エツ

エツの生物写真

体長35センチ前後になる。強く側扁(左右に平たく)し、頭部は小さく腹鰭に向かって高くなり、腹鰭から尾に向かって規則的に細くなる。胸鰭に数本の糸状の遊離軟条がある。

魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱真鰭区ニシン・鰾下区ニシン上目ニシン目ニシン亜目カタクチイワシ科エツ属
外国名
Grenadier anchovy
学名
Coilia nasus Temminck and Schlegel
漢字・由来
漢字 「刃形魚」
由来・語源 漢字は形から、音の意味、由来は不明。
地方名・市場名
当歳魚をエツコ(えつ子)。
ウバエツ。

概要 ▽

生息域

汽水域・淡水域。有明海。

生態

産卵期は5月〜8月。
筑後川の河口から上流16キロ〜26キロに遡上し産卵が行われる。
卵はばらばらになり表層に浮遊し、孵化する。
稚魚は10月頃まで河川にとどまり、5センチ前後になり海水域に移動する。
エサは動物性プランクトン。
1年で18センチ、2年で26センチ、3年で32センチになる。

基本情報

有明海特産魚のひとつ。
ほとんど筑後川だけで産卵するもので資源的に不安定。
絶滅しないように管理しながら漁獲し、有明海奥部の環境保全も大切。
もっとも有明海を思わせる魚。
漁を見ながらエツ料理を楽しむ「えつ船」など観光資源としても重要。

水産基本情報

市場での評価 有明海周辺でのみ流通する。高値をつける。
漁法 刺し網、あんこう網、建網
産地 佐賀県、福岡県、長崎県、熊本県

選び方・食べ方・その他 ▽

選び方

触って張りのあるもの。銀色の輝きのあるもの。

味わい

旬は冬から初夏
鱗はとれやすい。
非常に小骨が多いので原則的に骨切りして調理する。
刺身にするときも薄く切り落とす。
白身で味は淡泊。
旬には脂がのっている。
また当歳魚の「えつ子」は骨が弱く、そのまま調理できる。

栄養

寄生虫

食べ方・料理法・作り方

調理法
煮つけ、塩焼き、刺身、唐揚げ
煮つけ 伝統的な調理法。魚自体に旨みがあり、骨切りすることで小骨も気にならない。醤油などとの相性もいい。
塩焼き 脂が乗っている時期には最上の料理法。旨みが強く、皮目が香ばしい。
刺身 三枚に下ろして、頭部に近い方から薄く切り離していく。ハモよりも骨は柔らかく、切り離すのは簡単。思った以上に脂の甘さを感じ、旨みがある。
唐揚げ 「えつ子」ならワタを出し、鱗を取ってそのまま唐揚げにする。成魚は骨切りをしてから揚げる。かりっと香ばしく、身には旨みがある。
エツの調理写真。骨切り後非常に小骨が多いので原則的に骨切りして調理する。
エツの煮つけさっぱりと煮上げたもの。
エツの塩焼き骨切りをして塩焼きに。
エツの刺身小骨ごと細切りにした刺身。
小エツの唐揚げ小エツの唐揚げ。

好んで食べる地域・名物料理

有明海周辺。
エツ料理 福岡県大川市・久留米市、佐賀県佐賀市。5月〜7月にかけて産卵のために筑後川に遡上するエツを刺し網で取り、料理する。漁を見学しながらエツ料理を楽しめる、エツ船もある。
エツ唐揚げ 佐賀県鹿島市。
柳川市場のエツ柳川の市場に並ぶ成魚。
柳川市場の小エツこちらは唐揚げなどになる小エツ。

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど

■ シーボルト(Philipp Franz Balthasar von Siebold  1796年〜1866年)がオランダに持ち帰り、テミングとシュレーゲルによって1846年、新種として発表されて。
■ 中国大陸に近縁種のマエツ(Coilia mystus  (Linnaeus, 1758))、チョウセンエツ(Coilia ectenes)がいる。
■ 晩春から初夏にかけての筑後川の風物詩・エツ漁は5月1日〜7月20日(2011年現在)行われる。漁を遊覧船から見物、エツ料理を楽しむことが出来る。
■ 「えつ大師」 : 福岡県久留米市青木島に「エツ大師堂」がある。

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このエツというと筑後川での刺し網漁が有名である。観光船に乗り、刺し網漁を見学、とれたものを船上であれこれ料理するというもの。これは筑後川の初夏の風物詩、テレビなどではお馴染みの場面でもある。ただし観光に結びつかなければエツはやや低級な惣菜魚であったと思われ、夕げの善にエツの煮つけなんて子供は楽しくなかったかも知れない。

参考文献 ▽

『干潟の海に生きる魚たち 有明海の豊かさと危機』(日本魚類学会自然保護委員会扁、田北徹、山口敦子、責任編集 東海大学出版局)、『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)


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