ソウシハギ

Scientific Name / luterus scriptus (Osbeck, 1765)

ソウシハギの形態写真

65cm SL 前後になる。体高は低く、強く側へんする。尾鰭後端は丸い。体側には黒色の斑紋と青い虫食い状の斑紋がある。[37cm SL・690g]
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65cm SL 前後になる。体高は低く、強く側へんする。尾鰭後端は丸い。体側には黒色の斑紋と青い虫食い状の斑紋がある。[37cm SL・690g]65cm SL 前後になる。体高は低く、強く側へんする。尾鰭後端は丸い。体側には黒色の斑紋と青い虫食い状の斑紋がある。[40.64cmSL ・827g]65cm SL 前後になる。体高は低く、強く側へんする。尾鰭後端は丸い。体側には黒色の斑紋と青い虫食い状の斑紋がある。口と歯の形状。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系フグ目カワハギ科ウスバハギ属

    外国名

    学名

    luterus scriptus (Osbeck, 1765)

    漢字・学名由来

    漢字 草紙剥、藻姿剥 Soushihagi
    由来・語源
    草紙剥 身体の文様が草紙(一度すき返した江戸時代などの再生紙)にいたずら書きしたように見えるため。
    藻姿剥 海にいるとき海藻のように見えて姿を隠しているため。

    地方名・市場名

    サンスナ
    場所沖縄県伊良部島 参考『魚名からみる自然認識:沖縄・伊良部島の素潜り漁師の事例から』(高橋そよ 2014年03) 
    サンスナー
    場所沖縄宮古・八重山 
    センスルー
    場所沖縄本島・石垣島(八重山) 

    生息域

    海水魚。沿岸域。稚魚・幼魚は流れ藻につく。
    北海道・津軽海峡、[岩手県大槌町]〜九州南岸の太平洋沿岸、新潟県佐渡、富山県、兵庫県浜坂、島根県隠岐、山口県室津、福岡県津屋崎、長崎県野母崎、八丈島、小笠原諸島、琉球列島、南大東島。朝鮮半島南岸、山東省、台湾、西沙諸島、全世界の温帯・熱帯海域。

    生態

    基本情報

    最初に述べておきたいことは、本種はカワハギ科の他の魚とは似ても似つかないということだ。ウマヅラハギに似ているという表現があるが、比べてみればわかることだが、ウマヅラハギを見たことのある人が本種と混同するとはとても思えない。本州などでも普通に見られるようになっている。厚生労働省や地方自治体はいい加減な情報を流すのではなく、正確な情報を伝えるべきである。
    沖縄県、奄美大島などでは一般的な食用魚。内臓に毒を持つことから「毒魚」などと報道され、一部愚かなマスコミがはしゃいでいるのが残念。この点からも節度のある報道をすべきだ。
    ちなみに熱帯では基本的に内蔵を食べない。過去の中毒例があるとしたら不正確な情報によるのだと考えている。
    上質の白身で、産地では人気が高い。

    水産基本情報

    市場での評価 沖縄などで流通する。比較的安い。
    漁法 追い込み漁
    産地 沖縄県
    沖縄県 琉球列島の奄美大島や沖縄などでは一般的な食用魚。内臓を食べなければ問題はない。

    選び方

    身体の模様などがはっきりしているもの。青などが退色していないもの。

    味わい

    旬は不明
    皮は厚く表面はざらつき、内側はビニールを思わせる。
    透明感のある白身。熱を通しても硬くならない。骨などからいいだしが出る。
    注●内蔵は絶対に食べないこと。

