脊索動物門尾索動物亜門海鞘綱(ホヤ綱)壁性目(側性ホヤ目)
褶鰓亜目ピウラ科(マボヤ科)マボヤ属

★★★ 知っていたら通人級
| 学名 | Halocynthia roretzi (von Drasche) |
| 外国名 | 英名/Sea squirt |
| 同科同属 | 他のホヤの仲間へはここから! |
| 漢字・由来 | 漢字/真海鞘、真老海鼠、真保夜。 由来/ホヤの代表的なもの。 ■炎のように赤い色をしているから「火焼け(ホヤ)」。 ■ほや(宿り木)が根を張るに似ているから。 ■海鼠(なまこ)の老いたものだから「老海鼠」か? |
| 代表的な呼び名 | ホヤ |
| 地方名・市場名 |
一般に単にホヤ。 |
| 形態 | 赤く強い皮に包まれ、無数の角状の突起のあるイボがある。身体の上部には入水管、出水管がある。養殖ものは赤が強く、天然ものは薄い。瀬戸内海などには真っ白い個体(画像いちばん下 広島県倉橋島日美丸さんから)がいる。![]() 出水管は−(マイナス)形、入水管は+(プラス)形をしてる。 ![]() 養殖は赤味が強く、イボが少なく太く低く大きい。 |
| 生息域 | 海水生。九州北部、瀬戸内海、日本海、三河湾以北の太平洋側、北海道。朝鮮半島、山東半島。 |
| 生態 | ■産卵期は秋から冬、春。 ■岩や貝などに付着。 ■入水管と出水管を持ち、入水管で水中の微少なプランクトンなどを摂取、出水管でこした海水や排泄物を出す。 ■雌雄同体。 ■幼生期にはオタマジャクシに似た形態をしていて(オタマジャクシ幼生)、脊索がある。その後付着生活に入る。 |
| 基本情報 | マボヤはもともとは三陸などで細々と食べられていたもの。 宮城県では1920年代に養殖がはじめらて、岩手県などにも広まっている。 20世紀の終わりから全国的に流通するようになり、現在では加工品をはじめ、徐々に認知度が高まっている。 |
| 水産基本情報 | 水産物としての重要度/★★★ 重要性は平凡 市場での評価/宮城県、岩手県などで養殖が行われていて年間を通して入荷の多いもの。天然ものはやや少ない。皮をむいて海水と一緒に袋詰めされたものと、活けのものがある。重さではなく1個単位で売る。養殖もので1個卸売り価格で100円前後。天然もので200円ほど。 漁法/養殖、潜水漁 主な産地/宮城県、岩手県、青森県 |
| ノート | ■殻皮(皮嚢)または外套膜という丈夫な膜で包まれているので「皮嚢類」とも。 ■脊索動物門尾索亜門で人、魚、カエルなどの脊椎動物亜門と「門(分類のもっとも上位)」を同じくする。 ■脊索動物門頭索動物亜門にナメクジウオ。 ■食用となるのは国内ではマボヤ、アカボヤ。韓国などではエボヤ、シロボヤ(?)。 ■東北太平洋側青森県、岩手県、宮城県などで主に養殖、採取されている。 ■出荷までは4年かかる。 ■明治時代、宮城県気仙沼で船のイカリ綱に使っていたヤマブドウの蔓についたマボヤを採取したのが養殖の始まり。 ■年間約1万トン、8割前後が宮城県で、2割前後が岩手県産。 ■マボヤを食べる習慣があったのは東北太平洋側、青森県、岩手県、宮城県。 ■「ホヤを食べて水を飲むとたいへんうまい」といわれる。 ■「海のパイナップル」と呼ばれた。 ■「藤の花が咲くとホヤがうまくなる」といわれる。 ■「海延喜式に胎貝(イガイ)と保夜(ホヤ)のすしがある。これは乳酸発酵させた「なれずし」。 ■岩手県釜石市生まれの方に「子供の頃には、ホヤの皮をチュウインガムのように噛んだ」という話を聞いた。このようなマボヤに関する情報がありましたらメールでお知らせください。 ■愛知県三河湾では冬に底引き網の副産物として漁獲される。 |
