近所の鮹さんにいただいた魚、利島沖クサヤモロの酢洗い

伊豆諸島を代表する魚


近所に住む鮹さん(岩崎薫さん)が相模湾利島沖の魚をいろいろ持って来てくれた。利島沖には非常に多彩な魚がいて、中にはやたらに値の張る魚もたくさんいるのだが、だいたいそれこそがターゲットである。
ちなみに蛸さんの超大型クーラーには、今ではマダイ以上に人気が高いアオダイが背を見せていたことだけは言っておかなくてはならぬ。けどその隣の隣に浮かんでいたクサヤモロを分けていただく。
さて伊豆七島は相模湾の南にあり、北から大島、利島、新島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島と並んでいる。中でも山口百恵が住んでいた伊豆大島が有名だが、利島はいちばん小さな島で最近人気の釣り場だ。クサヤモロはこの伊豆諸島海域を代表する魚で、名物「くさや」の代表的な原料である。
クサヤモロは5月初旬に天才釣り師、クマゴロウが銭州で釣ったものを分けてもらっている。下ろしてもいないのに、表面に脂が浮き出ており、火をつけたら燃えそうな個体でびっくりしたものである。あれから1月経っている。
残念なことに銭州の脂ののりからすると、平凡としかいいようがなかった。同じくらいの真子を抱いていたのにこの違いはなんだろう? 単なる固体差かも知れない。面白いもので小田原などでマアジの水揚げを見ていると非常に固体差を感じるのだ。同じように島根県浜田市の脂質を計って出荷する「どんちっちあじ」でも同様である。この固体差(個体群かも)はアジ科の特徴なのかも知れない。

塩はべったり強めがいい


脂はほどほどながら真子はまだ未成熟で身に張りがある。切りつけて食べてみるととてもうま味豊かなのだ。
いろいろ思案して、「酢洗い」にしてみた。
「酢洗い」は塩をして酢で洗う、それだけの作業をいう。
貝などを刺身にするときも、臭味消しに行うし、身の柔らかな魚など身がきっと引き締まる。
クサヤモロは水洗いして三枚に下ろす。腹骨と血合い骨を取り、皮を引く。この状態で強い塩をする。
そのまま30〜1時間寝かせる。今回のものは大振りで脂が感じられたので1時間寝かせた。

酢でざっと洗う


表面に出て来た水分を拭き取り、食べやすい大きさに切り、酢で洗う。
酢は安物でいい。

少し放置する、これがコツ


洗ってすぐに酢を切らないでまな板などの上で数分放置してから酢をペーパータトルなどで拭き取る。
このほんの数分の放置で酢が馴染む。

クサヤモロのうま味が強く感じられてしかも後味がいい


せん切りにしてしょうがとからめて出来上がりだ。
ボクは柑橘類好きの徳島県人なので青柚子を添える。
合わせたのはなぜかアブソルート。


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