202306/21掲載

ホシザメの湯引きは毎日でも食べたい

ホシザメは国内の浅場に普通


神奈川県小田原市、江の安、ワタルさんにホシザメをいただく。なんと活魚である。むんむんするような、蒸し暑い朝だったので、ホシザメといえば、というあの料理を思い浮かべて、うほほと笑い、お礼もそこそこにとっとと帰ってきた。
ホシザメと言えば、西日本で作られる料理の「湯引き」である。「湯がき」ともいうし、「湯ざらし」などともいう。酢みそで食べるというのも同じである。主に小型の軟骨魚類であるサメやエイが使われている。
初めて食べたのは長崎県だったが、サメの種類は不明だった。次いで広島県でホシザメを仕入れている人に会い、「湯引き」の作り方を教わった。サカタザメでもいいというところから、要するに沿岸域のサメのようなもの、ならなんでもよかったのだ。
ホシザメで作る、湯引きがいちばんうまいという。確かに同属で瓜二つのシロザメで作るものよりも味がある。でもごくわずかな差でしかない。むしろサカタザメの方がホシザメよりもうまいと思ったこともあるが、こちらもごくごくわずかな差でしかない。山口県ではニュージーランド産のギンザメで作ったものを買い求めていることから、くせのない魚ならなんでもいいのかも知れない。

水洗いというよりも鍋に入る大きさに切る


ホシザメは持ち帰ってすぐに頭部と内臓をとり、鍋に入る大きさ、ここでは3等分に切る。鱗が飛ぶこともなく、軟骨で文化包丁でも下ろせる。もっとも難易度の低い魚である。

表面の鱗が落ちる程度にゆでる


大鍋に真水をわかして放り込み、表面を箸で触りながら熱の通し加減をみる。ほんの10秒くらいで表面の鱗が箸でもかき取れるようになる。

鱗を指でこそげ落とす


すかさず氷水に落として粗熱を取り、表面の鱗を指でかき落とす。ゆですぎは厳禁。あくまでも鱗を落とすための湯通しで中は生の状態である。火を通しすぎると逆に鱗が落としにくくなる。
これで下ごしらえは終了。ホシザメ、シロザメ、ドチザメ、ナヌカザメなどの下処理はすべて同じである。

この下ごしらえは小型のサメには共通する


下ごしらえが終わったらていねいに洗い。水分をよくきる。

食べやすい大きさに切りつける


水分をよくきったら、食べやすい大きさに切る。

完全に火を通す


これを再度ゆでる。この段階でも塩水ではなく真水の方がいい。
茹で上がったら氷水に落とす。ちなみに半生よりも完全にゆでてしまった方がうまいと思っている。
かといってゆですぎると硬くなり、身がもろくなる。
ゆで加減にはくれぐれも注意。

氷水に落としてほぼ出来上がり


氷水の中で冷やしきる。
たくさん作るならこの粗熱をとった氷水ごと保存するといい。

からみのきいた酢みそが合う


今回は冷たく冷やして、からしのヒリリときいた酢みそで食べたが、箸が伸びて困った。
たっぷり食べたが食べ飽きぬ味でもある。
別にサメの身に豊かなうま味があるわけでもなく、あえて言えば冷やっこい舌触りがいいのかも知れない。辛子酢みそがとても合う。
今回は5日間にわたって食べたが、それでもなお小田原にホシザメを仕入れに行きたいと思うくらいにうまい。
うまいには2種類ある。焼肉のように見るからにうまそうで、食べるともっとうまいというわかりやすいものと、食べているときは平凡だが、食べた後に後を引くうまさだ。
ホシザメのうまさは食べた後にまた強烈に恋しくなる、そんなうまさだ。

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ホシザメのサムネイル写真
ホシザメEn/Starspotted smooth-hound Fr/Émissole étoilée海水魚。沿岸の水深38〜575メートルの砂泥地。浅場に多い。北海道全沿岸〜九州の日本海・東シナ海・太平洋、瀬戸内海、八・・・・
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