カナガシラ

カナガシラの形態写真一覧 (クリックで下に拡大表示)
30センチ前後になる。紡錘形でやや細長い。体色は一様に赤。背鰭にも胸鰭にも目立った斑紋はない。胸鰭は羽状だがホウボウなどと比べると小さく、目立った斑文がない。

カナガシラの形態写真

30センチ前後になる。紡錘形でやや細長い。体色は一様に赤。背鰭にも胸鰭にも目立った斑紋はない。

魚貝の物知り度 ★★★
知っていたら通人級
食べ物としての重要度 ★★★★
重要
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カサゴ亜目ホウボウ科カナガシラ属
外国名
Searobin
学名
Lepidotrigla microptena Gunther
漢字・由来
漢字 金頭、金頭魚、鉄頭。
由来・語源 頭が硬いところから。
地方名・市場名
キヌカナガシラ/グラバー図譜(『日本西部及び南部魚類図譜』)
市場では希に「イ」。これは仮名頭は「い」をしゃれたもの。
東北などでキミヨと呼ぶのを聞いている。これは「君魚」すなわち殿様が食べる上等の魚という意味合い。
カネ/山形県酒田市酒田漁港(山形県漁業協同組合)
カナド/山形県酒田市由良漁港
福島県いわき市久ノ浜ではキント。
シシッポ/石川県輪島市朝市。獅子舞の頭を思わせるため。(2010/05/14 ぼうずコンニャク)
愛媛県愛南町ではカナンド。
島根県では、ガツ、ガッツン、ガチ、カナドウ、カナイチ、カナドオ、ガラ、キント、コト、コトヂ、コシナガ。
イジミ、ガシラ、ガッツ、カナ、カナド、カナンド、ガラ、ガランド、ガンゾ、キス、ギス、キントウ、ゴウジ、ゴステン、シシ、シシンボ、スジホデリ、バチ、ハナガシラ、ヒガンゾウ、メンボ、ギス、キス。

概要 ▽

生息域

海水魚。水深40メートルから340メートルの砂泥地。
北海道全沿岸、青森県〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、青森県〜九州南岸の太平洋沿岸、瀬戸内海。朝鮮半島南西岸、渤海、黄海、済州島、東シナ海中部以北、香港、ピーター大帝湾。

生態

産卵期は春。
主に低生のエビや甲殻類をエサとする。

基本情報

古くは上等の白身魚として人気が高かったもの。
東北などで「君魚(きみよ)」というのは、殿様などが食べる上等の魚という意味だ。
節分や生後100日に行われるお食い初め(箸初とも)に使われる魚としても有名であった。
これが近年の脂嗜好からやや人気薄となっている。

水産基本情報

市場での評価 秋から春にかけてときどきまとまって入荷してくる。白身に人気がなくなってきていて値段はやや安値安定。
漁法 底曵網、定置網
主な産地

選び方・食べ方・その他 ▽

選び方

赤い色合いが鮮やかなもの。古くなると退色する。身のしっかり硬いもの。鰓が鮮紅色であるもの。

味わい

旬は秋から初春
鱗は小さく硬く取りにくい。皮は厚く引きやすい。
透明感のある白身で鮮度が落ちると白濁する。
熱を通すとやや締まる。
あらなどから非常にいいだしが出る。

栄養

寄生虫

食べ方・料理法・作り方

料理法
刺身、煮つけ(まーす煮など)、塩焼き(干物)、汁(鍋、みそ汁、ブイヤベース)、他
みそ汁、鍋物などにしてもよい。いいだしが出る。

カナガシラの刺身刺身 旬の脂ののった時期の刺身は絶品。旨みが強く、脂から甘さを感じることができる。食感もいい。
カナガシラのまーす煮まーす煮 醤油味で、塩味で煮て美味。特に沖縄風に塩味で少量の水分で蒸し煮にしたまーす煮がいい。
カナガシラの煮つけ煮つけ 大振りのカナガシラを水洗いして半割にして肝などはそのままに煮たもの。臭味消しには梅干しを使ってみた。これは三重県尾鷲市でのやり方。
カナガシラの塩焼き塩焼き 鱗つきで素焼きにしても、鱗を取り去り塩焼きにしてもいい。塩焼きの味わいは一級品。

好んで食べる地域・名物料理

かながしらの白煮 ワタと鱗を除いた小さめのカナガシラを昆布だしで、けずり大根と煮る。味つけは塩のみ。津軽半島東部。
節分にカナガシラ 長崎では節分に「金にあやかるとして金頭の煮つけもつけられる」という。2012/01/18長崎市築町の茂木直売所での聞き取りでも、茂木では「節分にカナガシラ(イゴダカホデリを含む)を食べると金持ちになる」という言い伝えがあり、節分にカナガシラはなくてはならない一皿だという。
かながしらのみそ煮 小さめのカナガシラの鱗と内臓を取り、昆布だしでけずり大根と煮る。火が通ったら味噌で味つけし食べる。津軽半島東部。
金頭の味噌汁 山形県鶴岡市で作られているもの。水洗いした金頭を水から煮て、みそを溶いたもの。具は豆腐。「産後に食べると母乳の出が良くなるという言い伝えがあり、地域によっては出産祝いにも使われています」『つるおかおうち御膳』(鶴岡市食教育・地産地消推進協議会 鶴岡市)

加工品・名産品

干もの 日本各地で開き干し、醤油干しなどに加工される。
一夜干し しょうゆ味をつけて干し上げたもの。甘味は控えめであっさりして実に味がいい。石川県輪島市

釣り情報

広島県倉橋島の日美丸さんからの情報では「鯛のフカセ釣」では外道のひとつ。アタリはキスに似て、上がってくるときはカレイのような感じの引きであるそう。日美丸の「鯛のフカセ釣り」というのは伝統的な釣法で、仕掛けを見る限り当たりもダイレクトだ。

歴史・ことわざなど

■ 最近人気のない魚のひとつ。味がいいのに不思議。ホウボウの入荷が増えているためか?
■ 津軽藩では上流階級の年越しの膳にも用いられた。
食い初めの魚 生後100日目に行われるお食い初めには、尾頭つきの魚が善に加わる。このときもっともよく使われるのがカナガシラ。頭が硬い魚なので、頭の骨がしっかりする(固まるように)とのか。(『魚の文化史』矢野憲一 講談社)
金にあやかる 長崎県では「金にあやかる」として節分に「かながしらの煮つけ」を食べる。『長崎の郷土料理』(井上寿子・片寄真木子 長崎出版文化協会 1982)

参考文献 ▽

『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『魚の文化史』(矢野憲一 講談社)、『聞書き 青森の食事』(農文協)


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