オイカワ

オイカワの形態写真一覧 (クリックで下に拡大表示)
15cm前後になる。細長く平たい(側偏)。口は吻の頂点にまっすぐ開く。普段は銀色背は黒く地味だが生殖期に雄は鰭が大きくなり、青や赤に色づく。画像は産卵期の雄。普段は銀色背は黒く地味だが生殖期に雄は鰭が大きくなり、青や赤に色づく。画像は産卵期の雄。

オイカワの形態写真

15cm前後になる。細長く平たい(側偏)。口は吻の頂点にまっすぐ開く。普段は銀色背は黒く地味だが生殖期に雄は鰭が大きくなり、青や赤に色づく。画像は産卵期の雄。

魚貝の物知り度 ★★★
知っていたら通人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区ニシン・骨鰾下区骨鰾上目骨鰾系コイ目コイ科ダニオ亜科オイカワ属
外国名
Common ninnow
学名
Opsariichthys platypus (Temminck and Schlegel,1846)
漢字・由来
漢字 「追河」、「追川」。
由来・語源 「河で追いあげてとるから【追河】」。「【追川】。水中でお互いに尾を追いて闘う」。
「この魚、京洛の大井川(大堰川)に多し、今日にて【おいかわ】という」。
地方名・市場名
アカヒレ(赤鰭)/愛知県津島市・旧海部郡
アサジ/福岡県久留米市田主丸
アンチュ/福岡県久留米市田主丸
アカバエ(赤バエ)/夏になって婚姻色の出たもの[宮本さん 岡山県高梁市備中町向長屋 20140510]
カンバエ(寒バエ)/冬のものを[宮本さん 岡山県高梁市備中町向長屋 20140510]
ギンバエ(銀バエ)/岡山県新見市。[中島さん、『浦島(新見市 新見魚市場にて)』、上田修二(哲西町) 20140509.10]
ゴウジバイ/『徳島県魚貝図鑑』
ゴジナ/和歌山県紀伊山地紀和町で。「ゴジ」とは何を意味するのか?
ゴジバイ/初夏になりニキビのようなものが出て赤や青の婚姻色がでたもの[徳島県美馬郡つるぎ町貞光貞光川・吉野川]
サギシラズ(鷺知らず)/京都府鴨川で秋から春の小型を。
ジャコ(雑魚)/四国吉野川水系貞光川にはとても多い魚なので[徳島県美馬郡つるぎ町貞光貞光川・吉野川]
ジンケン/
秋田県雄勝郡羽後町、佐藤順さんによると当地では「ジンケン(人絹)」。戦後の食糧難の時代に放流したという情報もあるという。また戦前の雄物川水系にはいなかった模様だ。
長野県千曲川中流域。「昭和6〜7年に放流用の稚鮎に混ざって、あっという間に広がった。当時流行し始めた人造絹糸、つまり人絹のことで、色合いはキラキラと美しいが、じきに弱ってしまうという両者の共通した性質から名づけられたものだという。」(西澤一富 長野県民俗の会会報34)
シラハエ/
関東、東海(愛知県津島市・旧海部郡)
岡山県新見市[中島さん、『浦島(新見市 新見魚市場にて)』、上田修二(哲西町) 20140510]
ダイトウア(大東亜)/秋田県横手市雄物川町。大東亜戦争(太平洋戦争)までいなかったので。大東亜戦争のときから見られるようになったため。
ハエ/愛知県津島市・旧海部郡、岡山県高梁川水系。『高梁川水系の淡水魚類』(田賀辰也)・高梁市備中町向長屋[岡山県高梁市備中町向長屋 20140510]、福岡県久留米市田主丸、大分県日田市
ハエコ(ハエ子)/岡山県新見市で小型を。[上田修二(哲西町) 20140509.10]
ハエゴ(ハエ子)/秋から春の小型を[宮本さん 岡山県高梁市備中町向長屋 20140510]
ハエノコ(ハエノ子)/岡山県高梁市備中町黒鳥で秋から春の小型を。[岡山県高梁市備中町向長屋 20140510]
ヤマベ/関東、東海
■ 「フナビクイ」、「ジョッカン」、「ロッカン」、「ケンレイ」、「オイランブナ」、「ニイナ」、「ニャアニャア」、「アサジ」、「アサゼ」、「シャジ」、「カゴ」、「ガゴ」、「ガゴタ」、「ハイ」、「ハエ」、「ハヤ」、「ササンバエ」、「アサヒバヤ」、「カアリ」、「クソバエ」、「クソンボ」、「ビャク」。

概要 ▽

生息域

淡水魚。河川の中流域、下流域、用水路、比較的きれいな湖沼。
自然分布は関東以西の本州、四国の瀬戸内海に流れ込む河川、九州北部。朝鮮半島西部、中国大陸東部。
移植して東北地方、四国の太平洋側。
また自然分布しているとされる四国吉野川でも、琵琶湖の稚アユ放流が行なわれてからのものであると考える人もいる。

