コブダイ

代表的な呼び名カンダイ

コブダイの形態写真一覧 (クリックで下に拡大表示)
体長1m前後になる。背鰭棘は12・軟条は9-11。大きくなるにしたがい前頭部が張り出してくる。幼魚は体側に色合いの薄い縦縞がある。[体長80cmの成魚]体長1m前後になる。背鰭棘は12・軟条は9-11。大きくなるにしたがい前頭部が張り出してくる。幼魚は体側に色合いの薄い縦縞がある。[体長50cm]幼魚は体側に色合いの薄い縦縞がある。[体長25cmの幼魚]

コブダイの形態写真

体長1m前後になる。背鰭棘は12・軟条は9-11。大きくなるにしたがい前頭部が張り出してくる。幼魚は体側に色合いの薄い縦縞がある。[体長80cmの成魚]

魚貝の物知り度 ★★★
知っていたら通人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★★
究極の美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系ベラ亜目ベラ科コブダイ属
外国名
英名/Bulgyhead wrasse, Cold porgy 中国語/寒鯛
学名
Semicossyphus reticulatus (Valenciennes)
漢字・由来
漢字 瘤鯛
由来・語源 関西、瀬戸内海、山陰などでの呼び名。大きくなるにしたがい頭部目の上の部分がふくれて瘤(こぶ)のようになるため。
地方名・市場名
モコズ/山形県酒田市酒田漁港山形県漁業協同組合
エビスダイ/兵庫県明石市
古くはカンダイ(寒鯛)。東京での呼び名で寒の時期に味がよくなるため。
アマ、イザ、イソアマダイ、イダ、イラ、エビスダイ、オキノアマダイ、ガン、カンノダイ(寒の鯛)、カンノンダイ、クズダイ、クマノミ、コブ、コベダイ、センダイ、テス、デスコベ、ナベクサラシ、ノマ、ノムス、ノモス、ヒコジ、ミコ、ムクジ、モイオ、モクジ、モブシ、モブセ、モムシ。

概要 ▽

生息域

海水魚。
北海道〜九州南岸の太平洋沿岸、北海道〜九州西岸の日本海・東シナ海沿岸、瀬戸内海。朝鮮半島南岸・東岸南部、済州島、鬱陵島、香港。

生態

小型のときは雌で性転換して大型になると雄になる。
産卵期は春。

基本情報

東北以南の太平洋側、日本海側の泡場に普通に見られる大型魚。
定置網、釣り漁などでとれるが量的には少ない。
大型魚でクセのないしっかりした白身なので用途は広く、フレンチ、和、中華など素材として非常に優れている。

水産基本情報

市場での評価 入荷量は少ないが珍しいものではない。大型で上質な白身なので一定の需要があり、やや安値ながら安定している。小型魚の評価は低い。
漁法 釣り、定置網
産地

選び方・食べ方・その他 ▽

選び方

触って張りのあるもの。体色の赤や褐色の濃いもの。退色してあせたもの、張りのないものは古い。大きい方が味がいい。

味わい

旬は寒い時期だが、産卵後以外はあまり味が落ちない。大きい方がおいしい。
鱗は硬いが取りやすい。皮は厚みがあって強い。骨はあまり硬くない。
真っ白な身で鮮度のよいものは透明感がある。身にはまったくクセがなく、生で柔らかく、熱を通すと少し締まるが硬くはならない。
頭部にある瘤には脂肪を多く含んだ柔らかい組織が詰まっている。

