オキヒイラギはやっぱり丸干しに限る

オキヒイラギは相模湾の貴重な恵み


神奈川県小田原市、江の安定置、ワタルさんにオキヒイラギをいただいてきいた。
標準和名よりも山口県の「平太郎」、高知県の「にろぎ」の方が有名だと思う。相模湾周辺ではギラとかアブラッコというが、高知や山口ほど人気がなく、東京湾沿岸、相模湾、駿河湾の周辺ではまれに干物などにする程度だ。
おいしいのに東海、関東などであまり知名度が上がらないのは、単に呼び名のせいだと思う。
ちなみに「にろぎ」は呼び名的には弱いが、かの檀一雄がオシなのである。檀一雄は昭和という時代に唯一、素材にまで言及した小説家で真の食いもん好きだ。
そして、「平太郎」は太郞なのである。擬人化もここまで優れているとまるで商品名の戦略会議をしたようではないか。
ちなみに鹿児島県、熊本県、福岡県、山口県、岡山県、徳島県、などなど全国各地で買い求めたオキヒイラギで丸干しを作っているが味に遜色はない。同じなのだ。

こんなに簡単に作れるのに、こんなにうまい干物になる


要するにオキヒイラギで干物を作れば、だれか作っても、だれが食べてもうまいということになる。
ということでワタルさんにいただいた鮮度抜群以上という個体を、えいや! と干物にする。
帰宅は小田原からなので午前中である。
たぶん水揚げ後、6時間強の鮮度抜群のものを流水で洗う。
水分をよくきる。
鍋に水を沸かし、溶けるまで塩を加えて冷やす。
これで立て塩にして15分。
水分をよくきり1日干してややソフトな干し加減で焼いて味見する。
ええじゃないか、という以上にうまい。
干し上がったのが昼なのに、神奈川県松田町の「松みどり」をコップ半分飲んでしまった。
心か弱い吾を悲しむ。

かさかさと音がするくらいに干す


この生干しをさらに干し上げて、フライパンで炒った方がいいくらいにするのがボクの流儀。
これで1週間くらい楽しめる。


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