ツボダイ

Scientific Name / Pentaceros japonicus Steindachner, 1883

ツボダイの形態写真

体長25cm前後になる。体高が非常に高く、側扁(左右に平たい)。

    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★★
      究極の美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目カワビシャ科ツボダイ属

    外国名

    学名

    Pentaceros japonicus Steindachner, 1883

    漢字・学名由来

    漢字 壺鯛 Tubodai
    由来・語源 田中茂穂はどこの呼び名か不明としている。
    Steindachner
    Franz Steindachner (フランツ・シュタインダハナー/1834-1919)、オーストリア ウイーン生まれ。魚類学・動物学者。

    地方名・市場名

    トモモリ
    場所高知 備考カワビシャと混称。 参考文献 
    テングダイ
    場所高知県浦戸 備考カワビシャと混称。 参考文献 
    インヒシャ
    場所鹿児島 備考カワビシャと混称。 参考文献 

    生息域

    海水魚。水深100m-950m。
    北海道〜九州南岸の太平洋沿岸。日本海新潟県能生町、隠岐諸島、九州北岸、小笠原諸島。東シナ海大陸棚縁辺〜斜面域。九州〜パラオ海嶺北部、済州島、台湾、天皇海山、ハワイ諸島。

    生態

    基本情報

    一般に「つぼだい」として流通しているのはクサカリツボダイと本種。ただし本種の方が少ないと思われる。
    クサカリツボダイはミッドウェー、鹿児島県などでまとまってとれる。本種は主に鹿児島県で水揚げされている模様。
    稀に流通するが認知度は低く、見た目が地味なのもあり値も安い。味的には魚類中トップクラスなのでもっと高くてもいい。

    水産基本情報

    市場での評価 希に入荷してくる。値段は知名度が低くて安い。
    漁法 底曳き網、釣り
    鹿児島県などではトカラ列島と奄美大島の間で延縄(地獄縄)でとっている。
    産地 鹿児島県、宮城県

    選び方

    味わい

    旬は不明
    鱗は薄く取りやすい。頭部、胸鰭の下などは硬くて取りにくい。
    鮮度がよいと透明感のある白身でかたくしまった身。鮮度が落ちると白濁する。
    熱を通しても身が硬く締まらない。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ツボダイの料理法・調理法・食べ方/焼く(塩焼き)、煮る(酒塩煮、しょうゆ煮)、生食(刺身、セビチェ)、汁(みそ汁、潮汁)、ソテー(ポワレ)、揚げる(唐揚げ、タイ風サラダ)
    ツボダイの塩焼き
    ツボダイの塩焼き 鹿児島県などから入荷してくる大型の個体は脂がのっていて、焼いても硬く締まらない。水洗いして頭部と尾を切り落として焼いた。頭部は別に焼いて方がやりやすい。皮目の香りが実にいい。身は豊潤で甘味があり抜群のおいしさだ。

    ツボダイのかまの塩焼きツボダイのかまの塩焼き 水洗いして刺身などにした後のかまの部分だけ焼き上げたもの。非常にうま味が強く、しかも後味が悪いわけでもない。ついつい手が伸びる味わいである。野性的に手で食べて欲しい。
    ツボダイの兜の酒塩煮ツボダイの兜の酒塩煮 水洗いして頭部を落とし、半割にして湯通しする。冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、酒と水で煮て、塩味をつける。皮は柔らかく脂の甘さがある。身は口の中でほろりと崩れるほど柔らかく甘い。
    ツボダイの煮つけツボダイの煮つけ 水洗いしいて、頭部と尾を落として湯通しする。冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよく切り、酒、みりん、しょうゆ、甘めが好きなら砂糖の味つけで煮る。こってり甘辛く煮るとご飯ととても好相性だ。
    ツボダイの刺身ツボダイの刺身 なかなか刺身にできる鮮度のいいものが手に入らないのが残念だが、実は非常においしい。脂は身に混在して白濁する(鮮度がいいと血合いが赤く、透明感がある)が甘味が強く味わい深い。
    ツボダイのセビチェツボダイのセビチェ 体高があり、腹腔が大きいので三枚に下ろして皮を引き、刺身にすると無駄な部分が出やすい。この刺身にならない切れっ端などを集めて作れるのでとても合理的だ。適宜に切った身をライム、塩でしめる。ここに香りのある野菜(紫玉ねぎやルッコラ)、辛みの強い唐辛子を加え和えたもの。
    ツボダイのみそ汁ツボダイのみそ汁 ツボダイの頭部やあらを集めて置く。これを湯通しして、冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよく切り、水(昆布だしでも。酒を加えてもいい)から煮出してみそを溶くだけ。非常に濃厚な味わいの汁になる。その割りに後味がいいのは上質な白身魚ゆえだと思う。ご飯の主菜になるうまさだ。
    ツボダイの潮汁ツボダイの潮汁 中骨、頭部などを適宜に切る。湯通しして、冷水に落として残った鱗やぬめりと流す。しっかりと水分を切り、昆布だしで煮だして酒、塩で味つけする。非常に上品な味わいの中に脂のこくが感じられる。
    ツボダイのポワレツボダイのポワレ 伊豆洗いして三枚に下ろして、血合い骨を抜く。塩コショウしてじっくりと香ばしくソテーする。皮目8分、身を2部くらいがいい。ソテーしたら切り身を取り出して白ワインとレモンなどでデグラッセする。このときリーキやエシャロットを加えると美味。
    ツボダイの唐揚げツボダイの唐揚げ 三枚に下ろして片栗粉をまぶしてじっくりと揚げたもの。全体がさくさくとして非常に美味。竜田揚げにしてもいいし、味つけしないでポン酢で食べてもおいしい。
    ツボダイのタイ風サラダツボダイのタイ風サラダ 三枚に下ろして片栗粉をまぶしてじっくりと揚げて、さらに強火でかりっと揚げる。これをザクザクと刻んで香菜(シャンツァイ)、サニーレタス、トマトなどと和えてドレッシングをかける。ドレッシングはナンプラー、ライムジュース、少量の砂糖、チリソースか辛い唐辛子を刻んだもの。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/田中水産(鹿児島県鹿児島市)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『商用魚介名ハンドブック』(日本水産物貿易協会編 成山堂)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)
  • 主食材として「ツボダイ」を使用したレシピ一覧

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