ニセゴイシウツボ

Scientific Name / Gymnothorax isingteena (Richardson, 1845)

ニセゴイシウツボの形態写真

TL(全長)2m前後になる。全身に碁石状の斑紋が散らばる。
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TL(全長)2m前後になる。全身に碁石状の斑紋が散らばる。TL(全長)2m前後になる。全身に碁石状の斑紋が散らばる。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★★
      究極の美味

    分類

    硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区カライワシ下区ウナギ目ウツボ亜目ウツボ科ウツボ亜科ウツボ属

    外国名

    学名

    Gymnothorax isingteena (Richardson, 1845)

    漢字・学名由来

    漢字/偽碁石うつぼ
    由来・語源/碁石を思わせるような文様から。
    「偽」は『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955)にニセゴイシ[Gymnothorax melanospilus (Bleeker, 1855) ] とゴイシウツボ [Gymnothorax pescadoris Jordan & Evermann, 1902 ]があり後にゴイシウツボがシノニムと判明する。たぶんニセゴイシウツボの1845年の記載が先であるため、和名をニセゴイシウツボとしたのではないか。
    Richardson
    ジョン・リチャードソン(Sir John Richardson 1787-1865 スコットランド)、博物学者、魚類学者(ichthyology)。

    地方名・市場名

    ウージ
    場所沖縄県南城市知念漁協 
    シルウージ シルウジウナギ
    場所沖縄県石垣島 参考河村雄太さん 

    生息域

    海水魚。内湾、岩礁域、サンゴ礁から水深100m前後。
    八丈島、伊豆半島大瀬崎、愛媛県愛南、屋久島、琉球列島。
    朝鮮半島南岸、福建省、台湾南部・北部・東北部、澎湖諸島、オーストラリア沿岸を除く西太平洋。

    生態

    基本情報

    西太平洋の熱帯域の浅場に生息している。熱帯域では重要な食用魚。全長2m以上になるというが、この大型のウツボは熱帯域ではすべてが食用になる。
    国内では沖縄県では大型のウツボを食用とするが、その代表的なもの。非常に大型で皮に厚みがある。沖縄県でウツボが根強い人気があるのは、味がいいためだろう。
    煮つけに、揚げてもすべて美味。

    水産基本情報

    市場での評価/沖縄県だけで流通する。頭部と尾を切り取って売られているようだ。やや高値。
    漁法/刺突漁
    産地/沖縄県

    選び方

    触って張りのあるもの。斑紋がはっきりしているもの。

    味わい

    旬は不明。
    鱗は埋没的でないに等しい。皮は厚みがあって強く、熱を通すとゼラチン質になる。
    骨はあまり硬くなく、皮目近くにある骨は長く強いが密度が低い。白身で熱を通すと柔らかくなる。
    料理の方向性
    液体を使った料理法がもっとも向いている。焼いても、揚げてもいい。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ニセゴイシウツボの料理法(ウージの料理法)・食べ方/煮る(みそ煮、煮つけ、湯引き)、汁(潮汁、みそ汁)、揚げる(唐揚げ)、焼く(つけ焼き、塩焼き)
    ウージのみそ煮
    ニセゴイシウツボのみそ煮(ウージのみそ煮) 上品な白身で熱を通すと皮がゼラチン質になる。切り身にして湯通しして冷水にとり、表面のぬめりを流す。水分をよく切り、酒、みそ、水、しょうがスライスを入れた鍋で煮る。煮すぎると煮崩れる。非常に柔らかく、皮のゼラチン質に甘味がある。とても美味。


    ウージの煮つけニセゴイシウツボの煮つけ(ウージの煮つけ) しょうゆ味でも煮つけてみた。ややこってりとみりんをきかせたが、とろっと柔らかく皮目に甘味があってとてもうまい。ご飯のすすむおかずだ。これを冷ますと煮凝りになる。
    ウージの煮凝りニセゴイシウツボの煮凝り(ウージの煮凝り) 煮つけにするとき、色合いを考えて薄口しょうゆを使った。煮て、切り身を取り出す。切り身を小さく刻んで煮汁に戻して流し缶に入れて冷やす。白身のうま味と皮のゼラチン質の食感など複雑でいながら上品な味に仕上がる。
    ウージの湯引きニセゴイシウツボの湯引き(ウージの湯引き) 三枚に下ろして中骨側からできるだけ細かく包丁を入れる。これを湯(昆布だしでも)、塩のなかに落としていく。花のように開いたら引き上げて冷水に落として水分をきる。柑橘類としょうゆ、市販のポン酢、酢みそなどで食べる。身(筋肉)よりも皮の方がうまい。
    ウージの潮汁ニセゴイシウツボの潮汁(ウージの潮汁) 三枚に下ろして骨切りをしたものを1cm前後に切り離す。これをアクを引きながら、昆布だし(湯でも)に落としていく。酒、塩で味つけして出来上がり。思った以上に濃厚なだしがとれ、身は柔らかく、皮がぷるんとして甘みがあっておいしい。
    ウージの唐揚げニセゴイシウツボの唐揚げ(ウージの唐揚げ) 三枚に下ろして中骨側から切れ間をできるだけ細かく入れる。これに片栗粉をまぶしてじっくりと揚げる。サクサクした中に皮のねっとりした食感が楽しめる。
    ウージのつけ焼きニセゴイシウツボのつけ焼き(ウージのつけ焼き) タレはしょうゆ、みりん、酒を同割りにして半分程度に煮きったもの。これを冷ましておく。切り身を皮目から9分通り焼き上げる。最後に身の方にたれを塗りながら仕上げる。はやり焼くよりは液体を使った方がうまいと思うが決して悪くはない。
    ウージの塩焼きニセゴイシウツボの塩焼き(ウージの塩焼き) 切り身に塩をして少し置く。これを皮目からじっくりと焼き上げる。焼いてもぱさつかず、皮目が香ばしく上がるが、やや淡泊にすぎる。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)、『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955)、『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012)
  • 主食材として「ニセゴイシウツボ」を使用したレシピ一覧

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