顎口上目硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系
スズキ目ゲンゲ亜目ゲンゲ科マユガジ属

タナカゲンゲ(tanakagenge)

魚貝の物知り度

★★★★ 知っていたら達人級

学名 Lycodes tanakae Jordan and Thompson,1914
外国名 英名/Tanaka eelpout
同科同属 ゲンゲ亜目の他の魚へはここから!
漢字・由来 漢字/田中玄華。
由来・語源/魚類学者の田中茂穂(1878〜1974)に由来するものと思われる。田中茂穂自身は著書でキツネダラとしている。
代表的な呼び名
地方名・市場名

古くはキツネダラ。
■北海道でナンダ。
■島根県、鳥取県でババ、ババア。
■最近ババチャン(ばばちゃん)と呼ばれているが、これは鳥取県岩美町で「ばば」、「ばばあ」と呼ばれていたのを、当時水産課の川上寿郎さんが 1996年に「ちゃん」をつけようと提案したもの。単に地方名である「ばば」に「ちゃん」をつけるだけで思わぬ反響を呼ぶというのも面白い。また発想が素晴らしい。
■鳥取県岩美町でナマズ、チョウセンナマズ(朝鮮なまず)とも呼ぶ。
■石川県輪島でシャデ。
■福井県でキツネダラの記述。『魚』(1940 田中茂穂 創元社)

形態 1メートル前後になる。犬、もしくはキツネを思わせる顔つき。背部に明瞭な文様があり、若い個体の方がはっきりしている。
生息域 海水魚。島根県以北の日本海からオホーツク海。
水深300メートルから500メートル。
生態
基本情報 日本海沿岸の街でよく出会う大型魚。
最近では関東にも入荷してくる。
古くは練り製品の原材料となるくらいであったが、鳥取県岩美町で鍋を名物料理に。
これがきっかけとなって利用する機会が増えているように思える。
白身でやや滑りが多いもののクセのない味わいで、料理法を選ばない。
冬期に旬を迎えるもので鍋材料として優秀である。
まだまだ安いのでお買い得の魚といえそう。
水産基本情報 水産物としての重要度/★★ 地域的な水産物
市場での評価/日本海側では食用となっているが、流通することは希。関東にもときどき入荷を見る。あまり知名度がないので安い。
漁法/底曳き網(ズワイガニの網などで混獲されるもの)
産地/日本海各地
ノート
選び方 触って張りのあるもの。目が澄んでいるもの。滑りが透明なもの。鰓が赤いもの。
味わい・栄養 ★★★ 美味
旬は寒い時期。
鱗はなく、皮は厚くしっかりしている。
皮はよく滑りをとらないと臭みがある。
白身であまり繊維を感じない。部分によってはボロっとする。
生でそのまま食べても旨みも脂も感じない。
熱を通すと適度に締まる。
身離れはよく、まったくクセがない。
骨などから上品でいやみのないだしが出る。
切り身、下ろした状態の図鑑
寄生虫
すしネタ 昆布締めでつけて美味。面白いすしネタ(すし種)となる。
すしネタとしては寿司図鑑へ!
調理法 汁(鍋、潮汁、みそ汁、ブイヤベース)、フライ、ムニエル、唐揚げ、刺身(昆布締め、カルパッチョ、コチュジャン酢)、焼く(みそ漬け、干す)
食べ方




汁◆鳥取県岩美町名物に「ばばちゃん鍋」がある。これは本来流通しないで漁師さんたちが家庭でこっそり食べていたもの。いいだしが出て、熱を通すとしまるので鍋材料としては上質。産地では鮮度がよいので不要だと思われるが、皮付近に微かに臭みを感じるので、軽く湯引きしてから使う。中骨などいいだしがでるので、必ず利用すること。昆布だしで、ポン酢など、上品な白身なのであまりコテコテ味つけしない鍋がいちばん。また味つけするなら中途半端なものよりも、濃厚にしてしまうべきだ。例えばコチュジャンとにんにくなどを使う韓国風にチゲ鍋、みそ仕立てもいい。当然、中華風に鶏ガラスープに加えてもいい。



フライ◆白身なのでパン粉をつけて焼くと、中がしっとりした上質のフライになる。必ず皮は除去する。
ムニエル◆あまり旨み、脂がある魚でないのでバターを使ってよし。必ず皮は取る。
唐揚げ◆皮に臭みを感じるが唐揚げにすると気にならない。



昆布締め◆単に生で食べても、そんなにうまくない。昆布締めにしてよし。また生で食べるならカルパッチョ、コチュジャン酢をつける、などがいい。
好んで食べる地域 ばばちゃん鍋◆鳥取県岩美町の名物料理。店によって味つけに違いがある。できるだけ単純な味つけの店を選ぶべき。
加工品・名産品 練り製品の材料
釣り
参考文献 協力/川上寿郎 鳥取県岩美町
『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『魚』(1940 田中茂穂 創元社)、『福井県魚類図説』(福井県)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出)、『魚と貝の事典』(月賢二 柏書房)