202402/12掲載

カメノテはだれのものか?

値段は珍味にしては安い

カメノテ

カメノテを買うたびに、少し後ろめたい気持ちになるし、今現在の社会のゆがみを感じる。
今、全国的に磯物をとるのも、入るのも、漁業者もしくは漁業組合の人だけになりつつある。実際にボクが海岸線で生き物の撮影をしていたら、脅迫行為をされたことがある。アマノリをとっているわけでもなく、撮影していると説明しても、「出て行け」と言われたことがある。地元の人と一緒でなかったら、旅は非常に不愉快なものになったはずだ。
広島県では土地に住む人が海藻を採るのは昔、昔から季節の楽しみであったのに、ある日突然に漁業組合員以外の採取が禁止となったという。これなど法律的にも正しいのだろうか? 島の楽しさがなくなり、減少傾向にある島の人口がもっと減ると思う。
もしも違法なくらいの量の採取や、密漁を防ぎたいなら、だれが商売になるくらいとっているのか? 真剣に取り組む必要があると思う。一般人が戯れに磯遊びをしたり、きれいな貝をとるだけで、脅したり排除したりしない方がいい。これなど漁業関係者の海岸線の私物化である。
昔、愛知県で自然保護活動をしていた方と長々と話をしたことがあり、「漁業者は漁業権を売ることでお金をもらい、自然破壊をしている」、と怒りをあらわにしていた。海岸線の埋め立てや漁港の作りすぎは、漁業者だけの問題ではなく、地球の問題なのだ。
海岸線はだれのものでもない。
個人的にはレンジャー制度の導入をすべし、と思う。
特に成長の遅いカメノテをとるのは漁業者であっても自然破壊というか、とる時期や量を決めないと危険である。最初に流通に乗せたのは鹿児島県ではないかと思うが、高値がついて流通量が俄然増えた。最近やっと値段が落ち着いているものの、根強い人気がある。

カメノテをそんなに食べて、どうするの?

カメノテのワイン蒸

今回のカメノテは近所のスーパーで売っていたもので、香川県産である。
香川県産は豊洲でも八王子の市場でも見ているが、無数に島があるからこその産地なのだろう。
ちなみにカメノテをいかにもうまいものであるかのような、大げさな「うまい表現」をする人がいる。
この手の人間は例えば、ラーメン店年に千軒行きましたは、ただの愚かな人であって、自分の身体を犠牲にしている点では自然保護に繋がり無害だろう。これを自然界からとるものでやってはいけない。いずれにせよ、つまらないタレントがDの要求通りに芸をしているかのようなものはみな嘘だ。
さて、個人的にはこの1パックで3回、もしくは4回、すなわち3、4人前だと考えている。カメノテはたくさん食べていいものではない。
水産物で大げさな表現は、種によっては危険だというのも知るべし、だ。

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