| 選び方 | 触って膨らみがあり、張りのあるもの。しぼんでいたり、触ってしぼむものは古い。 |
| 味わい・栄養 | ★★ 好みが分かれる 旬は夏。 袋状の殻のなかに橙色、薄い黄色の筋肉があって、これを食べる。 筋肉は弾力がありかむとシコっとした食感がある。 独特の苦みがあり、甘みが微かにする。 食べた後に水を飲むと冷たく感じる。 |
| 切り身、下ろした状態の図鑑 | |
| 寄生虫 | |
| すしネタ | ■すしネタとしては寿司図鑑へ! |
| 調理法 | 刺身(酢の物)、塩辛、焼く、蒸す(ゆでる)、干す |
| 食べ方 | ![]() 刺身◆食べ方はホヤの岩などについている方を切り、まず体内の海水をボウルに受ける。 そして二つ割、皮を剥いだら内側の黒い部分や透明なワタを出し、刺身にきる。 これを取り出した水とともに器に盛る、これが一番うまい。 物足りないと感じたら塩と柑橘類でたべるのががよい。 岩手などでは酢の物が定番となっている。 酢の物◆キュウリなどの野菜と合わせて合わせ酢(二杯酢、三杯酢)というのもいい。 ただし個人的には醸造酢とマボヤの相性は疑問。 焼きホヤ◆ホヤはほとんど生で食べられるのだが、三陸では焼いて食べる。 焼くと渋みも旨味も濃厚になり、独特の風味が増す。 ゆでる◆茹でるというのが甲斐崎圭という人の本にあった。ホヤを2つ割にして塩と七味唐辛子で下味をつけておく、これを茹であげるのだ。これは加工品としてあるもの。海の味が凝縮していて過激に舌を刺激する。 |
| 好んで食べる地域 | 岩手県/生のままどんぶりに入れてつるつる食べる。汁の身にする。豆腐やネギと食べる。塩を振っておくと1ヶ月くらいもつ。 干しホヤ、塩ホヤ、生ホヤ/宮城県。ほやだしの汁。ホヤの皮(殻)でだしをとり、醤油で味つけ。野菜やうどんを加えて食べる。 ![]() ほや雑煮/宮城県石巻で作られている、干しホヤのだしで作った雑煮。だしに使った欲しホヤが具の中心となり、根菜類、青菜などが加わる。非常に旨みの強いいいだしが出て、干したマボヤもうまい。 酢の物、生醤油で食べるのは一般化している。 |
| 加工品・名産品 | ■加工品に干物、塩辛、燻製、ゆでホヤ。 ■煮ほや/宮城県気仙沼。塩ゆでしたホヤ。一般に冷凍流通。ホヤのクセと旨み、風味が強くうまい。 塩辛◆ほかに定番なのは塩辛。レモンなどの柑橘類と合わせるとうまい。 このホヤにこのわた(ナマコの内臓の塩辛)を合わせたものが莫久来(ばくらい)というのがあるが、これは非常に美味。 珍しいものに三陸でからからに干したものが売られているが、これなど海の味のチップスとも言えそう。 |
| 釣り | 釣り物として紹介するのはどうかと思うが、実際の釣り上がってくるのだから仕方がない。福島などでソイ、メバルなどを胴つき仕掛けで海底をとんとんやっていると、頻繁に根がかりする。これを強引に引くとやや鈍い感触がして海底を離れ上がってくるのがまさしくマボヤである。マボヤが好きならソイなんて見向きもしないでマボヤ釣りもいいものである。 |
| 参考文献 | 協力/広島県倉橋島日美丸 『原色日本海岸動物図鑑』(内海富士夫 保育社)、『新北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社)、『聞き書 岩手の食事』(農文協)、『聞き書 宮城の食事』(農文協)、『たべもの語源辞典』(清水桂一編 東京堂出版)、『青森県 さかな博物誌』(日下部元慰智 東奥日報社)、『新版 水産動物学』(谷田専治 恒星社厚生閣)、『比較動物学 アメーバからヒトまで』(M.フィンガーマン 培風館)、広辞苑、『ごっつぉうさんー伝えたい宮城の郷土食』(みやぎの食を伝える会編著 河北新報出版センター) |