ってもいなかった。
やや厚めの切り身にして振り塩をする。少し寝かせると水分が上がってくるので拭き取り、ビニールに入れて空気を抜き、一日寝かせる。これくらいしないと切り身に塩が馴染まない。
あとは焼くだけである。今回は4切れ作り、2切れ食べて、2切れ冷凍保存する。
今回は照焼も、西京漬けもストックしておいた。調味したものは冷凍しても劣化が遅いのである。
焼くそばから切り身の表面に脂が浮き出てくる。身から出た脂は、揚げ油のようである。
表面は唐揚げの表面のように香ばしく、中はほどよく層になっていて、ほぐれつつ脂と水分が染み出してくる。

今や日本中で作られる家庭料理の定番、ブリ照焼

鰤の照焼

照焼は基本的に祐庵地(酒・みりん・醤油同割り)に近いもので漬けて、みりんを塗りながら焼き上げたものである。いかに照りをつけるかが重要で、この表面の甘味と中の魚の味わいが合わさった味わいを楽しむ。
面白いもので、ブリの濃厚なうまさを、みりんの風味と甘味がほどよく緩和してくれる。逆効果になりかねないと思っていたので、意外である。
国内中でブリ照焼が愛されているわけがわかった気がする。

まったりはんなりした今日の白みそで漬けたブリの西京漬け

ブリの西京焼き

西京漬けは、みそ漬けの一種で、本来は京都市の『西京味噌』というメーカーから生まれた、関東だけの料理名である(これは京都市場での聞取)。これがいつのまにか一人歩きしている。
切り身に振り塩をして1時間以上置き、表面の水分をとり、西京味噌の漬け用の白みそとみりんを合わせた地に丸々1日以上漬け込んだもの。塩分濃度が低いので数日漬け込んでも味が濃すぎることはない。
これを焦がさないように焼き上げる。
焼いただけでもうまいブリから白みそ香りがして、みりんの甘さが加わる。塩焼きと比べてにぎやかな味わいである。お弁当などに向いているのは、この奥深い味わいからだろう。
さて、どれがいちばんうまいか? わからなかった。
ただブリの焼きもののうまさには、ただただ脱帽。すごい!


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