初夏の陽気に作る、さばのみそ煮はウマスギ

半袖シャツを着る日のサバに脂があるとはね


アニサキスが気になってマサバを連日、小売店でも市場でも買って解体していた。その中で、料理して食べたのはなんと半身だけとは、欠食している方もいるこのご時世に申し訳ない。
ただアニサキスの寄生率とまではいかないが、自分なりに何固体からアニサキスが出てくるか? 調べてみないわけにはいかない。中に冷凍マサバもありではあったが、主に太平洋側のもの5固体中1固体だけからアニサキスが出て来た。
ちなみに筋肉からは出てこなかった。アニサキスライトを使ってすりつぶすようにして見たので間違いないだろう。
廃棄、廃棄の連続であまりにも殺伐とした気分になったので、千葉県鴨川産の1固体だけ筋肉をつぶさないで作ったのが、「みそ煮」である。
ちなみに「秋鯖」という言葉はおかしい。季語歳時記を最初にまとめたのは滝沢馬琴(1867-1848)だと思っている。この場合の季節は江戸のもので、例えば日本海側、ましてや九州には当てはまらない。もちろん温暖化で現東京の四季にも当てはまらないだろう。いまだに季語歳時記といっている俳諧師などが愚か者に思えてくる。
日本海のマサバの旬はもともと新春以降であるが、太平洋のマサバも秋が旬なんて単純には言い切れないのである。
実際、今回の太平洋マサバも卵巣が膨らんでいたのに脂が乗っていた。

煮立たせないようにことこと


サバのみそ煮の作り方はいろいろある。
ボクのは明らかに我流である。だいたい使うみそだって毎回違う。
三枚に下ろし、切り身にする。背鰭などは切り落としておく。
湯通しして冷水に落とし、表面の滑りなどを流す。
水分をよく切って、水・酒を3対1くらいに入れたなかでことこと煮ていく。
身が柔らかくなったらみりん・みそを加えてまた煮る。
今回のみそは福島県南会津『山内麹店』の梁取みそである。塩分濃度が強めのみそなので、サバはあまり柔らかくならない。口溶けするくらい柔らかく煮たかったら、関西の白みそを使うといい。
最後に味見をして、みりんを追加して甘味を加えてもいい。

ご飯にも合うし、お茶にも合う


ちなみに我が家はとても最近薄味である。
「さばのみそ煮」は機械的にこなせる仕事中に作るといい。
どちらかというと、おかずだと思っている。
酒の肴にはめったにしない。
梁取みそのきりりとした塩気がサバのうま味を引き立てて余りある。
このうまさはご飯と合わせてこそだ、と思っていたら、お茶請けにもなることに初めて気がついた。


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