ヒゲソリダイ

ヒゲソリダイの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
40cm SL 前後になる。体高があり、背の部分から尻鰭に斜めに幅の広い日本の帯があるが、ほとんど消えていて見えないものもある。下顎の髭は非常に短い。[29cm SL・872g]
40cm SL 前後になる。体高があり、背の部分から尻鰭に斜めに幅の広い日本の帯があるが、ほとんど消えていて見えないものもある。下顎の髭は非常に短い。[37cm SL・1.72kg]
40cm SL 前後になる。体高があり、背の部分から尻鰭に斜めに幅の広い日本の帯があるが、ほとんど消えていて見えないものもある。下顎の髭は非常に短い。[37cm SL・1.72kg]
下顎の髭は非常に短い。

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珍魚度・珍しさ★★★
がんばって探せば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★★
一般的(流通量は普通)
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜ヒゲダイ科(イサキ科)ヒゲダイ属
外国名
Short barbeled velvetchin 台湾/黑鰭髭鯛、銅盆魚、番圭誌(澎湖諸島)
学名
Hapalogenys nigripinnis (Schlegel in Temminck and Schlegel,1843)
漢字・学名由来

漢字 鬚剃鯛 Higesoridai
由来・語源 下あごに生えたヒゲダイに比べるとヒゲが短く、密集してヒゲをそったようだから。
2005年にヒゲダイを新種記載するまで、ヒゲダイとヒゲソリダイは混乱していた。
田中茂穂は、Hapalogenys nigripinnis をヒゲダイとしていた。これが現在のヒゲソリダイの学名になる。
ヒゲソリヒゲダイは、 Hapalogenys nitens Richardson, 1844 (synonym) だったが、今はシノニムとなっている。
Hapalogenys maculatus にニラミヒゲダイという和名をつけていたこともある。

Schlegel
ヘルマン・シュレーゲル(Hermann Schlegel 1804-1884年)はドイツの動物学者。テミングとともにシーボルトの持ち帰った脊椎動物を整理、記載。『Fauna Japonica』(日本動物誌)を執筆。
Temminck
コンラート・ヤコブ・テミンク Coenraad Jacob Temminck(1778-1858 オランダ) シュレーゲルとともにシーボルトの持ち帰った脊椎動物を整理、記載。『Fauna Japonica』(日本動物誌)を執筆。
地方名・市場名

概要

生息域

海水魚。水深25-81mの砂泥地。
青森県日本海側、[秋田県]、[山形県酒田市]〜熊本県天草の日本海・東シナ海沿岸、千葉県外房、神奈川県〜九州南岸の太平洋沿岸、[山口県宇部市]、瀬戸内海。青森県太平洋沿岸、岩手県でも。
朝鮮半島南岸、台湾、遼寧省から広東省の中国沿岸、ミャンマー。

生態

エビなどの甲殻類、タコやイカなどの軟体類をエサとしている。

基本情報

本州以南に生息している。日本各地で水揚げされているが、九州での水揚げが多い。
暖かい海域に多く、もともとは西日本だけでとれる魚だったが、近年北上しているように思える。昔は関東の市場ではほとんど見られなかったのが、今や当たり前の存在になっている。温暖化の影響が少ないながら見られる魚のひとつだ。
コショウダイのように虫がつかない、血合いがきれいなことなどで評価が上がっている。
非常に味のいい魚で、しかも鯛形をしているので徐々に値が上がってきている。
珍魚度 珍しい魚ではなく流通上も普通の魚という認識になっている。ただ入荷量は少なく、かなり探さないと手に入らない。

水産基本情報

市場での評価 量的には少ないが、関東の市場でも人気が高い。歩留まりがよく、見た目も悪くないので高値で取引されている。
漁法 定置網、釣り
産地

選び方・食べ方・その他

選び方

目が澄んでいるもの。触って硬いもの。鰓が鮮紅色のもの。

味わい

旬は秋から初夏だと思う。年間を通して味が落ちない気がするが初夏から夏にかけて産卵後であるためか脂が抜けた個体がある。また大小に関わらず味がいい。
鱗は小さく取りやすい。皮は厚くしっかりしていて引きやすい。
白身で血合いが美しい。熱を通してもあまり硬く締まらない。
骨などからいい出しが出る。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

ヒゲソリダイの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、カルパッチョ、セビチェ)、焼く(塩焼き)、煮る(鍋、煮つけ、塩煮)、揚げる(唐揚げ)、ソテー(ポワレ、ムニエル)、汁(潮汁、みそ汁)
大型ヒゲソリダイの刺身 大型を水洗いして三枚に下ろして皮を引く。皮霜造りにするには皮が強すぎるし、焼霜造りにすると皮の香りが立ちすぎる。素直に刺身にするべきかも。また大型は背鰭下の鰭筋が発達しているので、縁側も楽しめる。身にイサキのようなうま味があり、よりたんぱくで上品な味わい。ある意味、白身魚の頂点かも。