    栄養

    危険性など

    肝臓、消化器官などにパリトキシンを持っている個体がある。内臓は食べないこと。

    内蔵にパリトキシンという毒を持つので除去してから食用とすること。内臓は全部食用不可。
    パリトキシンは純粋に抽出されたものは非常に毒性が高いが、本種が純粋な状態で毒を持つことはない。厚生労働省などはMU値などを調べて情報を流すべきだ。
    単細胞藻類である渦鞭毛藻本種が生産、する。パリトキシンが確認されているイワスナギンチャク(スナギンチャク類)などを食べることから内臓にパリトキシンが貯蔵される。本種を食べるなら内臓総てを壊さないように取り去り、よく水洗いしてから食べるといい。
    ちなみに本種のことで極端な表現(ある意味このような表現は禁止にすべきだ)をするサイトや人間がいるが、盲信してはいけない。

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ソウシハギの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、焼霜造り、セビチェ、カルパッチョ)、煮る(鍋、煮つけ)、汁(みそ汁、潮汁)、ソテー(ムニエル)

    ソウシハギの刺身 水洗いして腹部などをていねいに洗う。皮を剥き、三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取る。薄皮を下にしてそぎ切りにして行く。実に淡泊な味わいだが、ほどよい甘味とうま味がある。ポン酢きあ柑橘類と合わせて食べるといい。注●内蔵は絶対に食べないこと

    ソウシハギの焼霜造 水洗いして腹部などをていねいに洗い流し、三枚に下ろす。血合い骨・腹鰭を取る。薄皮をあぶり氷水に落として水分をていねいに取る。これを適当に切る。薄皮が香ばしく、皮直下の微かに火の通った部分に味が出る。非常においしい。注●内蔵は絶対に食べないこと
    ソウシハギのセビチェソウシハギのセビチェ 水洗いして腹部などをていねいに洗う。皮を取った身を細かく切る。青唐辛子(からい唐辛子ならなんでもいい)、玉ねぎ(紫玉ねぎ)、その他(好みで苦みや香りのある野菜をプラスしてもいい)と和える。塩で味つけして馴染ませる。ライム(柑橘類)をしぼり、和える。食卓に柑橘類とともに。好みで柑橘類を足す。注●内蔵は絶対に食べないこと
    ソウシハギのちり鍋 水洗いして腹部などをていねいに洗う。頭部は半割にして適当に切る。身も適当に切り、湯通しして氷水に落として霜降りにする。これをていねいにとった、いりこ出し・塩・酒の中で煮ながら食べる。好みで唐辛子を振るが韓国のあまり辛くないものがいい。注●内蔵は絶対に食べないこと
    ソウシハギの煮つけソウシハギの煮つけ 水洗いして腹部などをていねいに洗う。適宜に切り。酒、醤油・砂糖・水を煮立てた中に入れてで煮上げたもの。煮ると適度に締まり、身に甘みがある。注●内蔵は絶対に食べないこと
    ソウシハギのみそ汁ソウシハギのみそ汁 頭部は目を抜き取り、適宜に切る。中骨なども適宜に切る。一度湯通しし、冷水に取り、血液や滑りなどを除く。よく水分を切り、水(昆布だしでも)から煮だしてみそを溶く。滋味豊かでおいしい。注●内蔵は絶対に食べないこと
    ソウシハギのムニエル 水洗いして腹部などをていねいに洗う。切り身に塩コショウして小麦粉をまぶして多めの油でソテー。仕上げにバター(マーガリンでも)で風味づけする。薄皮が香ばしく、身にほどよい甘さがあってとてもおいしい。注●内蔵は絶対に食べないこと

    好んで食べる地域・名物料理

    沖縄県

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/河村雄太さん(石垣市)、崎原さしみ店(石垣市)、マル幸水産(東京都八王子市)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『新釈魚名考』榮川省造 青銅企画出版、『魚と貝の事典』(望月賢二 柏書房)、『海洋動物の毒-フグからイソギンチャクまで-(三訂版)』(塩見一雄、長島裕二 成山堂書店)、『毒魚の自然史【毒の謎を追う】』(松浦啓一・長島裕二 北海道大学出版会 2015)、『広辞苑』
  • 主食材として「ソウシハギ」を使用したレシピ一覧

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