大棒網(定置網) 
2002年12月5日
千葉県鴨川市
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鴨川港no.3
 師走なると一年の疲れが押し寄せてくる。深夜になってそろそろ旅に出なければという意識を、身体のけだるさが消して、止めてしまおうかどうか苦しい決断を迫る。それでも出かけると、そんな一時などなかったのように軽快なのであるが。
 疲れているんだからと、高速は湾岸習志野まで乗る。16号沿いを南に下り、クルマに常備している釣り具を、買い足すために袖ヶ浦の大型釣り具店に入る。この店は品揃えもよくて、しかも安い。と、レジの横を見ると生き餌のカニがうごめいている。「アブラガニ」「マメガニ」「ゲタガニ」の3種。なんと海に辿り着く前に3種類ものカニの撮影ができたのである。大喜びで後で気がついたらカニの後ろに「アナジャコ」らしきものがいる。これは大失敗。悔やんでも悔やみきれない。
●どなたかこのアナジャコなどの生き餌を売っている店を知っている方はお知らせ願いたい
 久留里、鴨川有料道路と飛ばして、海に出たのが7時過ぎ。ハマグリ漁の小屋は深閑として人陰がない。沖を見ると高い防波堤の向こうに波飛沫が飛んでいる。
 ハマグリ漁をする船はみな小型なので、少しでも波が高いと出られないのだ。北にクルマを走らせて浜荻港も回ったもののハマグリ漁に出た船はないとのこと。しかたなく鴨川港に帰り、定置網の船を待つ。帰港は8時過ぎ。
「今は魚、とれねーよ」なんて選別台を組み立てながら、皆が口を揃えて言う。確かにマダイやホウボウなど活けで出荷するものも、箱にまとめるアジや、わらさ(ブリの幼魚)もほとんど入っていない。ソウダガツオもよく見るとカツオ節原料となるマルではなくて、鮮魚でうまいが、商品価値の低いヒラである。おまけに少ないマアジも小さくて、これでは刺身などには使えそうにない。
 ただしやはり魚種は多くて1メートルを超えるマンボウ、2メートル以上ありそうなダイナンウミヘビ、カスザメ、ハリセンボン、イシガキフグ、ソコカナガシラ、メゴチ(天ぷらのめごちではない)、オキヒイラギ、ネンブツダイなど魚好きには「たまらん魚」ばかり。選別していた方が投げてくれたのはなんとマツカサウオ。
 珍しい魚を探すうちに、なんと大発見。ツノナガチヒロエビが混ざっているではないか? そしてスミクイウオ、ツマグロアナゴと深海にいるはずの生き物が浅海の定置網に入っていたのだ。
 来る度に不漁である。これはぼくがジンクスになっているのではと、少々気が引ける。港で待つ間に教えてもらった定置網の監督をしているという青年に御挨拶すると、「売れないんだから変わったものはもって帰っていいよ」と笑って言っていただいた。彼等はなんと多摩地区は昭島の出身なのであると言う。これだけで話がはずむというのは不漁で手持ち無沙汰であるためらしい。
 セリが始まるのを待って、和田浦に向かう。和田浦でも漁はなかったようで、冷凍のサンマを解凍している老人がたったひとりだけいる。港をグルリと回るとボラを釣るひと。日向ぼっこするネコとおじいさん。おじいさんが声をかけてきた。魚を見に来たと言うと、漁協でクジラでも「買(け)って帰(け)ーれ」と言う。値段を聞くと1キロ3000円であるという。高くも安くもない値段である。観光に来たのならお土産は和田浦漁協のクジラというのもイイかも?
 正午を前にして館山に向かう。今回は白浜を避けて、まっすぐに直行する。
●内房は別ページで紹介
セリに並ぶ箱も人陰も少ない。毎年この時期は漁がないのだという
↑カスザメ。これは90センチはある。味は悪くないのであるが姿が嫌われる
↓アオブダイ。これは熱帯に繋がる黒潮ならではの魚
↑ハリセンボン。食べるところが少なく、みそ汁にするのが無難である。定置網などでは棘が硬く厄介な魚
↑ダイナンウミヘビ。ウミヘビというのには爬虫類のものと魚類のものがあるが、これは魚類。体長2メートル。獰猛な顔と鋭い歯
←発光する魚、マツカサウオ。まるで作り物のよう。食べるとうまい

←ツノナガチヒロエビ。沼津では「赤えび」として寿司屋ネタである。生で天ぷらで甘味があってうまい
→水深100メートル以上に棲息するスミクイウオ。鴨川の魚貝類の奥の深さを感じる



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