オオミゾガイ

Scientific Name / Siliqua alta (Broderip & Sowerby,1829)

オオミゾガイの形態写真

SL 14cm前後になる。貝殻は褐色の殻皮をかぶり、薄く割れやすい。前閉殻筋痕のすぐ後ろに内肋(畝状のもの)がある。
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SL 14cm前後になる。貝殻は褐色の殻皮をかぶり、薄く割れやすい。前閉殻筋痕のすぐ後ろに内肋(畝状のもの)がある。前閉殻筋痕のすぐ後ろに内肋(畝状のもの)がある
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★
      少し努力すれば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    軟体動物門二枚貝綱マルスダレガイ目マテガイ超科ユキノアシタガイ科ミゾガイ属

    外国名

    学名

    Siliqua alta (Broderip & Sowerby,1829)

    漢字・学名由来

    漢字 大溝貝 Oomizogai
    由来・語源 岩川友太郎の命名。ミゾガイの仲間で大型になるという意味合い。「みぞがい」は『六百介品』より、貝殻に前後を分ける畝状のものがあり、これとの関連からくるのではないか。
    六百介品
    江戸時代に作られた彩色図譜。600種ほどの貝類を漢名、和名で紹介したもの。著者不明。
    岩川友太郎
    安政1〜昭和8年 1855-1933、青森県生まれ。モースに師事して近代的な分類学を学ぶ。多くの標準和名をつけるなど貝類の世界での業績が目立つ。『生物学語彙〈ゴキブリは本来、御器かぶり(ごきかぶり)と言ったが本書のルビの振り間違いから「ごきぶり」になる〉』、『日本産蛤類目録』など。

    地方名・市場名

    生息域

    海水生。潮間帯直下〜水深20メートル。
    東北以北。アラスカ。

    生態

    基本情報

    主に北海道のホッキガイ(ウバガイ)漁でとれるもの。入荷量はあまり多いとは言えないが、珍しい貝ではない。料理店や流通の世界ではじょじょに認知度が上がってきている。
    貝殻つきは流通の途中で貝殻が割れやすいなど、全国的に流通するものではなかったようだ。今でも剥き身や開いた状態での流通がある。
    現在(2018年)でもまだまだ一般的な認知度は低いが、関東では珍しいものではなくなっている。
    味がよく、用途が広く、安いので、今もっともおすすめできる二枚貝。
    珍魚度 珍しい貝ではない。東京都などでは豊洲などでは普通に売られている。ただ流通は限定的。

    水産基本情報

    市場での評価 活け(殻つき)と剥き身パック入りで入荷。量は二枚貝としては少ない。一定の評価ができてきていてやや高値。
    漁法 貝桁網
    産地 北海道

    市場でのオオミゾガイ活け貝 市場でのオオミゾガイ。貝殻が薄い割りに活性が高いので輸送の途中で割れるものが出てくる。
    オオミゾガイのむき身むき身 輸送中に貝殻が割れやすく、素直噛んでいる個体が多いので、剥き身での流通も少なくない。あまり高価ではない上に、剥いても鮮度が落ちにくいので便利なもの。

    選び方

    剥き身は触って反応のあるもの。殻つきも同じ。殻が割れていても鮮度とは関係がない。

    味わい

    旬は不明
    ホッキガイ(ウバガイ)漁と入荷時期が重なる。ほとんどの個体が砂を噛んでいる。
    貝殻は薄く割れやすい。軟体部分は大きい。軟体は熱を通すと硬く締まる。

    オオミゾガイの刺身の下処理と湯通しなど

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    オオミゾガイの料理法/刺身(軽くゆでる)、ソテー(オイル焼き、バター焼き、ソテー(バター焼き、オイル焼き)、煮る(炒り煮)、汁(みそ汁)、焼く(干物)
    オオミゾガイの刺身
    オオミゾガイの刺身(軽くゆでる) 水管部と足の部分を開き、中腸腺、生殖腺などを除き、よく砂を流して水分をきり、湯通しする。氷水に落として粗熱と表面のぬめりとこすり取り、水分をよくきる。完全な生よりも、甘みが出、食感もよくなる。同様な仕込みをする二枚貝(ウバガイ、バカガイ)と比べると甘味が強くとてもおいしい。

    オオミゾガイのあぶり 水洗いして足と水管を外す。水管と足を左右に分ける。水分をよくきり、裏表表面をあぶる。再度水分を取る。あぶることで生な味わいは消えてしまうが、貝らしい風味も食感も増す。非常にうまい。

    オオミゾガイの煎り焼き 水洗いして適当に切る。水分をよく取って置く。山椒は細かく叩いておく。フライパンを熱してから煎りする。火が通ったら醤油・酒で和えて山椒を混ぜ込む。非常に簡単至極な料理だが、オオミゾガイの甘味と軽く焦げた醤油の味が相まって非常にうまい。

    オオミゾガイと夏野菜の炒め煮オオミゾガイと夏野菜の炒め煮 剥き身にして適宜に切って置く。野菜(なんでもいいが、ここではにんじん、玉ねぎ、なす、伏見甘辛唐辛子)も適当に切る。フライパンなどにごま油をしき、材料全部を入れて軽く炒め、調味料(しょうゆ、みりん)をからめる。
    貝と野菜のバターソテーオオミゾガイのバター焼き 剥き身にしてよく砂を流す。適宜に切り、鰓などを取り去っておく。フライパンなどにバターを溶かし込み、香りのある野菜(ニンジン、ピーマンなど)と一緒に短時間ソテーする。オオミゾガイの貝らしい甘さとバターが合わさって非常に美味。
    オオミゾガイのアヒージョオオミゾガイのアヒージョ 剥き身にして水管などを開いてよく砂を洗い流す。火にかけられる器ににんにく、鷹の爪、オリーブオイルをたっぷり入れて適宜に切った剥き身を加える。これを強火で火を通す。火を通すとやや硬く締まるが味はいい。
    オオミゾガイのみそ汁 剥きにし砂を洗い、適当に切り、水から煮て、みそを溶く。みそを溶いたらすぐに火を止める。中腸腺から濃厚な旨みが出る。貝らしいうま味と甘味のある汁だ。玉ねぎが好相性である。
    オオミゾガイの干物オオミゾガイの干物 水管部分を開いて水分をよく切り干す。塩味などを加える必要はなく、やや硬めに干すのがよい。これを炙る程度に焼き上げる。旨みと甘みの強いうまい干物になり、実に酒に合う。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『軟体動物学概説 上巻』(波部忠重、奥谷喬司、西脇三郎他 サイエンティスト社)
  • 主食材として「オオミゾガイ」を使用したレシピ一覧

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