イセエビ刺し網漁
2002年9月13日
千葉県鴨川市周辺
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鴨川港の北の一角にイセエビなどの刺し網をする船小屋が並んでいる。
主に話をお聞きしたのは『亀吉丸』の方達。
イセエビ漁は8月に始り10までであるが、漁は秋が深まるにつれ少なくなり、
9月の初旬でシタビラメなどをとる漁に変えるという漁師さんも多いのだと言う。
鴨川港no.1
 深夜2時半に日野市の我が家を出て、貧しいお父さんである僕は、ひたすら20号を都心に向かう。20代、30代は都心を走り回ったものの最近、めったなことでは車で23区内を走ったりしない、永福の入り口を通り過ぎてしまいそうになって、BMWに猛烈なクラクションをお見舞いされる。そして首都高料金はなんと700円。これが建設省の役人の老後に個人的に使われる代償かと思うと誠に腹が立つ。
 首都高内の千鳥町でおりて湾岸を走り、市原市に入ると国道16線沿いにはたくさんの24時間営業の釣り具屋があるが「第一釣り具」は特にお気に入りの店である。商品は充実しているし、小物類が安い。白いコマセ用バケツと潮干狩りのクマデを買い、早い朝食は吉野屋にしようか、コンビニで焼そばパンを買おうか考えながら見る16号のこのあたりのなんと殺伐としてすくいようのない景色であることか?
 市原から、山越えに君津市久留里(湧き水の里)を通り過ぎて
海に出ると鴨川である。海を見たのが朝の6時30分。鴨川は外房の中核的な町であり、街全体が黒潮の照り返しを受けたように明るい。街を貫く鴨川河口の南に広く公園のように見えるのが鴨川港である。鈍い日差しのなか、港の芝生の上では定置網を広げて修理している。今回の目的であるイセエビ刺し網漁の小屋は港の北側に、外れてある。
「申し訳ありませんが見せて下さい」と入ったのが『亀吉丸』。入るとすぐに、「なにしに来た」とも言わず、「1キロ近いイセエビ上がったぞ、待ってなよ」と大きなイセエビを掴み上げて見せてくれる。確かにイセエビのカゴの中でそいつだけがびっくりするほど巨大である。これでも漁は悪い方だとの話であるが、後で江見、白浜とイセエビ漁の模様を見たなかでは、多くが不漁であり、そんななかでずば抜けたイセエビの漁獲量である。
 イセエビ漁は8月が最盛期であり、9月にはシタビラメなどの漁に変わるのだと言う。「漁がいいのは台風の後とか、荒れた翌日だね」と気さくに話ながらもからまった網からトウヨウイシガニを外し僕が持っていったバケツに放り込んでくれた。
 イセエビを外す網周りにはいろんな生き物が落ちている。売り物になるイシガキダイ、サザエはもちろん、岩のように見えるイガボヤ、カコボラ。ガザミ科のベニツケガニ、トウヨウイシガニ、イシガニ科のショウジンガニのなんと多いことか。残念ながら手足がもがれて胴体だけにされてしまっている。
 ベニツケガニの写真をとっていると、みそ汁にしてはショウジンガニの方がうまいよとは、お隣のシタビラメ刺し網の小屋の人たち。3軒の小屋が長家のように連なり、亀吉丸以外は総べて狙いはシタビラメ(クロシタビラメ)である。
「シタビラメの漁も今日は最低だった」と隣からまた声がかかったので船のロープをくぐるとネコザメ、トビエイ、アカエイ、ドチザメなどが転がっている。よく見ると足元にぺたんとツバクロエイもいる。船橋のカニ刺し網にも何匹もかかっていて「よこさ」と呼ばれていた。この辺りでは呼び名はないと言う。


 亀吉丸のおかみさんから、飲みなさいと手渡された缶コーヒーを片手に数えた生き物の内訳は、カコボラ、ミガキボラ、サザエ、ベニツケガニ、トウヨウイシガニ、ネコザメ、ドチザメ、ツバクロエイ、アカエイ、トビエイ、イシガキダイ、メバル、カサゴ。そしてなんだかわからなかったイガボヤである。今日はよくなかったというのにこれだけの生き物が見られた。
↑このイセエビ、1キロはありそうである
→小屋の中は清潔で、100間180メートルの網がていねいに束ねられていく
↑イセエビ。最大のものは1キロ近い大物
←イシガキイダイの模様はどこか白っぽい

シタビラメ刺し網漁
↑ツバクロエイ、当地での呼び名は不明
←アカエイ。これは昔は食べたのだという


ネコザメ。50センチほどの大きさ
↑狙いはクロシタビラメ。今日は不漁であるそうだ

これはなんであろう。図鑑で調べて確当するのはイガボヤ。切ると確かにホヤに似た構造になっている



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