こぶの中身こぶ 頭部のこぶの中は脂がたまっていて、外から触ると軟らかい。

栄養

寄生虫

食べ方・料理法・作り方

汁(ちり鍋、みそ汁、潮汁)、煮る(煮つけ、あら煮、煮凝り)、生食(刺身、焼霜造り、皮霜造り)、ソテー(ポワレ、ムニエル)
コブダイのちり鍋ちり鍋 まずは中骨やあらと昆布でだしを取り、酒と塩で味つけする。ここで切り身や野菜を煮ながら食べる。中骨などから出た濃厚でイヤミのないだしと上質な白身を一緒に食べると際限なく箸がすすむ。野菜はなんでもよく、その季節のものを選ぶといい。
コブダイのみそ汁みそ汁 コブダイのあらを湯通しして冷水に落とし、鱗などを取る。よく水分を切り、昆布だしで煮だしてみそを溶く。あらから出るだしは濃厚でうま味豊か、みそがそれに深みを出している。汁として楽しむのもいいが、ご飯のおかずとして優れている。
コブダイの潮汁潮汁 コブダイのあらや中骨は湯通しして、冷水に落として鱗や滑りを落とす。よく水分を切り、昆布だしで煮だして酒、塩で味つけする。好みでしょうがの搾り汁を落とし込んでもいい。青みなどはお好みで。
コブダイの煮つけ煮つけ コブダイの切り身を湯通し、冷水に落として残った鱗や滑りを取る。よく水分をきり、しょうゆ、みりん、酒、水で煮込む。酒と砂糖、しょうゆ、水でこってりと仕上げてもおいしい。仕上げ煮しょうがの搾り汁を落とす。
コブダイの頭のあら煮コブダイの頭のあら煮 頭部、特にこぶ下の脂身を中心にして煮つけたもの。湯通しして滑りなどをとっても煮ると汁が濁ってしまうが気にしなくてもいい。皮目、こぶ下などとろっととろけて甘味がある。冷めるそばから煮凝りになる。
コブダイの煮凝り煮凝り あらにを冷蔵庫で寝かせると見事な煮凝りができる。個人的にはこれに練り辛子をつけながら酒の肴にするのがすき。ただし翌朝の炊きたてのご飯に乗せた方がもっと魅力的かも知れない。どちらにしても魅力的すぎる。
コブダイの刺身刺身 師走に揚がった大振りの刺身。血合いの色といい、透明感のある身といい見た目にも百点満点。口に入れると途端に甘味がきて、やんわりと魚らしいうま味が口中に広がる。イヤミがないのでいくらでも食べられそうである。
コブダイの皮霜造り皮霜造り 三枚に下ろして、皮目にゆをかけて氷水に落として水分をよく切る。これを冷蔵庫などで少し寝かせて、完全に冷めてから切りつける。身の甘味に皮の食感と皮下の脂の甘さが楽しめる。少し皮が硬いのが難点だとは思うが、補って余りある味わいである。
コブダイの焼霜造り焼霜造り 三枚に下ろして皮目をバーナーなどであぶる。氷水に落としてあら熱をとり、冷蔵庫などで少し寝かせる。完全に冷めてから切りつける。やや硬い皮をあぶることで軟らかくして、この皮目のうま味を楽しむ。ポン酢、柑橘類と塩などで食べる。みょうが、青じそ、ねぎなどを合わせても一興。
こぶのムニエルこぶのムニエル こぶの部分は脂の多いやや繊維質の塊である。意外に室温などでは溶けない。これに塩コショウを振り、小麦粉をまぶしてじっくり時間をかけてソテーする。表面はかりっとして中はスープの入り混じったババロアのような状態になる。うま味濃厚でいながらイヤミのない味だ。
コブダイのポワレコブダイのポワレ あっさりした油(グレープシードオイルや太白ゴマ油)で塩コショウしてじっくり火を通す。大型は意外にバターよりも、淡泊な油の方がよいと思われる。ソテーしたあとデグラッセ(こびりついた身やエキスをワイン、フュメ ド ポワソンなどにこそげながら溶かし込む)して酸味を加えてソースにする。
コブダイの酒蒸し酒蒸し 器に少しもどした昆布を敷く、そこに切り身を乗せて強火で10〜15分、加減を見ながら蒸す。蒸すことでふんわりふくらんだ身は適度に繊維質なので一片一片が剥がれ、これが実にうま味豊かでいい。皮はぷるんとゼラチン質で、これもとてもうまい。ポン酢、しょうがしょうゆなどお好みで。
コブダイの祐庵焼き幽庵焼き 切り身をしょうゆ(写真はたまりしょうゆ)、みりん、酒、同割りの地に半日以上つけ込んでじっくりと焼き上げたもの。調味料の味の中に本種の持つ甘味をうま味が浮き上がってくる。身の実にきめ細やかなところもいい。
コブダイの粕漬け粕漬け 酒粕をみりん、砂糖でうるかす。切り身は振り塩をして1時間以上寝かせる。これを粕地に半日以上つけ込んで焼き上げたもの。焦げやすいので要注意。どちらかというと粕の甘味、本種の持つ甘味が強く出て、お弁当などに入れるととても魅力的だ。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど

古くは大型魚と小型魚は別種と考えられていた? 紀州魚譜に「カンダイ、体長12尺」、「コブダイ、体長23尺」とある。いずれもありえない大きさ。

参考文献 ▽

協力/岡部太郎さん(山形県漁業協同組合)
『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)


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