シライトマキバイ

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殻長15cm前後になる。比較的のっぽで、各層丸みをおびる。茶褐色で火炎を思わせる模様が出ることがある。また南にいくほど殻長が低くなり、円錐形で下の層が膨らみ、先端がすぼまる。 北海道産は丸みを帯びてはいるがどこか角張っていて螺肋の結節に顆粒が顕著に見える。[北海道厚岸産]
各層が丸みを帯びていて螺肋上に顆粒は少ない。殻皮がほとんど取れていないもの。[宮城県産]
各層が丸みを帯びていて螺肋上に顆粒は少ない。殻皮が取れてしまったもの。[宮城県産]
南に行くほど螺肋上の顆粒状の突起が少なくなり、円錐状になる。これは一見、相模湾以南にいるスルガバイそっくりである。[千葉県産]
珍魚度・珍しさ★★★
がんばって探せば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★★
一般的(流通量は普通)
味の評価度 ★★★
美味
分類
軟体動物門腹足綱前鰓亜綱新腹足目エゾバイ科エゾバイ属ヒモマキバイグループ
外国名
学名
Buccinum isaotakii Kira.1959
漢字・学名由来

漢字 白糸巻貝、白糸巻蛽 Siraitomakibai
由来・語源 『目八譜』から。吉良哲明の見た標本は本州東北部産とある。
種小名のisaotakii は瀧庸(たきいさお)に献名。

Kira
吉良哲明(きら・てつめい 1888-1965)、滋賀県生まれ。貝類学者で、多大な功績を残し、しかも小学校教員で四條畷市龍尾寺の住職であった。日本貝類学会『ちりぼたん』の前身『夢蛤』を自費で発刊。『原色日本貝類図鑑』の著者でもある。
瀧庸
瀧庸(滝庸とも。たき いさお taki isao) 明治31-昭和36(1898-1961)、愛媛県生まれ。南京博物館主任研究員、東海区水産研究所部長から1951年国立科学博物館学芸部動物課長。軟体類学者。瀧巌は弟。
地方名・市場名
ゴマツブ
場所北海道 
トウダイツブ[灯台つぶ]
参考荷 場所北海道白糠など 
マキツブ
場所福島県相馬市原釜 

概要

生息域

海水生。
鹿島灘以北〜北海道の太平洋沿岸。
多いのは鹿島灘〜三陸までだと思われる。

生態

基本情報

北海道道東から千葉県の太平洋沿岸で底曳き網などに入る。活けもあるが剥き身で入荷してくる方が多い。標準和名はほとんど知られず、「灯台つぶ」が一般的。関東の小売店でも「灯台つぶ」である。
安くておいしい貝だが、剥き身でくることが多いこともあって認知度は低い。
珍魚度 巻き貝の中では比較的流通量の多いもののひとつ。関東などではときにスーパーなどにも並んでいる。

水産基本情報

市場での評価 春から夏に多い。値段は安くて安定。
漁法 底曳き網
産地 北海道、福島県、宮城県、千葉県、茨城県

選び方・食べ方・その他

選び方

活けは蓋があまり奥まで入っていないもの。触ると奥に引っ込むような反応のあるものがいい。
剥き身は粘液が出ていないもの。張りのある、胡麻模様はくっきりしているもの。

味わい

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

シライトマキバイの料理法・調理法・食べ方/煮る(塩ゆで、煮貝)、焼く(しょうゆ焼き、エスカルゴバター焼き)、生食(刺身)
シライトマキバイの煮貝 エゾボラ属とは違い唾液腺を取る必要なない。水洗いしてしょうゆ味で煮た。煮ても硬く締まらず、身に甘みがあり、内臓に苦みや渋みがない。エッチュウバイやエゾバイなどと同様に使えておいしい。値段が安いのも魅力だ。

シライトマキバイのエスカルゴバター焼き 「剥き身の灯台つぶ」を使った。剥き身は軽く塩もみして水洗いするときれいに上がる。室温で軟らかくしたバターににんにく、刻んだパセリを練り込む。エスカルゴ用の皿に剥き身を入れて、エスカルゴバターをのせてオーブンでこんがりと焼き上げる。
シライトマキバイの刺身 剥き身にして足に切れ目を入れて割り、ぬめりをもみ出す。仕上げに塩でもみして水洗いする。できるだけ薄く切り、わさびじょうゆなどで食べる。エゾバイなどと比べると食感が悪いが、捨てがたい味だ。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

松前漬け/灯台つぶ、イクラ、スルメ、カラフトシシャモの卵などの入った松前漬け。「北寿宝」山下水産 北海道寿都町
むきつぶ(灯台つぶの剥きつぶ) 水揚げされたものを浜で剥き身にしたもの。北海道・東北太平洋側などで盛ん作られて出荷されている。国産だけではなく、ロシア産などもある。発砲などに入って入荷する。これを煮たり、焼いたりするのだがとても便利。
ボイルつぶ貝 福島県などでむきつぶを塩ゆでにしたもの。冷凍流通している。このまま酢みそにしたり、バターでソテーできて便利なもの。

釣り情報

歴史・ことわざなど