ナガタチカマス

ナガタチカマスの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
1.2m SL 前後になる。側へんし非常に細長く、尾柄部に隆起がない。側線は2本で上のは、背鰭基部後端に届かない。尾鰭は深く2叉する。
1.2m SL 前後になる。側へんし非常に細長く、尾柄部に隆起がない。側線は2本で上のは、背鰭基部後端に届かない。尾鰭は深く2叉する。
顎の先端の犬歯は乱杭で鋭い。
1.2m SL 前後になる。側へんし非常に細長く、尾柄部に隆起がない。側線は2本で上のは、背鰭基部後端に届かない。尾鰭は深く2叉する。
珍魚度・珍しさ★★★★
めったに出合えない
魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目クロタチカマス科ナガタチカマス属
外国名
Blacksail snake mackerel
学名
Thyrsitoides marleyi Fowler,1929
漢字・学名由来

漢字 長太刀梭子魚 Nagatatikamasu
由来・語源 1936年に蒲原稔治が記載(Mimasea taeniosoma/シノニム)するとともに命名したのだと思われる。細長く、太刀のような魚でカマスのように歯が鋭い。
〈スズキ目クロタチカマス科ナガタチカマス屬ナガタチカマス Mimasea taeniosoma KAMOHARA (1936)〉『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955)

蒲原稔治
Toshiji Kamohara(1901-1972 高知県生まれ。高知大学)。魚類学者。52種の新種を記載。日本初記録種209種を報告。
地方名・市場名
ナワキリ
参考『伊豆・小笠原諸島の魚たち 改訂2版』(東京都水産試験場 2004)  場所東京都伊豆大島 
フカヤーンジャー
参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 場所沖縄県南城市知念漁協 
トウカンザメ ナガンジャー

概要

生息域

海水魚。大陸棚縁辺域や海山の水深400m以深の中深層〜低層遊泳性、夜間は表層。
相模湾、駿河湾、熊野灘、土佐湾、新潟県、富山湾、若狭湾、山口県日本海沖、長崎県、鹿児島県、沖縄舟状海盆、九州〜パラオ海嶺。
台湾南部、インド-西太平洋。

生態

基本情報

1m以上になる大型魚だが、漁獲量が非常に少ない。とれる、というよりは発見といった方がいいほどだ。当然、実際に食べたことのある漁業関係者は少なく、ほぼ誰も本種の味を知らない。もしも一定量流通したら高値を呼ぶに違いないと思う。それほど味がいい。
珍魚度 明らかに珍魚である。探しても手に入らない。

水産基本情報

市場での評価 めったに揚がらない魚なので、入荷は非常に希。
漁法 釣り
産地 鹿児島県、沖縄県、長崎県、和歌山県など

選び方・食べ方・その他

選び方

味わい

旬は不明。
頭部が大きく細長いので歩留まりは悪い。
鱗はなく、棘などもほとんど気にならない。歯は太く鋭い。皮近くに細くて硬い骨が密集する。
クセがない白身で脂が混在する。熱を通しても硬く締まらず柔らかい。

長い骨が皮近くに埋没 三枚に下ろして、皮目に強くて長い骨が埋もれるように張りついている。中骨近くの方と皮近くを二層に切り離す。皮近くは煮つけ、塩焼き、汁ものなど、また身をスプーンでかき出してもいい。中骨の近くはそのまま刺身になる。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

ナガタチカマスの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、かきだし、なめろう)、焼く(塩焼き)、煮る(煮つけ)、揚げる(フライ、唐揚げ)、ソテー(ムニエル)
ナガタチカマスの蒸魚(清蒸) 筋肉内にコロイド状の脂が充満している。この脂はうま味があるのにさらりとして重くない。ここでは切り身にしてネギなどを敷いた皿にのせて15分前後強火で蒸し上げる。蒸し上がったらタレ(中国醤油・魚醬・砂糖・紹興酒を合わせ一煮立ちしたもの。醤油は日本のものでもいい)をかけて香りのある野菜を乗せて煙が出るくらいに熱した油をかける。

