面の皮の厚いイラは清蒸だろう

頭がデカイっていいことだ

イラの清蒸

八王子綜合卸売協同組合、マル幸、クマゴロウが銭州で釣り上げたイラはいろいろ料理して、すべて美味であった。
ベラ科の魚が今ひとつ人気がないのは漁獲後の扱いの問題であって、魚屋であるクマゴロウなどが締めると俄然上物となる。
さて、魚類学者の内田恵太郎は本種はしばしばコブダイと混同されるという。例えば和歌山県などでイラはコブダイのことでもある。またイラをカンダイ(コブダイの地方名)と呼ぶ地域もある。共通点は体高があり、頭の大きいことと頭部の皮がぶよぶよと柔らかく厚みがあることだ。
この皮ぶよぶよというと清蒸(蒸し魚)だよな、と思うのはボクだけではないと思う。熱帯域ミクロネシアなどで、大型のハタ類が減少したのは清蒸にしてうまいからだと現地の方から聞いたことがある。危険な密漁までしてとってペイするのは清蒸にしてうますぎるからだ。
ところが温帯域ではそれに代わる魚がわんさかいるし、しかもそんなに高くない魚ばかりなのである。
本種などその代表格だ。面白いのはマダイなどで作っても平凡だし、スズキやブリで作ってもそんなにうまくない。面の皮が分厚くなくてはだめなのだ。

このままご飯にかけて食べたい

イラの蒸し魚

さて、水洗いして面倒だが咽頭骨を取る。梨子割りにして水分をよくきる。このときていねいに頭部の鱗をこそげ落とす。
水分をよくきり、箸でもねぎでもいいので皿に橋渡した上に乗せて、蒸し器で10〜15分蒸す。
蒸し上がったら皿にたまった汁を捨ててタレをかける。
タレは醤油・紹興酒・魚醬・砂糖を合わせて一煮立ちさせたもの。
葱や香菜、鷹の爪などを載せて上から煙が出るくらいに熱した油をかけ回す。
皮などをスプーンでこそげ取り、タレと野菜を小皿にとって食べる。
食べ始めると無口になりそうなほどにおいしい。
酒ではなく飯が合う。合い過ぎる。


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