生態

雑食性。
産卵期は5月〜8月。
産卵期雄は追い星ができ、鰭が大きくなり、体色が鮮やかに変わる。

基本情報

主に産卵期以外の秋から春に投網や釣りで取る。
自然美分布している地域では古くから食用とされてきた。
移植された地域でも食用としている地域がある。
九州などでは川魚のなかでも美味しいと人気があり、岡山県でも利用度の高い魚である。
徳島県美馬郡貞光町(現つるぎ町)でも「春のジャコ」は食べられてきた。
大分県ではスーパーにも並ぶ。
基本的には素焼きにして干す。これを再度温めるか、煮る、だしなどにする。
鮮魚は天ぷらなどにする。

水産基本情報

コイ目コイ科。信濃川以西に生息するもの。琵琶湖の稚アユ放流とともに全国に生息域を広げる。雑魚(じゃこ)の代表的なもの。

選び方・食べ方・その他 ▽

選び方

鮮魚は原則的に生きているもの。

味わい

旬は秋から春 産卵期に追い星が出て、婚姻色に染まったものは食べない。
基本的に小さなものを食べる。内蔵は苦いが鱗は薄く天ぷらや焼きものにして気にならない。
焼いて干したものは独特の風味があり、そのまま温めて、また揚げる、煮るなどして食べる。

栄養

寄生虫

食べ方・料理法・作り方

調理法
揚げる(天ぷら、唐揚げ)、焼く、煮もの(甘露煮、煮つけ)、だし
天ぷら 秋から春の小型は鮮魚の場合には天ぷらにしてとても美味しい。非常に小さい「はえ子」と呼ばれるものは絶品である。焼き干しは唐揚げにして美味。
オイカワの素焼き焼く 秋から春のものは基本的に素焼きにする。これをそのまましょうがしょうゆで食べる。これは軟らかく、丸ごと食べられて非常にうまい。
煮もの 素焼きにし干したものは甘辛く調味して甘露煮にするのが基本形だが、むしろあっさりとネギと煮て美味しいと思う。
だし 焼き干しは夏まで保存、これをみそ汁などのだしにしたという。秋のものは正月の雑煮のだしにも使った。だしは非常に美味しい。

好んで食べる地域・名物料理

福岡県、大分県、熊本県、佐賀県。
鮠串焼き 秋から春にかけてとれた未成熟の小型を串に刺して焼いたもの。これを乾燥させる。岡山県新見市、高梁市、倉敷市
はえとねぎの煮もの ハエは取ったら焼いて干す。これを水から煮て、ねぎを加えてしょうゆで味つけする。
甘露煮 秋から春にかけてとれた未成熟の小型を串に刺して焼いたものを甘辛く煮る。これを乾燥させたものを甘辛く煮る。岡山県新見市、高梁市、倉敷市
唐揚げ 秋から春にかけてとれた未成熟の小型を串に刺して焼いたものをを乾燥させ、かりっと揚げたもの。岡山県新見市[『伯備』(岡山県新見市)]
■秋から春にかけてとれるハエゴ(ハエ子 未成熟のオイカワ)を焼いて干してみそ汁、雑煮などのだしに使う。岡山県新見市、高梁市、倉敷市
雑煮(岡山県備中町黒鳥) 正月に食べる雑煮では戦後に食べたブリを入れたものがおいしかった。ほかにはサケ、はいの子(オイカワの幼魚)も使った。野菜は大根とニンジン。[杉田成子さん 昭和2年生まれ]
■寒じゃこ(寒い時期にとれる小型)を好んで食べている。徳島県美馬郡貞光町(現つるぎ町)

加工品・名産品

ちんまずしちんまずし 琵琶湖長浜で作られているオイカワのなれずし。山椒、ショウガなどと漬けられている。
素焼き 素焼きにし、乾燥させたもの。主に甘露煮の材料。岡山県高梁市、大分県日田市
オイカワの甘露煮甘露煮 甘く柔らかく、甘みが強い。最後に苦みがくるのが特徴。岡山県新見市、大分県日田市、福岡県柳川市・うきは市・久留米市田主丸・八女市

釣り情報

ウキ釣り、脈釣り、毛針釣り(かがしら)など。
エサはサシ(ウジ虫)、カゲロウの幼虫。

歴史・ことわざなど

■ ハエは秋から春に取り、串に刺して焼く。これを「さばき」という藁を束ねたものに刺して干した。
■ 子供時代、徳島県貞光川ではこれを「ハエ取り瓶(蠅とりびん)」でとった。平たいハートを天地逆にして下に丸く出口を造った丸いガラス製品、この内側にさなぎ粉、味噌、ときに酒かす、小麦粉を合わせた寄せ餌を塗り、川底に石で固定した。これに「じゃこ」が入ってくるのだ。この「ハエ取り瓶」、もう35年ほども見ていない。昭和でいうと30年代のものである。
川釣りの対象魚。
淡水魚で典型的な雑魚。
ときに鶏の餌になる。

参考文献 ▽

協力/田賀辰也さん
加工品購入/魚三 滋賀県長浜市元浜町12-7 電話0749-62-4134
『日本の淡水魚』(川那部浩哉、水野信彦 編・監修 山と渓谷社)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『高梁川水系の淡水魚類』(田賀辰也)


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