まだ間に合うぞ、クロダイちゃん

妊娠10ヶ月ながら見事な魚体


八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産で愛知県一色産のクロダイを買った。1.3kgはサイズ的にも申し分がない。
当然、時季的にお腹はでっぷりとして出産間近だということがわかる。
普段なら買わないのだが、連休の狭間で他にめぼしい魚がない。
しかもクロダイは年間を通して買っているが、5月始めのクロダイはたまたまではあるが買っていない。
一色産のクロダイは明らかに活け締めである。昔ながらの粗野な締め方だけど死後硬直以前だ。うまく締めてある。
さて、帰宅して真っ先に下ろすと卵巣が膨らみに膨らんでいる。やがてこの卵巣がほぐれ始めて産卵開始となる。
三枚に下ろすと身に張りがあり、触った限りでも脂がのっているのがわかる。値段からすると大当たりだ。

食感がいい、脂がのっている、味もある


素直に刺身、そして湯引きにする。
水洗いして三枚に落とし、背と腹に分けて血合いを取る。
刺身の作り方は省くが、卵巣の膨らみからは想像できないほど脂がある。
その上、少し薄めに切ったら、味わい豊かでつけ醤油などちょんちょんで充分である。
やはりクロダイの刺身は魚類中トップクラスの味だと改めて思った。
これを遅めの朝ご飯兼用の昼ご飯で食べたが、ご飯の味の中でも浮き上がってくるくらいにうま味が強い。

辛子酢みそのヒリっときてクロダイの味が来て


深夜酒の友に作ったのが湯引きである。
合わせたのは酢みそ。
福島県南会津町、山内麹店「梁取みそ」・米酢・少量の砂糖に、辛子をたっぷりプラスした。なめるとヒリっとくるくらいがいい。
腹の身の水分を拭き取り、刺身状に切る。
沸騰したところにコップ半分の水で少しだけ冷ました湯に通して氷水に落とす。
水分をよくきる。
最近よく見かける岩手県産の長ーい「うるい(オオバギボウシ)」をゆでたものをつけ合わせる。
深夜に神奈川県松田町の「松みどり 純米酒」をコップ1パイだけ。
ゆっくりゆっくり飲む酒にやたらに合う。
さて、連休が明けたら、もう一度だけクロダイを買おう。

醤油に飽いたら辛子酢みそなのだ


刺身にも湯引きにも、表面をあぶったたたきにも酢みそは合う。
刺身というと醤油という固定観念は捨てた方がいい。


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