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刺胞動物門花虫綱イソギンチャク目
ウメボシイソギンチャク科
イシワケイソギンチャク
Gyractis japonica
魚貝の物知り度/★★ 知っていたら達人級
市場での評価・取り扱われ方◆有明海では食用とする。有明海珍味のひとつ。関東の築地などにも希に入荷してくる。関東での定まった評価はない
生息域◆本州中部から九州の干潟に棲息。
大きさ◆体長(触手を引っ込めた状態)10センチ前後になる
漢字◆「石わけ磯巾着」。
標準和名由来◆調べているところ
呼び名・方言◆福岡県柳川ではでは「わけ」、「わけの尻のす(わけのしんのす)」
食べ方◆ 茹でて酢みそあえ/みそ汁
メモ01/檀一雄の『美味放浪記』は食の本としては、食べ歩きやグルメ本とは一線を隔して、旅で出合った食材を自分なりに調理し吟味するという実践から(料理する側から見た)生まれたものだ。なかでも彼の幼少を過ごした福岡県柳川市沖の端での魚貝類の記載は貴重な資料ともいえる。その「わけ」「わけのしんのす」の話は日常食として本種がどのように利用されたがわかる。
 柳川では、みそ汁にして週に2~3度は必ず食べたものであると言う。この味のないコリコリした食感が好むと好まないに関わらず、普段の食材としてあったわけだ。
 語源としては「わけのしんのす」という言葉がある。「わけ」=イソギンチャクの「しんのす」=尻の穴、ということ。確かに触手を納めた形が肛門に似ていなくもない
 それが今や、漁獲量が減り、また漁をする人も激減するなど有明海沿岸の福岡・熊本でも気軽な食材ではなくなってしまったようだ。

 この写真の「わけ」は熊本県荒尾市で漁獲されたもの。この「わけ」の荷主である松田海産に電話でいろいろ聞いてみた。本種は潮が引いたときに「わけやぬき」という道具で掘るようにとるのであるとのこと。またもう一種、食用とする「わけ(ハナワケイソギンチャク)」がいるが最近はとらないともいう。またとれる量は年々減ってきているとも言う。
 有明海以外では、その昔、東京湾浦安(千葉県浦安市)でも食べられていたのだという。このあたりはもっと詳しく調べる必要がある。情報/千葉県立中央博物館海の博物館 柳研介さんより
◆食べてみる◆
 見た目が明らかにイソギンチャクであり(当たり前だ)、これだけで食用としては拒絶してしまう人の方が多いかも知れない。きっと断然多いのではとも思える。まずこの、食べられるかどうかからの話になる。
「わけ」はうまいかまずいか? と聞かれると、どちらでもないと答えるしかない。甘味も旨味も微か、味らしい味がない。
 これから味を引き出すならみそ汁がいちばんいい。水をはり、適当に切った「わけ」を入れて火をつける。沸いてきたらみそを溶く。これで出来上がり。この出汁には確かに「わけ」の苦味、旨味が出ていて、個人的にはかなり好きな味わいになる。具としての「わけ」もコリゴリして心地よい。
 柳川をはじめ、観光ガイドにのる「わけ」の料理のほとんど総てが酢みそ和え。食材としての価値はコリゴリとした食感にあり味が薄いのであるから、酢みそとあわせるのは誰でも考えることだ。酢みそで和えたなら、味のほうはみそが担当することになる。
●熊本県荒尾市松田海産。福岡県柳川市
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わけのみそ汁
わけの酢みそ和え



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