202005/20掲載

利根川のウナギ漁

千葉県小見川での天然ウナギ漁


利根川の感潮域である利根川河口堰周辺で行われているのが、「うなぎかま漁(鰻鎌漁)」である。「うなぎかま(鰻鎌)」という長い竿の先に鈎状の鎌をつけて泥の中にいるウナギをからめとる。漁の獲物は「銀うなぎ」という海に下る直前のもので大きいものは1m前後になる。
千葉県小見川(現香取市)ではこれを「ぼっか」という。天然のウナギはこの秋から冬にかけて産卵に下る直前をよしとし、東京都内の老舗ウナギ店なども買いに来る。

千葉県小見川での天然ウナギ漁2

かま(鎌)に絡め取られて揚がってきた「銀うなぎ」。体色が金属的な色合いで、綸子という織物の織り模様ににているので、これを「りんず(りんずうなぎ)」という人もいる。
1m前後、1kgを超えるものもいて、養殖ものの200g〜300gサイズの三倍以上の大きさである。


利根川の天然ウナギ・ぼっかの蒲焼き

ウナギを焼く

天然ウナギで特に上物とされる「ぼっか」は身が分厚く、皮がやや硬い。そのために素焼きした後の蒸す時間が養殖ものよりも長い。蒸し上がったウナギの切り身は厚みが1cm以上でとても柔らかい。
焼き上げるのは至難の業。名人、小見川町(現香取市)にあるウナギ店『うなせん』の菅谷敏夫さんをして未だに難しいのだという。


『うなせん』の天然ウナギ・ぼっかの蒲焼き

蒲焼き

鰻重のなかの蒲焼きの厚みは1cm近い。意外にも箸で皮を着ることが出来る。口に含むと上品な脂が甘く、脆弱なので口の中でとろけるような舌触りだ。
ウナギだけでお腹いっぱいになりそうになるが、ご飯と一緒に口にほうばるとまた別種のおいしさが楽しめる。天然ウナギの旬は夏ではなく秋から初冬。夏の若いウナギよりも大きな「下りウナギ」であることがわかる。
[うなせん 千葉県香取市小見川町]

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