202306/21掲載

ツクシトビウオは夏の魚

夏まっさかりを感じる魚である

ツクシトビウオ

我がサイト最大の目的は自然保護であり、自然保護のためには季節季節に食べる水産物を替えて、食を未来に繋げていく必要があると考えている。
国内海域の海の中は春夏秋冬がはっきりしていたが、じょじょに季節が失われつつある。それでも季節を感じていたいと切に思っている。
そんな中にあって、比較的昔ながらの回遊をみせているのがトビウオ類である。早春にハマトビウオが、春の終わりにツクシトビウオが、少しだけ遅れてホソトビウオがやってくる。そして立秋を過ぎて到来するのがトビウオ(標準和名の)だ。トビウオ類は同定が難しいので季節感が感じられる人はまずいない。たぶんトビウオさんたちは、ちゃんと見て欲しいな、と思っているはずではあるが。
今、市場には毎日のようにツクシトビウオがやってきている。今回のものは、八王子綜合卸売センター、福泉を通り過ぎようとして、そのコバルトブルーに惹かれて荷を見たら千葉県鴨川産だった。すべてていねいに活け締めされている。鮮度のいいトビウオ類は非常に美しい。

皮なしは今ひとつうま味に欠ける


作ります料理は毎年相も変わらずだ。
たたきにみそ汁、これがいちばん日常的だし簡単だし、端的にうまいし。
買って来たツクシトビウオは邪魔になる胸鰭・腹鰭を切り取ってしまう。臀鰭は本当は引っ張って抜いた方がいいが、切る方が簡単なのだ。
三枚に下ろして、腹骨をすき、面倒だが血合い骨を取る。薄く切るなら血合い骨はそのままでもいい。
びっくりしたのは生殖巣が膨らんでいなかったことだ。真子・白子を期待していたので、ちょっとだけがっかり。ツクシトビウオは産卵回遊だと思っていたので勉強不足なのを思い知る。
今回は皮付きと皮なしを作ったが、トビウオのたたきは皮付きの方がうまい。
皮を引くと身(筋肉)自体の平坦な嫌みのない味わいが感じられる。これはこれでいいが、香辛野菜に味で負けている気がする。

皮がついている方がうまい


皮付きのたたきは食感的にも優れている。脂からくるうまさではなく、呈味成分が豊かであることからくるうまさを感じる。
青魚の持つ風味も強く感じられる。この青魚の風味も夏らしい。

ツクシトビウオのみそ汁は酒の肴になる


個人的な好みだが、肴にみそ汁も作り、合わせたのは近所のスーパーで買ったいちばん普通の麦焼酎である。
トビウオ類のみそ汁はうま味豊かで飯にも酒にも合う。
最近、みそ汁を肴に酒を飲むことが好きで堪らない。
たたきにすだち、みそ汁にもすだち、麦焼酎にもすだちで夏の香りがする。

このコラムに関係する種

ツクシトビウオのサムネイル写真
ツクシトビウオ英名/Flyingfish, Narrowtongue flyingfish海水魚。北海道石狩湾〜九州西岸の日本海・東シナ海、北海道尻臼〜仙台湾の太平洋沿岸、房総半島東岸〜屋久島の太平洋沿岸。・・・・
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