クサカリツボダイ
代表的な呼び名ツボダイ
全関連コラム
珍魚度・珍しさ | ★★★ がんばって探せば手に入る |
---|---|
魚貝の物知り度 | ★★★★ 知っていたら達人級 |
食べ物としての重要度 | ★★★★ 重要 |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
概要
生息域
海水魚。水深146-500m。
千葉県外海域、八丈島、小笠原諸島、種子島、九州〜パラオ海嶺。
アリューシャン列島、天皇海山、ハワイ諸島、カリフォルニア沿岸。
生態
クサカリツボダイは各海山で11月から2月の冬季に産卵し、産卵は毎年繰り返される。
稚仔魚は海山の表面付近に分布。その後、海流にのって北東太平洋の表層域に移動。
幼魚期を北東太平洋で1.5~ 2.5年ほど過ごした後、各海山海域へもどってくる。
海山で毎年産卵し、4~5年で死亡すると考えら れている。
基本情報
国内海域ほか日本各地の深場から知られていた。1960年代にカムチャツカ半島からハワイ諸島北西に伸びる海山群、天皇海山で漁場が発見され、漁業対象になる。干物など加工品になることが多いが、標準和名クサカリツボダイではなく、単に「つぼだい」として表記されることが多い。また流通上も「つぼだい」である。
初めて加工品「つぼだいの干もの」を買って食べたのは1988年青森県青森市の市場で、だ。「ツボダイ」とあったので標準和名のツボダイのことだと勘違いし、また東北地方の地魚だとばかり思っていた。
現在でもこの混乱は流通上多々見かける。東北の遠洋漁業の産物だと知ったのは後々のこと。都内でよりも八戸漁港や石巻漁港に近い東北の方が早く干ものが流通していたのだと思う。
近海では、鹿児島県でときにまとまってツボダイと一緒に揚がる。駿河湾や遠州灘、熊野灘などでもときどき水揚げされている鹿児島県では東北ほどではないがまとまった水揚げがある。
漬け魚や干ものの原料として重要。特に干ものは非常に人気が高い。鮮魚は希だが、刺身などにすると非常に美味。
珍魚度 珍魚とまではいえないが、探すとなかなか見つからない。可能性が高いのは鹿児島県などだが、手に入れるのには苦労すると思う。
水産基本情報
市場での評価 ときどき冷凍魚として見かけることがある。知名度がないので安い。主に干物原料として重要なもの。鮮魚は比較的珍しい。鮮魚としての一定の評価はない。
漁法 底曵網
産地 ミッドウェー、天皇海山
近海では鹿児島県、静岡県、愛知県、三重県、東京都
1967年にソ連(ロシア)のトロール船で北太平洋の天皇海山(ミッドウェーからアリューシャン列島につながる)で発見され、資源開発がなされた。日本も1969年より試験的操業を始めた。1970年代こそ2〜3万トンの水揚げをみたが、その後低調なものとなっている。
選び方・食べ方・その他
選び方
触って張りのあるもの。鰓がきれいなもの。目が澄んでいるもの。
味わい
旬は不明
腹と背の鱗は薄くて弱い。胸鰭下に硬い骨鱗がある部分があり、下ろすのに邪魔になる。骨はあまり硬くはない。
透明感のある白身で脂が均等に入る。熱を通しても硬く締まらない。身離れもいい。
ほぼすべてが遠洋でとれたものなので、生食などができるものは希少。
栄養
ー
危険性など
ー
食べ方・料理法・作り方
水洗いして適当に切り、半身にして塩を振る。1時間以上、できれば1日寝かせる。これをじっくり焼き上げる。
好んで食べる地域・名物料理
ー
加工品・名産品
つぼだい塩蔵品 背骨を半割にして開いた塩蔵品。脂があって焼きものなどにする。[金波水産 千葉県銚子市]
釣り情報
ー
歴史・ことわざなど
安値 〈物価高の1969年でも、1キロ35円、無頭ものは1キロ60円で取引されていると聞き、あまりの安さに驚いたことがある。阿部宗明〉『新顔の魚』(伊藤魚学研究振興財団)