ナガタチカマスの蒸魚(清蒸)続き 酒の肴というよりも、ご飯のおかずと考えるといい。非常に豪華な料理で贅沢な味だが、ご飯と一緒に食べるとより味わい深い。面白いもので台湾などでも同じような料理があるが、やはりご飯と合わせることが多い。
ナガタチカマスの刺身 三枚に下ろして皮目に近い方は強い骨が埋まっているので、切り離す。中骨に近い部分のみ刺身にできる。脂は身に混在して白濁していて、全体に柔らかい。口に入れると口溶け感があり非常に甘く感じる。魚らしいうま味もあり、絶品である。
ナガタチカマスのかきだし 三枚に下ろして背の部分の、皮に近い方には長くて強い骨が埋まっている。ここからスプーンで身をかき出す。脂は皮に近い方が豊かで味わい濃厚である。このまま食べてもいいし、ねぎや青じそ、みょうがなどと和えてもいい。
ナガタチカマスのみそたたき(なめろう) 皮に近い部分は脂がのっているが、骨がある。これをスプーンでかき出す。ねぎ、みょうが、大葉などとみそと一緒に包丁でたたく。少しねっとりするくらいにたたいて出来上がりだ。脂がのってい口に入れるととろっととろける感じがする。端的なおいしさで酒にもご飯にも合う。
ナガタチカマスの塩焼き 内臓を包んでいる部分は腹骨もあり、刺身にするよりもこのまま煮つけか塩焼きにするとおいしい。ここでは振り塩をして1時間以上寝かせて、じっくりと焼き上げた。箸を入れると中から液汁が出て来て柔らかく、身が非常にほぐれやすくて甘い。
ナガタチカマスのあら煮(煮つけ) 頭部やかまの部分を適当に切る。湯通しして冷水に落として血液やヌメリを流す。これを酒・しょうゆ・水であっさり煮上げたもの。砂糖、みりんで甘味を加えてもいい。身、皮は口のなかでほろほろと崩れ、脂が甘みに感じられる。非常にうまい。煮汁もいい味なのでそうめんなどをつけて食べる。骨湯にしてもいい。
ナガタチカマスの酒塩煮 切り身を昆布と塩を加えた中でゆっくり火を通す。煮立てると切り身からうま味が出てしまうので、できるかぎり一定の温度で煮立たせないで煮上げるのがコツ。煮上がったら煮汁と一緒に食べる。脂がのっている身は柔らかく、煮汁と一緒に食べるととろけるようだ。
ナガタチカマスと冬瓜の鍋 水洗いして中骨と昆布を合わせてだしを取る。切り身にして湯通し、冷水に落としてぬめりを流す。冬瓜は下煮しておく。これをだし、酒・塩の中で煮ながら食べる。骨の多い部分も、骨が太く長いために意外にわずらわしくない。だしのうま味を吸った冬瓜がまた美味である。
ナガタチカマスのみそ汁 皮と骨などからとてもいいだしがでる。ここでは皮付近の骨の多い部分を適当に切って湯通しする。冷水に落としてぬめりを流して、水分をよくきる。これを水から煮出してみそを溶く。非常に濃厚なだしが出る。うま味豊かでみその味とあいまってとても味わい深い。ご飯に合う。
ナガタチカマスの潮汁 中骨と皮近く骨の多いところを使う。適当に切り、湯通ししして冷水に落としてぬめりを流す。これを昆布だしで煮だして酒・塩で味つけする。つゆに脂の玉が浮かぶ。まるで鶏ガラでとったスープのようである。
ナガタチカマスのフライ 中骨と皮近くの骨の多い部分の間の身を使う。大型でなければ出来ない料理だ。切り身にして塩コショウする。小麦粉をまぶし、溶き卵をくぐらせ、パン粉をつけて高温で揚げる。上品な白身に見えて筋繊維の中から肉汁が染み出してくる。豊潤でとてもおいしい。
ナガタチカマスの唐揚げ 皮近くの骨の多い部分を使う。骨を切らないように縦方向に切り取る。水分をよくきり、片栗粉をまぶして少し寝かせてじっくり二度揚げにする。骨は硬いものの骨つきの鶏肉のように、身をしごき取ることができる。皮目が非常においしい。
ナガタチカマスのムニエル 骨の多い皮付近と中骨の間の身を使って作る。切り身にして塩コショウする。小麦粉をまぶして少し寝かせて多めの油でじっくりとソテーする。仕上げにバターの風味をつける。表面の香ばしさとは逆に中は溶け出した脂で豊潤で濃厚な味わいになる。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど