ぼうずコンニャクの食べる魚貝類だけでなく多彩な生物の図鑑です。掲載種は2000種、食用の水産生物の一般的なものは総て網羅。検索法・食べ方を詳しく解説しています。

マエソ(Brushtooth lizardfish, Larg-scaled saury)

学名:Saurida macrolepis Tanaka, 1917

代表的な呼び名エソ

マエソの形態写真

体長50センチ前後になる。細長い。紡錘形。目が大きく口が大きく葉が鋭い。頭部は一見蛇を思わせる。丸い鱗がざらざらして全体に茶色。背鰭と尾鰭の間に脂鰭がある。胸鰭は腹鰭先端に届く。背鰭と尾鰭の間に脂鰭がある。

  • 魚貝の物知り度 食べ物としての重要度 味の評価度

    ★★★★

    知っていたら達人級

    ★★★★

    重要水産物

    ★★★

    美味
    分類
    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区正真骨下区円鱗上目ヒメ目エソ亜目エソ科マエソ属
    外国名
    Brushtooth lizardfish, Larg-scaled saury
    学名
    Saurida macrolepis Tanaka, 1917
    漢字・由来
    漢字 「真狗母魚」、「蛇頭魚」、「九母魚」。
    由来・語源 「エソ」に「マ(真)」、「トカゲ」、「ワニ」などをつけたのは分類をすすめるうちにマエソ属が数種にわけられることがわかり、区別するためにつけられたもの。
    エソ
    漢字 狗母魚、狗尾魚、九母魚
    由来・語源 エソ類の総称。「エソ」は田中茂穂をして一般的な名称としている。
    意味は大和朝廷のころ、同朝廷に和しない種族を「ヒナ」と呼び、また「エミシ、エミジ、エソ、エゾ」と呼んでいた。「エミシ」、「エミジ」とは「見るに堪えない、見ると嫌悪感のするもの」という意味。「エミジ」と「エソ」は同じ意味なので、「醜悪な感じのする魚」の意味。漢字「狗」も同様に「つまらない、取るに足りない」の意味がある。(『新釈魚名考』、大言海、大漢和などを参考にする)
    地方名・市場名
    ゴンナエ/和歌山県和歌山市雑賀崎。小さい藻の。
    タイコノバチ/新潟県糸魚川市能生
    一般にエソ。
    以下エソ類共通
    イス、イソ、イソギス、エソギス、エンギス、オオヨソ、オバナ、オホエソ、キシ、クサエソ、シチベイ、シロエソ、タイコノバイ、タイコノバチ(太鼓の撥)、タイコノブチ、タイコノボ(太鼓の棒)、タイコノボオ(太鼓の棒)、チンバエソ、ドラブチソウ、ナバナ、ハナトゴ、ヘエ、ホラエソ、モドロ、ヨソ、ヨソウオ。
    生息域
    海水魚。千葉県〜九州南岸の太平洋沿岸、若狭湾〜九州南岸の日本海、東シナ海、瀬戸内海。東シナ海大陸棚、インド〜西太平洋。
    水深100メートルより浅い砂地に生息。
    生態
    産卵期は春から夏。
    肉食魚。
    雌の方が大きい。
    ←マエソ
    尾ビレの下の縁が白い
    ←ワニエソ
    尾ビレの下の縁が黒い
    基本情報
    高級すり身原料として重要なもの。一般にはほとんどお目にかかれない。
    主に関西、西日本でかまぼこや竹輪、天ぷら(さつま揚げ)に使われる。
    和歌山県の南蛮焼きなど名物も多々ある。
    干物になることも多く、知る人ぞ知る美味。
    鮮魚としても好んで焼き物などに使う地域がある。
    水産基本情報
    市場での評価 鮮魚としては安く、ほとんど入荷を見ない。一般に練り製品などの加工用。
    漁法 底引き網
    産地 長崎県、鹿児島県
    選び方
    味わい
    旬は秋から春。
    鱗は薄くて取りやすい。皮はやや厚めで強い。骨は細く長く無数にある皮は独特の風味がありうま味も強い。
    透明感のある白身でやや水分が多いが熱を通しても強く締まることはない。いいだしが出る。
    卵巣は美味。
    栄養
    寄生虫
    食べ方・料理法・作り方
    調理法 焼く(つけ焼き、塩焼き)、練りもの(だんご、蒲鉾、薩摩揚げ)、汁(だんご汁、たたき汁)、揚げる(唐揚げ)
    マエソのつけ焼きつけ焼き 鮮魚が手には入ったら、何等分かしてしょうゆ、みりんを合わせたものを塗りながら焼く。やや骨がわずらわしいがとても美味しい。塩焼きもいい。
    マエソの蒲鉾蒲鉾 身をかきだして、団子や蒲鉾などにしても美味。皮を巻いて焼いて「焼き蒲鉾」にしてもうまい。
    マエソの煮つけ煮つけ 小骨がわずわしいが、味はとてもいい。面倒でも食べてみる価値大だ。
    またとんとんたたいてだしにし、汁ものにしても美味。
    マエソの唐揚げ唐揚げ 小振りのものは頭部と内臓を取り去り、かりっと揚げても味がいい。
    好んで食べる地域・名物料理
    えそのつけ焼き(えその塩焼き) 奈良県奈良盆地、大和高原、奈良平野では秋祭りには必ずエソを食べる。このため秋祭りを一名「えそ祭」ともいう。エソの切り身に砂糖としょうゆをつけて焼く。つけ焼き。
    とんとんずし(トントン寿司) 金栄丸の寺井政見さんから雑賀崎の魚を送っていただき、教えてもらったもの。ここで寺井さんにいただいたメールにてトントン寿司の作り方を掲げます。「トントンの寿司にするときは主にエソを材料に使います。内臓、うろこなどを除いたエソを焼いて皮骨などを除いて身をほぐし、包丁でていねいにトントンとたたきます。それを鍋の中で砂糖、醤油、酒、みりん 化学調味料などで味付けしながら軽く炒りつけてデンプにします。これをのせるご飯は寿司飯を使います。お客さん用には型抜きを使い押し寿司にする事もあります。自家用ならおにぎりみたいに握った寿司飯の上にトントンのデンプ(ヤキゴといいます)を のせます。家庭によっては 錦糸玉子をのせたり のりをのせたり……色々あるのが 家庭料理のよいところです」
    えその尾の刺身えその尾の刺身 愛媛県宇和島市など練り製品作りの盛んなところでは、すり身をとるエソ類の尾の部分を刺身にする。この尾の部分だけに小骨がない。うま味がある上に食感があってとても味がいい。[薬師神かまぼこ 愛媛県宇和島市]
    加工品・名産品
    なんば焼き マエソなどを使った焼き抜きかまぼこ。[たな梅 和歌山県田辺市]
    マエソのすり身作り風景「すり身作り」。愛媛県宇和島市は練り製品で有名。特に高級蒲鉾などはマエソ、グチなどで作る。マエソの頭部と内臓を取り、骨を除去してすり身に、これを「焼きちくわ」、「蒲鉾」にする。[薬師神かまぼこ 愛媛県宇和島市]
    エソを原料とした蒲鉾類エソを原料とした蒲鉾類。国内などで広く流通するものとは違い、底曳き網などで揚がった地魚をすり身にして作る。特にマエソ、ワニエソ、トカゲエソなどで作ったものは最上級品である。[薬師神かまぼこ 愛媛県宇和島市]
    マエソの煮干しえそ煮干し 高知県、長崎県などで作られているもの。うま味と甘味が強くイヤミのない上品なだしがとれる。素麺やうどんなどに向いている。[河原海産 高知県宿毛市、中野海産 高知県宿毛市]
    えそ皮ちくわえそ皮ちくわ 練り製品などを作るときに出たマエソ類の皮を竹に巻きつけて焼いたもの。冷やして薄く切り、そのうま味と食感を楽しむもの。今や非常に貴重なものだ。[木村蒲鉾店 愛媛県松山市、八水蒲鉾 愛媛県八幡浜市]
    マエソの丸干しえその丸干し マエソ類の頭部を落として塩味で干し上げたもの。徳島県、鹿児島県などで作られてる。[江口漁業協同組合 鹿児島県日置市]
    ごまだしごまだし 大分県佐伯市などで作られている。マエソ類の身、ごまをすり鉢ですり、みりん、しょうゆなどで味つけしたもの。これをゆでたうどんなどとからめて食べる。
    釣り情報
    歴史・ことわざ・雑学など
    皮竹輪(皮ちくわ) 『てんやわんや』は獅子文六(岩田豊雄)が妻の郷里である愛媛県宇和郡岩松町(現宇和島市津島町)での体験をもとに書いた小説。主人公犬丸順吉が相生町の名士のひとり田辺民平に馳走してもらうのが皮竹輪。「エソの皮や筋で造ったこの皮竹輪は、蒲鉾食いの大通人をして満足させる、日本無比の超特作的逸品である」。
    参考文献・協力
    協力/伊東正英さん
    『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『聞書き 奈良の食事』(農文協)、『大和の食文化』(富岡典子 奈良新聞社)
  • 主食材として「マエソ」を使用したレシピ一覧

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