三浦市 三浦半島初声長浜
打ち上げ貝をひろう
2004年7月6日
ベニシボリ。これはウミウシなどと同じ後鰓類
アシヤガイ
小さなイボタマキビ
カラマツガイは産卵の真っ最中
ビワガイは三浦半島では珍しい
ボサツガイ
小さなフトコロガイ
チグサガイ
貝殻などをまとったヨロイイソギンチャク
スカシユリ
浜ではたくさんのメダカラがひろえます
左がキイロダカラ、右がチャイロキヌタ
コモンダカラ
カモンダカラ
シボリダカラ
オミナエシ
●打ち上げ貝や貝の収集のことは相模貝類研究談話会へ。

●また相模貝類研究談話会の会長、渡辺政美さんは毎日、早朝から三浦市初声長浜で貝をひろっています。とりあえずここから始めるのもいい。
 今回の旅の主目的は相模貝類研究談話会会長である、渡辺政美さんと打ち上げ貝を探すということ。打ち上げ貝というのは死んだり、また台風などで浜辺に打ち上げられた貝のことであり、「浜辺で貝をひろう」なんていうと、ちょっとロマンチックな趣がある。
 長浜に着いたのは午前8時半。朝方の雨が上がったとたんに真夏の日差しがまばゆく差し込んできて、風は湿気と熱をはらんでいる。浜の入り口には無料駐車場があり、その先には、もう海の家が出来上がっている。夏本番が近いということか?
 場所は神奈川県三浦市初声長浜である。ここは長井荒崎から続く弓なりの浜、三浦には珍しく雄大な景観である。渡辺会長を探して浜辺を北に向かう。子供達は海を見ると、もうじっとしていられない。すぐに汀に走り込んで、波と遊んでいる。浜にはたくさんのカジメが打ち上がって決してきれいではないが、末娘はすぐにも海に飛び込みそうな気配がある。
 駐車場を出てすぐ、浜の中程で手を振る人が見える。その精悍な歩き方は間違いなく渡辺会長である。どうも入り口近くで待っていてくれたようだ。
「北条時宗のロケがここであったんです」。渡辺さんが浜から勇壮にせり上がる景観を指し示して話す。よく見ると、その岩の下、ところどころに朱色が浮かんでいる。駆け寄って見るとユリのようである。「これはね。っと」と渡辺さんがハマゴウの茂みをかき分けて「スカシユリです」と教えてくれる。この浜を薄緑に染めるハマゴウにも青紫の可憐な花が咲いている。
「今日は打ち上げ貝を拾うにはけっしてよくはないんです。いちばんいいのは小潮です。その上、今日は台風の波が打ち上がった貝を持っていきました。カジメが多いですしね」と、長浜でいちばんたくさん貝が打ち上がる場所に連れて行ってくれた。
 やや盛り上がった砂浜に白く貝殻の帯ができている。浜辺には必ずこのように打ち上げ貝が集まる場所があるという。かがむとすぐに小さなタカラガイが見つかる。これをさっそく渡辺さんに聞くとキイロダカラであるとのこと。そしてゆっくり見ていくとあるある。すぐに手のひらいっぱいになったのはメダカラ。「この浜に打ち上がるタカラガイは30種です。その90パーセントがメダカラ、次にチャイロキヌタです」。
 話している間にも、子供達はタカラガイひろいに夢中になっている。バケツはすぐにタカラガイでいっぱいになる。
 タカラガイの他にはトマヤガイ、オニアサリ、カキ殻、ナガザルの二枚貝。チグサガイ、ムギガイ、エビスガイ、タモトガイ、マツムシやサザエもある。しかしなんといっても打ち上げ貝の主役はタカラガイである。
 当日、渡辺さんが、あらかじめ拾って置いてくれてのはサメダカラ、ホシキヌタ、コモンダカラ、カモンダカラ、シボリダカラ、メダカラ、チャイロキヌタ、オミナエシ、ナシジダカラ、ハツユキダカラなどとビワガイツタノハである。
 子供や妻はこの貝の山に座り込んで夢中でタカラガイをひろう。家族のバケツを見てみると、すでにメダカラ、チャイロキヌタ、オミナエシ、カモンダカラ、ハツイキダカラ、キイロダカラ、サメダカラに珍しいものとしてはベニシボリ(後鰓類)などが入っている。

 夢中になっている家族を残して岩場に行ってみる。岩場ではカラマツガイが産卵の真っ最中である。波しぶきのなか、岩場には、たくさんのカラマツガイがいて、たくさんの卵黄色の、「の」の字型の卵がある。またここで渡辺さんにイボタマキビを見つけていただいた。イボタマキビはこの地で繁殖しているのではなく伊豆七島などから幼生が流れ着いてきているのではないかという。大きくても1センチほど、目立たない巻き貝である。また引き潮で現れた磯にはスガイ、イソニナやバフンウニ、ムラサキウニがいる。

 さて、バケツいっぱいのタカラガイをひろい、浜に帰ってくるともう水着で泳いでいる人たちが見られる。日差しの中は間違いなく30度は超えており、裸足で歩いていた子供は熱くて小躍りしている。「水着もってきたらよかった」。

 最後に「打ち上げ貝」をひろうというのは貝の収集では基本的なものであるという。ほとんどが中身が海水に洗い流されているために、そのままコレクションになる。またお金がかからない。そしていちばん優れているのは自然に優しい、生き物を殺さないということである。よちよち歩きの幼児でもできるのだから家族で楽しんでいただきたい。打ち上げ貝を持ち帰ってからもいろんな楽しみが待っている。種類ごと、大きさごとで分けてみる。きれいな絵柄に並べてみたり。これでアクセサリーを作ったりもできる。



関連コンテンツ