202402/26掲載

大分中津豊前海のカキは小振りなれどウマシ

マガキはその土地の、その前海を感じるからいいのだ

マガキ

関東に住む利点はなにか? 国内でもっとも経済力(最近のは卑しい経済力だけど)があるので、世界中、国内各地の水産物に触れられ、また買って食べることができるということだ。マガキなどその最たるものである。
関東では、北は北海道オホーツク海周辺から南は九州北部まで、がんばれば日替わりでマガキの産地巡りができる。
もちろん消費地での金に飽かしての楽しみよりも、地方に住む人が、その地方の地ガキを食べる方が上なのだけれど。
海岸線で海水の中の植物プランクトンを取り込んでマガキは育つ。そのよさは、その土地の気候、その地域の海の状態が感じられるところなのだ。
我がサイトの目的は水産振興でもなく、動物学を極めるためでもなく、あえていえば食材のことを調べていることすら手段でしかない。この列島の季節、多様性をそのままに楽しむためのものだ。あえて言わせたもらうなら、もうこれ以上自然破壊はやめて欲しい、という切なる思いも込めている。
だからマガキは陸上などで養殖して、ナショナルブランドのチョコレートのごとくしてはならぬ、といいたい。この国も、少しは季節やこの国の特性・特徴を大切にしてはいかがだろう。
さて八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産に大分県中津市、豊前海から小振りなマガキがきていた。
シングルシード(マガキをバラバラの状態で定期的に回転させながら養殖する)ではなく、普通に養殖されたマガキだと思われるが中津で垂下式が可能なのだろうか? 中津市周辺、豊前海のものかも知れない。
余談になるが、最近では垂下式のカキを下に見る報道を多々見受けるが、このような報道をするヤカラに限ってシングルシードと垂下式の違いがわかっていないと思う。値段からしても垂下式にはがんばっていただきたいと、真剣に思っているが、いかがだろう。
中津市には、国内では貴重な広い中津干潟がある。ここにはカブトガニなど、国内ではほとんど見られなくなった貴重な生物が生き残っているところでもある。
いまだに埋め立てという極悪非道なことを平気で考える、現代の鬼が消えていないがため、中津干潟の行く末が案じられて仕方がない。ビルを建てることは埋め立てにつながり、余分なゴミを出すことも同じである。ヒトは自然を考えて生き、また食うべきである。
中津産マガキには思う事が多すぎる。

豊前海のカキは身が太り、味わいも豊かなり

中津産マガキ

ちなみに深夜にしみじみ食べるならマガキは小振りの方がいい。
流水で殻のまわりの汚れや殻の破片などを流す。
あとは剥いて食べるだけなので、料理ではない。
豊前海中津のマガキはいいカキである。
この時季の軟体部分の食感がいいのは当たり前だけど、十二分にうま味というか、カキらしい味がする。
豊前海の味がする。

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マガキのサムネイル写真
マガキJapanese Oyster フランス語/huîtres creuse汽水域、内湾。日本全土、東アジア全域。最近ではフランス、オーストラリアなど世界中で養殖されている。フランスなどでの生・・・・
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