202401/02掲載

気仙沼のサメハダテナガダコに多幸を祈る

ほうじ茶だきにして身を締める

サメハダテナガダコのほうじ茶だき

正月らしいことなど何もなし、でもよかったが、せめて験を担ごう、と思い立つ。
人生リアル以外にはなにもないと考えている。
ただ、正確ではないが、北山修はかく語りき。
「現実を真っ正面から受けるのは人類には無理だ。生きていけなくなる」
ボクもたまには曖昧言語である、多幸を願って冷凍庫からタコを引っ張り出して来る。マダコとサメハダテナガダコである。
マダコは豊洲で活を買ったのに、時間がなくなり、そのまま冷凍保存して置いたもの。
サメハダテナガダコは気仙沼市の長山正孝さんが、「咬まれると毒。要注意」と書いて送ってくれたものだ。
もちろん死んでいるので咬まれることはないが、毒をくらって今年もガンバロウじゃないか、という意味で、後者をゆでる。
解凍してぬめりをもみ出す。仕上げに塩で揉み出し、水洗いしておく。
これをほうじ茶と醤油でゆであげる。
ゆであげ時間は、ときどき箸でつつき、金串を刺して加減をみる。
タコを入れて再沸騰後、時間にして4、5分だと思う。
このままおか陸揚げにする。

切っては食べ、切っては食らう

サメハダテナガダコ

冷めないうちに、ナイフで切り取りながら食べる。
タコがタコを食べると共食いだけど、デブが食うとなんだろう、なんて考えながら食べると止められなくなる。
サメハダテナガダコはマダコと比べるとゆでても硬く締まらず、ある意味締まりのないヤワヤワだんだんだけど、噛めば噛むほどだんだん味が湧いてくる。
酒が飲めないので沖縄のさんぴん茶をアイスで、口中のタコ気を流しながら食べる。
だんだんサメハダテナガダコを誤解していたのではないかと思い至る。
マダコは熱燗に合うが、サメハダテナガダコはお茶に合う。
前回熊本県天草から来たとき、ビールでやったのが間違いだったのだ。
要するにお茶に饅頭のようなタコなのだと思った。
ついでに凍頂烏龍茶で食べてみたがさんぴん茶には敵わない。
送って頂いた長山正孝さんの多幸も祈りつつ、きっと正月は過ぎていくんだろうな?

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サメハダテナガダコのサムネイル写真
サメハダテナガダコLong-armed octopus海水生。浅い砂地。本州太平洋側、[宮城県気仙沼]、長崎県長崎県五島、熊本県、鹿児島県、琉球列島。フィリピン。・・・・
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