難敵カイエビスを丸焼きにする

硬い鎧をつけたやっかいな魚

ガスグリルにヒレダカエビス

鹿児島県鹿児島市、恵水産から送って頂いたカイエビスはまさに珍魚である。エビスダイは今や北海道にもいるが、本種は本州では希にしか揚がらない。
鹿児島でヨロイダイと呼ばれるのはエビスダイと区別しないで競りにかけられているからだ。エビスダイよりもひとまわり小さいものの、単体で見ると違いがわからないと思う。
大小来たので、小(体長17cm・207g)をいちばん簡単な方法で食べる。
エビスダイの仲間の特徴は、ラメを思わせる鱗をまとっていることである。水洗いするとき鱗の硬さたるや宝石のごとくで非常に硬く鱗引きで引くに引けず、引けたと思ったらやたらに飛び散る。大きめサイズならなんとか許せるが、小さいにも関わらず鱗の硬さは変わらないのだからやっかい極まりない。
こんなときはマツカサウオ方式で焼き上げる。マツカサウオは上位でエビスダイの仲間と同族、同じように非常に硬い鱗を持つ。このような魚は何もしないに限るのである。

魚の焼死体みたい

焼け焦げたヒレダカエビス

まず表面の汚れなどを洗い流す。
水分をよく拭き取る。
ガスコンロの魚焼きグリルや魚焼き用のグリルなどを熱しておく。
水で洗っただけのものを入れて終始強火で焼く。大きいものは火を弱めてじっくり焼くといい。
焼き上がりはかなり悲惨である。

徹底的に炭をはらう

ヒレダカエビスの炭を落とす

焼き上がったら皿などに取り、表面の炭化した部分をフォークなどでたたいて落とす。意外に皮は赤いままだ。

料理というには悲惨すぎる

炭を落としても料理とは思えない

出来上がりを見ても、一瞬、間違って焦がしてしまったかのようだ。
あまりにも原始的なので、これが料理だとは思えないかも知れぬ。

皮をめくると

皮下に隠れた白身のうまさ

もう一度、表面の炭化した部分を取り除きながら皮を剥がすと、蒸し焼きになった白い身と肝が出てくる。
湯気とともに立ち上がる香りがたまらない。

美しい白身で味が濃い

味の濃い白身

エビスダイの仲間は繊維質に欠ける独特の身質で、火を通すと硬く締まりやすい。これが丸焼きにすることで身が硬く締まらず、豊潤に出来上がる。焼いた香りも素晴らしくいい。


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