202305/06掲載

立夏、銭州のアオムロ

旬の超大物


八王子総合卸売協同組合、マル幸、クマゴロウは天才釣り師だと思っている。今季初銭州釣行で大型クーラーに入りきれないくらい釣り上げて、おまけにボクにアオムロ(クサヤモロ)をくれた。
いきなり本命を3尾ってのもすごいけど、立夏目前なのでクサヤモロの方がうまいかも知れないと思う。もちろん絶対に釣り師には言ってはいけないことだけど。
体長34cm・重さ633gは本種としては最大級ではないか? 伊豆諸島で「大ムロ」とはこのような個体を指す。勝手に連れてくるとき、触っただけでただものではない、そんないちばんいい個体を連れてきた。
実際、水洗いしていても水面に脂のギラギラが浮き上がる。卵巣は小さく、胃袋にはプランクトンがいっぱい詰まっていた。この甲殻類の正体はなんだろう。

皮下ににじむ脂


三枚に下ろして腹骨と血合い骨を抜く。血合い骨が抜きやすいほど脂がのっているのだけどすいすい抜けるのだ。活け締めなので皮が剥けない。剥いたそばから脂が浮き上がってくる。切れ端を口に放り込むと舌の上で溶けて消える。

まさに刺身の頂点


刺身の味は名状しがたい。口に入れる前に溶け始めた脂が舌の上で半固体化して甘く感じるのだけど、それ以上に青魚の味が口に急激に広がる。
思わず、近所の酒、笹一をぬる燗にして、舌の上の脂を流す。
ムロアジ類の特徴は旬とはいえど当たり外れがあることである。当たれば値千金。千両箱をもらった気分になる。

このコラムに関係する種

クサヤモロのサムネイル写真
クサヤモロMackerel scad海水魚。沿岸や諸島部の水深40-200mの中・下層。伊豆〜小笠原諸島、青森県津軽海峡、相模湾〜九州南岸・屋久島の太平洋・・・・
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