202303/09掲載

ぼたんえび1尾の喜び

牡丹のように大きく牡丹のように華やか


八王子綜合卸売協同組合、マル幸に苫前産の「ぼたんえび」が来ていた。漢字にすると「牡丹海老」で、牡丹の花のように大きいという意味と、華やかな色合いをしているという意味がある。
実は「ぼたんえび」は地域での呼び名であって、標準和名のために作られた言語ではない。一般に「ぼたんえび」は、標準和名のボタンエビではなく、標準和名のトヤマエビであることは、最近ではかなりの人が知っているようだ。
それでも、この標準和名と流通名の違いにに頭をこんがらかす人は多い。ちなみに標準和名=正式な名前ではなく、甲殻類学的につけた名でしかない。「ぼたんえび」を間違いだとか宣うおろかな人がいるが、無視すべし。
一般に「ぼたんえび」のトヤマエビは北海道噴火湾・日本海側から島根県くらいまでの沿岸域で水揚げされている。
これに対して標準和名ボタンエビは、熊野灘以北の太平洋側でとれる。こちらは水揚げ量が少ないため、すし種の「ぼたんえび」として登場する機会は少ない。珍しい部類の種と言っても間違いではない。
ちなみに一般的な「ぼたんえび」であるトヤマエビはロシア、アメリカなどからの輸入ものがあるが、標準和名のボタンエビは輸入ものはない。

うまいとしか言いようがない


本種は30g前後から値段が一気に上昇するが、今回の苫前産のトヤマエビは1尾40g前後で1尾350〜400円前後だ。ちなみにこの値段で仕入れることができるのは高級店だけ。客に提供する値段が原価の3倍とすると、1尾づけにしても凄い値段になる。しかもとても保存性が低いのだだ。一日過ぎたら、すし屋ではランチに。その後は椀種にするしかない。
この1尾買いは年に何回か、魚屋に嫌われながらやっているが、値段の波を感じるとともに、楽しみでもある。
買い求めてすぐ殻を剥き、食らう「牡丹海老」のうまさよ! この後味のいい甘さよ、食感よ!
代表的な産地は北海道西岸と噴火湾だが、日本海では島根県浜田あたりまで水揚げがある。来週は兵庫県で出合える可能性が大きい。

このコラムに関係する種

トヤマエビのサムネイル写真
トヤマエビ英名/Corn-stripe shrimp, Humpback shrimp, Pinl prawn海水生。 水深100〜400メートル。島根県以北の日本海側、北海道以北の太平洋、オホーツク海に棲息。カナダ沖までの北・・・・
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