鹿児島県産大イボダイ

大きい方がうまい


徳島県人がやたらと好きな、ボウゼ(イボダイ)が時季を迎えている。徳島県人であるボクは、当たり前だが、上物発見即買いの日々である。
東京都豊洲市場場内、大音で発見したイボダイはめったにない大型であった。荷の大きさにばらつきがあるので少々お高い程度で買えたが、体長23㎝、重さ0.44kgはめったに手に入らないサイズだ。初夏を前にして鹿児島県産なので当然の如く子持ちである。産卵は真っ先に鹿児島から、北へ北へとずれる。
意外に一般に知られていない魚である。味のよさで、古くから高級魚であることを知る人などめったにいないと思う。
昔は安かったなどという人がいるが、その「昔」は半世紀近く前のこと。当然、今や常識的な高級魚である。ちなみに関東周辺で揚がったぎらぎらするものなど、とても高くて手が出ない。
今回の鹿児島産は下氷で、先にも述べたように大きさにばらつきがある。値もほどほどなら、鮮度抜群という願ってもないものだ。この、ちょっと上のレベルの魚が常にあるというのが、豊洲の凄いところなのだ。
さて、イボダイはブリなどとは違い小型でも味のいい魚だ。大きい方がうまいがあまり大きな差はないとばかり思っていた。最近、イボダイにそれなりの授業料を払うようになって考え方が変わった。値は大きいほど高くなり、それに正比例して味もよくなることがわかってきたからだ。豊洲場内を歩いていると、大きくて鮮度がいいものはビックリするような値をつけているが、その値には意味があるのだ。

皮に味あり


近頃、刺身よりも皮霜造りが好きだ。頭部からぬめぬめしたものを大量に出すことで体を保護しているためか、皮は厚みがある割りに柔らかい。
この皮に味がある。刺身よりも食べたときの満足感が得られる。

木の芽焼き


半身は素焼きし、若狭地で焼き上げた上に木の葉をたたいて散らす。春はなんといっても山椒の香りだと思う。ほんの一旬だけの芽吹きの味である。

あら煮でお終い


残ったあらは真子とともにあっさりと煮つける。ここにも山椒を添える。
春に春を重ね、山梨県富士川町の春鶯天特別純米を窓全開にして冷で。


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