顎口上綱硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区刺鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目タイ科チダイ属
★★★ 知っていたら通人級
学名 | Evynnis japonica Tanaka |
外国名 | 英名/Crimson sea-bream,Porgy |
同科同属 | 他のホタルジャコ科の魚へはここから! |
漢字・由来 | 漢字/血鯛」。 由来・語源/鰓ぶたの後縁が血がにじんだように赤いので「血鯛」。 |
地方名・市場名 |
各地でチコ、チコダイ、ヒメダイ(姫鯛)、コダイ(小鯛)と呼ぶ地域も多い。 |
形態 | 40センチほどになる。鰓ぶたの後ろが筋状に赤く血がにじんだように見える。尾鰭のいちばん後ろ側の縁が黒く縁取りされない。尾ビレは薄い赤色で一色だけ。 大型になるとおでこが目立って隆起してくる(でこっぱちになる)。鰓蓋の真後ろ縁が血がにじんだように赤い。 |
生息域 | 海水魚。琉球列島を除く北海道南部以南。朝鮮半島。 |
生態 | ■産卵期は秋。北にいくほど早く、秋田県、山形県では7月から10月。九州西海岸では9月から11月。産卵時期も地域で変わり、旬も地域差がある。 ■孵化した稚魚、幼魚は内湾で生育。 ■1年で13センチ前後になる。 ■成長したものは冬は水深60メートルから80メートルの深い場所へ、暖かくなると浅い場所に移動する。棲息する場所はマダイよりもやや浅い。 |
一般的評価 | 単にタイとして認識されている。 スーパーなどでは扱われない。 やや高級なデパートとか、魚屋などでは比較的あって、刺身などに加工されている。 また高級なタイの塩焼きともなっている。 |
水産基本情報 | 市場での評価/関東の市場ではマダイ、チダイ、キダイの順で高い。 ■市場では年間を通して入荷がある。関東で主に需要が高いのは「春日子」と呼ばれる片身1かんどり出来る大きさのもの。三枚に卸した片身がちょうど1個ににぎり寿司になる。1匹で2かんの握りができる。 ■中途半端な大きさになると「塩焼きサイズ」などと呼ばれる。これも価格は安定している。 ■旬の大きなもの鮮度のいいものも需要は高く値段は安定している。 ■小鯛と呼ばれるタイ科の魚は西日本ではキダイが多く、東日本ではチダイが多い。 漁法/底曳き網、定置網、釣り 産地(漁獲量の多い順)/長崎県、山口県、島根県 |
雑学 | |
選び方 | 赤い色合いの鮮やかなもの。目が澄んでいるもの(水氷は当てはまらない)。 |
味わい・栄養 | 旬は晩春から夏。 白身でマダイよりもやや水っぽい。 刺身は皮つきで、もしくは酢じめ、昆布締めなどにするのは水分が多いため。 塩焼きや煮つけに向く。 |
調理法 | 刺身、塩焼き、酢じめ(マリネー)、唐揚げ、天ぷら、煮つけ |
食べ方 | 春になると途端に味がよくなってくる。そして木の芽時、初夏、夏と旬を向かえる。 この時期のチダイは大型のものは刺身にしても美味。 皮目に湯をかけて皮霜造りにしてもうまい。 また軽く酢洗いしてもいい。 酢洗いは三枚に卸して骨を抜き、塩をして、酢で洗う。 酢にもっと長く浸す(つける)と酢締めとなる。 酢じめは江戸前ずしでは「春日子」と呼ばれ、なくてはならないネタのひとつ。 また日本海側の小浜での「小鯛の笹漬け」など酢との相性は最高。 柑橘酢を使うとセビーチェとなるし、フレンチのマリネーもいい。 またマダイと比べてやや水っぽいので塩をして少し置き、塩焼きにしても美味。 同様に干物はうまい。 他にはムニエル、フライなども美味。 小型は唐揚げにしても美味。 また天ぷらにしてもうまい。 ■すしネタとしては寿司図鑑へ! |
好んで食べる地域 | |
加工品・名産品 | |
釣り | 関東では代表的な釣りの対象魚である。「花だい」という可愛らしい呼び名で、マダイよりも手軽に釣れて数を競う。外房や常磐ではエビエサの胴付き仕掛けで、相模湾などではコマセカゴをつけてウイリーのしゃくり釣りで釣る。 |
参考文献 | 『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『魚類学 下』(落合明、田中克 恒星社厚生閣)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会) |