軟骨魚綱ツノザメ・エイ上目ツノザメ目ツノザメ科 アブラツノザメ
Sqoalus acanthias Linnaeus
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魚貝類の物知り度
★これを知っていたら学者 ★★これを知っていたら達人 ★★★これを知っていたら通 ★★★★これは常識 ★★★★★これ知ってなきゃハジ
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●写真のサメやサメの用途など青森市の田向商店の多大な協力によっています
魚貝の物知り度/★★
■一般にむき鮫、加工品として入荷してくる
煮つけ/煮こごり/唐揚げ/ムニエル
 全世界の寒・温帯域のやや深海に棲息。他のツノザメとは体に並ぶ白い星(写真上右)で区別がつく。このアブラツノザメを漁獲しているのは青森県をはじめ東北各県。漁期は10月から翌年5、6月。東北の多くの地域が刺し網や底引き網で取っているのに対して青森県三厩では延縄漁で、しかもかなりまとまった量を漁獲している。網ではなく釣るのであるから、当然三厩産のものが上物であると思われる。
 本種の主な産地である青森県にはなんどか魚を見るために行ったことがある。青森県の駅前にある市場はまことに雑然とした不思議な空間であった。この裸電球の光りの下にどーんと並んでいたのがサメの頭(写真左)。「これなんというサメなんでしょう?」と旅人然として聞くと「わっからね(こんな言い方であったと思う)」といい。どう料理するのかと聞いたのだが、言葉が判然としなくてわからないままにうなずいて帰ってきた。このあたまが、どうも、「むき鮫」の副産物ではないかと近年になって思い始めていた。この頭部を使って作る青森の郷土料理「煮こごり」「酢くめ」については副読本で述べる。


↑これが関東などの市場で見かける「むき鮫」。青森市の田向商店

「むき鮫」というのは本種、ネズミザメなどが原料。なかでももっとも味がよいとされているのがアブラツノザメのもの。内蔵をとりさり、ざらざらした皮をむいているのであるから切り身にして、そのまま料理にできる重宝なものである。

 八王子など東京郊外でも海から遠い地域では、戦後すぐの冷蔵庫の普及する前までは、サメは皮つきのまま入荷してきて、それを魚屋さんでペンチで力任せに剥いたのであるという。すなわち冷蔵庫がない時代の魚屋というのは魚の鮮度は氷を使うのが唯一の方法。これでは鮮度保持という点ではあまり効果がなく魚屋の店先の主役は干物や塩蔵品であったのだ。そのようなところに体内にあるアンモニアのために腐敗が遅いサメは鮮魚として重宝なもの、お総菜魚として重要なものだったわけだ。これが冷蔵冷凍庫の普及とともに様々な魚貝類が並ぶようになりサメの影もどんどん薄くなってきている。
 それでは、今、サメというのはどのような評価をされ、商材として食品としてどのような位置づけがされているのか。八王子の魚屋、天野さん、山下さんに聞くとサメはいまだに根強い人気がある。ただし購入する年齢層は高く、人気は下降気味であるという。「若い人はサメというだけで買わねーよ」という魚屋さんも多い。
 最近、スローフード運動とか、健康ブームとか、食を巡る話題は多い。なかにあって人気なのがコラーゲン、スクワレンなどの若さを保つ成分である。サメにはこれら話題の成分がたっぷり含まれていて肌の改善にも効果がある。すなわち若い世代、女性たちが積極的に食べるべきなのだ。ところがコラーゲン、スクワレンなどもカプセルとか高価な健康食品の形で摂取されて、魚屋にならぶ「むき鮫」などには目もくれない。そこにはまったく食の楽しみがないばかりか、そのように特定の成分を単一でとるところに大きなひずみというか、危険があるように思えるがどうであろう。昔ながらの貴重な食習慣を次代に伝えていく大切さを痛感する。
●2003年厚生省から水産物の水銀問題である。ここで問題となったのがキンメダイとともにサメである。この厚生省の調査・発表に関してはあまりにもずさんで、説明不足である。すなわち現状のサメなどを普段通りに(例えば産地の青森でも)食べている限り妊婦や幼児を除いて、まったく安全なものであるのに危険度ばかり突出させてしまった。
■むき鮫というのはスーパー、魚屋では切り身で売られている。若い世代ならムニエルにすることを進める。クセのない味わいのサメにはバターなどがとても合う。ただしサメ料理でもっとも代表的なのは煮つけ。これは柔らかでクセのない白身であり、本種の場合にはうまみ濃厚な出汁がでる。ほかには唐揚げ、焼きざめなどいろいろ用途は広い。
寿司に関しては寿司図鑑へ!
アブラツノザメの料理や加工品については副読本をご覧ください