小型ヒゲソリダイの刺身 小さくてもおいしいのが本種の特徴である。20cm上を水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取り、そぎ切りにする。小さいのにうま味が強く、奥行きのある味わい。背鰭下の筋肉もおいしい。
小型ヒゲソリダイの焼霜造り(焼き切り) 小型を水洗いして三枚に下ろす。血合い骨・腹骨を取り、水分をよく拭き取る。皮目をあぶって刺身状に切りつける。皮目には独特の風味があり、身に甘みがある。非常に美味。
ヒゲソリダイの塩焼き 大きいものの方が焼いて味わい深い。皮に独特の香り、うま味がある。身は程度に繊維質で身離れがいい。イサキの塩焼きに勝るとも劣らずのおいしさ。徐々に関東でも見かける機会が増えている、塩焼きの定番としてもいいかも。
ヒゲソリダイの水炊き 福岡県博多の鶏の水炊きの作り方で、作ったものである。頭部などを適当に切る。湯通しして冷水に落として表面の汚れや残った鱗を流す。水分をよくきり、差し昆布をして真水で強火であくをすくいながら煮込む。昆布を取りだし、土鍋に移して野菜などと煮ながら食べる。
ヒゲソリダイの煮つけ(あら煮) 大振りのものは、あら煮、切り身で、小さい物は丸のまま煮つけにする。水洗いして湯通しして、冷水に落として鱗やぬめりを取る。水切りをして酒、砂糖、しょうゆの味つけで煮る。酒、塩のみでも、酒、みりん、しょうゆの味つけでもうまい。最後の骨湯も美味。
ヒゲソリダイの塩煮 水洗いして頭部を落とす。強めの塩をして半日ほど寝かせる。これを水洗いして塩水でゆっくりと煮る。味つけは塩だけなのに魚臭さがなくて、上品な味である。柑橘類をしぼり食べるとまたよしである。
ヒゲソリダイの素揚げ 粉をつけないで揚げるのが素揚げだが、向き不向きがある。本種の皮は厚みがあって強いので比較的向いている。水洗いして三枚に下ろし、塩コショウする。水分をよく拭き取り、低温から揚げはじめて仕上げに高温で仕上げる。皮は香ばしく、身は硬く締まって独特の食感がある。
ヒゲソリダイの唐揚げ かまの部分とか鰭下の部分などを集めて置く。食べやすい大きさに切り、片栗粉をまぶしてじっくり二度揚げする。皮目がなんといっても香ばしくておいしい。身は締まって甘味がある。
ヒゲソリダイのポワレ ヒゲソリダイは三枚に下ろして血合い骨を抜く。塩コショウしてたっぷりの油で皮目からソテーする。皮目8、身2の割りでソテーするといい。皮はかりっと香ばしくまた甘味がある。身はふっくらとして柔らかくておいしい。
ヒゲソリダイの潮汁 大型はあらを、小型はまるのままぶつ切りにして使う。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、昆布だしで煮だして酒・塩で味つけする。とても奥行きのある味わいである。ここでは粗挽きコショウで香りづけした。
ヒゲソリダイのあらのみそ汁 あらを集めて、湯通しして冷水に落として鱗やぬめりを取る。水分を切り、水から煮出してみそをとく。うま味豊かで、付着した身が非常に味わい深い。滋味豊かな味である。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど

地方名・市場名

クロメ
備考ヒゲダイとの混称大。 参考文献 場所三重県鳥羽 
トモモリ
参考文献 場所和歌山、高知 
トモシゲ
参考文献 場所和歌山県串本・和深 
タノキヅラ
備考ヒゲダイとの混称大。 参考文献 場所和歌山県辰ヶ浜 
コショウダイ
備考ヒゲダイとの混称大。 参考文献 場所和歌山県辰ヶ浜、広島 
カヤカレ
備考ヒゲダイとの混称大。 参考文献 場所富山県新湊 
コツダイノミコ
備考ヒゲダイとの混称大。 参考文献 場所富山県魚津 
アンマサノヤキモノ
備考ヒゲダイとの混称大。 参考文献 場所富山県魚津・生地 
カヤガリ
参考阿部鮮魚店 場所山形県酒田市 
カヤカレイ
参考聞取 場所新潟県 
ヒゲダイ
備考ヒゲダイとの混称大。 参考文献 場所東京、神奈川県三崎 
コウコダイ
備考ヒゲダイとの混称大。 参考文献 場所熊本県 
チンカ
参考木戸克己さん・井上正一郎さん 場所熊本県天草 
コロダイ
備考ヒゲダイとの混称大。 参考文献 場所福岡県玄海 
ヤジュウ
参考竹下敦子さん 場所長崎県南島原市 
ナベワリ
備考ヒゲダイとの混称大。 参考文献 場所静岡県静浦 
カヤカリ[茅刈]
備考秋の茅を刈る頃にたくさんとれて美味しくなる。 参考聞取 場所山形県酒田市、鶴岡市由良漁港、新潟県上越市 
カヤダイ
参考聞取 場所大分県中津市 
タモリ
参考土井祐介さん、聞取 場所徳島県鳴門市・徳島市漁業協同組合 
カキダイ
参考荷