202310/30掲載

揚げたて虎天たべて、虎天うどん食べて

トラフグの天ぷらは鳥の天ぷらのようで魚の味わい深し

トラフグの天ぷら

トラフグはフグ類唯一といってもいい高級魚である。上物ともなると魚の値段とはとても思えない値がつく。それでも10月、11月はさほど高くなく、師走になるとぐんと急カーブを描いて値を上げる。
今こそが虎の買い時なので、トラフグを見つけたら買って食べている。江戸時代から庶民の味方であるショウサイ(フグ)もあるけど、トラフグと並んでいると、阪神タイガースのファンでもないのに、ついつい虎磁石に吸い寄せられる。
八王子総合卸売協同組合、マル幸、クマゴロウはフグ調なのでみがいて(毒の除去)もらえて便利。
余談だが、釣りなどで、自分が釣ったフグ類は自分で下ろしている。地方にいって赤目(東京の呼び名でヒガンフグ)やコモンフグがあると、締めてもらって買って帰って自分で磨いている。
オススメはしないがドクサバフグなどのフグの同定が完全にできるなら、筋肉だけを食べている限り危険はない。ちなみに、フグ類の多くが皮に毒を持つ、真っ先に捨てるべきなのは鰭と皮である。
あくまでもオススメはしないが、なのだけれど。
さて、初物ではなく、しかも野締めのトラフグなので料理は融通無碍、食べたいものを作る。
やや小振りのものを天ぷらにしてみた。
作り方は、三枚に下ろして身をペーパータオルでくるぐるまきにし一晩寝かせて水分を取る。
揚げやすい大きさに切り、並べて振り塩をする。
水分が出てくるので、拭き取り、小麦粉をまぶす。
衣をつけて高温で揚げる。
表面はややさくっと香ばしく、まるで鶏肉のように身が締まり、しかも魚らしいうま味がある。
禁酒中なのでこれで飯を食ったら、なんと二はい。
醤油4・だし2・みりん1の天つゆは辛口でどぼんとつけれれないけれども、とてもうまい。どぼんとつけたかったらだし4・醤油0.5・みりん0.5くらいがいい。我が家は丼つゆ兼用なので濃い。

煮干し出しのうどんつゆに浮かぶとまた味わい深し

トラフグの天ぷらうどん

少し残して置いて翌日の昼にフグの天ぷらうどんを作る。
山口県下関駅に「ふぐ天うどん」がある。初めての下関で、第一食目が駅うどんで、これはこれでとてもうまいのだけれど、あれは明らかにシロサバフグである。
ていねいに処理されているものの、なんといっても虎には敵わない。
うどんつゆに衣を溶かし込みながら食らうトラフグの身に味があるし、1個の天ぷらの存在感が大きい。
虎天うどんなので、縁起もいい。

このコラムに関係する種

トラフグのサムネイル写真
トラフグGlobefish,Blowfish,puffer海水魚。北海道全沿岸〜九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸(四国と九州南岸は少ない)、瀬戸内海、東シナ海北部。千島・・・・
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