シマアオダイを若狭焼きに

マダイ以上にスタンダードな存在になりそう


月桂冠は使える酒である。風邪をひいたときなど燗をつけてやってもうまいし、酒を前面に押し出すような料理に使うと飲む以上にいい。2000円以下で買えて、探さなくても手に入るのがなによりもいい。この月桂冠と近所の醤油、2対1(1対1のときもある)を生のまま合わせて置く。
これが我が家の「若狭焼き」に使う若狭地である。薄味の塩焼きに若狭地を塗りながら仕上げるのが「若狭焼き」だ。ちなみに我が家では一汐ものは清酒だけを塗りながら仕上げが、これも「若狭焼き」だと思っている。
フナ、アカアマダイ、イトヨリ、マダイなど昔から親しまれてきた白身魚に向いている料理だ。もちろんあれもこれもと挙げたらきりがない。
「若狭焼き」にはある程度大きくて、くせのない白身で、しかもほどよい脂が感じられて、皮に風味があるものが好ましいのだ。
鹿児島県鹿児島市、タカスイの競り情報をみて買ったのは1.6kgと手頃なサイズのシマアオダイである。近年、マダイ以上にスタンダードな白身だと考えているのが、フエダイ科アオダイ属のウメイロ、アオダイとシマアオダイだ。ウメイロ、アオダイは古くからの東京の魚だが、より南方系の近縁種、シマアオダイも今では豊洲市場などでは決して珍しい魚ではない。安定的な高級魚だといってもいいだろう。

切り身の大きさで用途を使い分ける


この新スタンダード白身で焼き物を作る。それが前記の若狭地を使った「若狭焼き」だ。
「ぐじ(アカアマダイ)」など若狭から来る魚で作るから「若狭焼き」だと言う人に、京都中央市場のうどん屋で会っているが、わかりやすい説明だが、本当かどうかはわからない。若狭は昔、酒どころだったので、酒を使う料理で「若狭焼き」だという人もいた。
シマアオダイは水洗いして三枚に下ろし、切り身にする。料理屋ではないので、2、3人前くらいの大きさにする。この大きさで焼いて個々に取り分けて食べる。この大きさは用途で変えるといい。
軽く振り塩をして1時間くらい待つ。表面に出て来た水分をとり、じっくりと焼き始める。
8分通り焼上がったら強火にして、2、3度、若狭地を塗りながら仕上げる。
皮目の風味はマダイに負けると感じたが、身のうまさはマダイ以上である。味があるのでたっぷり頬張っても味がだれない。
「若狭焼き」のよさは焼きたてもうまいが、冷めてもうまいところだ。ちなみに個人的には冷めた方がすきだ。
焼いておいて、深夜にだしてきて、酒の肴にする、というのがボク好み。
体調が万全ではないので、気仙沼の蒼天伝、盃二杯だけだが、ちょびっとだけ時が止まる。


関連コンテンツ

サイト内検索

その他コンテンツ

ぼうずコンニャク本

ぼうずコンニャクの日本の高級魚事典
魚通、釣り人、魚を扱うプロの為の初めての「高級魚」の本。
美味しいマイナー魚介図鑑
製作期間5年を超す渾身作!
美味しいマイナー魚図鑑ミニ
[美味しいマイナー魚介図鑑]の文庫版が登場
すし図鑑
バッグに入るハンディサイズ本。320貫掲載。Kindle版も。
すし図鑑ミニ ~プロもビックリ!!~
すし図鑑が文庫本サイズになりました。Kindle版も。
全国47都道府県 うますぎゴーゴー!
ぼうずコンニャク新境地!? グルメエッセイ也。
からだにおいしい魚の便利帳
発行部数20万部突破のベストセラー。
イラスト図解 寿司ネタ1年生
イラストとマンガを交えて展開する見た目にも楽しい一冊。
地域食材大百科〈第5巻〉魚介類、海藻
魚介類、海藻460品目を収録。