202303/07掲載

数の子の湯漬けをさらさら

根室産ニシン


折折に食べていた、湯漬け用の塩数の子がなくなった。
1月後半、根室産大型のニシンが大量に入荷してきていた。素晴らしいニシンだったので、腹を触り触り、8尾買い求めた。
フィレにして大好きな酢漬け(洋風なのでマリネ)にして、少しずつ食べた。ただし、目的は酢漬けを食べることじゃなく、お腹に抱えた数の子の方である。
数の子は東北地方でニシンを「かど」呼ぶ。その子(真子)なので「かどのこ」と呼ばれ、いつの間にか「かずのこ」に転訛したとされている。ちなみに「数」と「子」は、わざわざ子孫繁栄で縁起のいい漢字を当てたのだ。
ニシンは白子もおいしいが保存できない。卵巣はおいしい上に保存できる。
根室産のニシンはほとんどが雌だった。雌の群れと雄の群れがやがて合流して産卵する。それ以前なので、卵巣の成熟度もベストな状態だった。

子持ちばかりだった


8尾で8対の真子がとれたので。片腹ずつにして振り塩をして袋に入れて2日密閉保存する。出て来た水分、血液などを拭き取り、片腹ずつラップして冷凍保存する。ときどきに片腹を解凍して軽くあぶっては湯漬けで食べる。1月末に作った塩数の子は1ヶ月半にわたって、忙しい最中のおしのぎとなったことになる。

お茶漬けよりも湯漬け


なんとなくだけど塩数の子にはお茶よりも白湯の方が合うと、もちろん個人的にでしかないが考えている。
ちなみに茶漬けの歴史は浅く、湯漬けの歴史は古い。もちろん湯をかけるのは、炊飯した米(稲)だとは限らない。麦だったかも知れないし、あわや稗、黍であったかも知れない。基本的に一般家庭の炊飯は1日に1度なので、湯漬けや、汁で冷えた飯を食べていたのだ。
塩漬けした数の子は片腹の半分で1膳飯が食える。この野菜も海藻も、漬物さえない、飯とおかずだけのしのぎが信じられぬほどうまい。
しかも、夜というよりも深夜の朝がいちばんうまい。だからボクは痩せられぬ。

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ニシンのサムネイル写真
ニシンPacific herring海水魚。産卵期に群れで沿岸域に回遊。沿岸の浅い海域の海藻が繁茂した場所に産卵。北海道西岸・風蓮湖・能取湖周辺、青森県尾・・・・
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