シラエビ

Scientific Name / Pasiphaea japonica Omori,1976

シラエビの形態写真

体長7-8cmほどになる。側扁(左右に平たい)し全体に白い。体中に赤いゴマ状の模様がある。1尾で2g弱。
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体長7-8cmほどになる。側扁(左右に平たい)し全体に白い。体中に赤いゴマ状の模様がある。1尾で2g弱。体長7-8cmほどになる。側扁(左右に平たい)し全体に白い。体中に赤いゴマ状の模様がある。[抱卵固体]1尾で2g弱。体長7-8cmほどになる。側扁(左右に平たい)し全体に白い。体中に赤いゴマ状の模様がある。[抱卵固体]1尾で2g弱。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★
      知っていたら通人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★
      一般的(流通量は普通)
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    節足動物門甲殻亜門軟甲綱(エビ綱)真軟甲亜綱エビ上目十脚目抱卵亜目コエビ下目オキエビ上科オキエビ科シラエビ属

    外国名

    Japanese glass shrimp
    言語英名 

    学名

    Pasiphaea japonica Omori,1976

    漢字・学名由来

    漢字 白蝦、白海老 Siraebi
    由来・語源 体色の白いエビという意味。

    地方名・市場名

    シロエビ
    場所富山県、関東などの市場 

    生息域

    海水生。水深200メートルから300メートルを群れて泳いでいる。
    日本周辺。富山湾に多産。相模湾、駿河湾、遠州灘、熊野灘、鹿児島湾。

    生態

    ■ 一生を海の中層を泳いで暮らす。
    ■ 昼間は水深150メートル〜300メートルにいて夜には水深100メートル近辺に浮き上がる。
    ■ 産卵期は7月から11月。
    ■ 寿命は2年〜2.5年。
    ■ 産卵は生涯に2回。

    基本情報

    標準和名はシラエビだが、一般にはシロエビという。沖合の深海を浮遊しているオキエビの仲間。
    オキエビの仲間は世界的には希少なものが多い。日本周辺でとれる本種は世界的にも珍しい産業種。
    富山県特産だとされているが、新潟県でも揚がるし、量は少ないが太平洋側の相模湾、駿河湾でもとれる。
    日本周辺にいるエビだが漁業対象となっているのは富山湾と新潟県で、特に富山県が圧倒的に多い。台湾でも水揚げがある。
    古くはサクラエビの代用品といったものであったが、近年生鮮品の流通が可能になり、値が上がった。現在でも富山県では素干し、釜揚げ、塩辛などに加工。
    富山県では観光的にも重要で数々の名産品を生み出している。

    水産基本情報

    市場での評価 春から秋にかけて入荷してくる。量は少なく、トレイなどにのった特殊な形で出荷されてくる。高い。
    漁法 底曳き網(沖層曳き網漁)
    産地 富山県、新潟県、鹿児島県、台湾
    ■年間漁獲量200トンから600トンほど。

    選び方

    透明感のあるもの。黒く変色しているものはダメ。

    味わい

    旬は漁期と同じ4月〜11月
    殻は非常に柔らかいが気になる。尾に少しだけ強い棘があるので取って使った方が食べやすい。ただし見た目はよくない。額角(つの)は柔らかいがヒゲが長いので取った方が食べやすい。
    身は水分が多いが、呈味性分由来の強い甘みを感じさせる。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    シラエビの料理法・調理法・食べ方/揚げる(天ぷら、唐揚げ)、煮る(煮つけ、炒り煮、卵とじ)、だし(うどん、そうめん)、ソテー(中華炒め)炊き込みご飯、生食(刺身)



    シラエビのかき揚げ 一般的に揚げ物にすることが多い。殻は薄いが煮ても強く煩わしい。揚げることによりこれが香ばしくなる。小さいエビなので、季節の野菜などと合わせて強火でさくっと揚げる。殻の香ばしさ、身の呈味性分からくる甘さがあいまってとてもおいしい。


    シラエビの唐揚げ ヒゲを取り、片栗粉をまぶし、さくっと揚げたもの。水分を飛ばしながら、殻を香ばしく揚げるのがコツ。殻の香ばしさが際立ち、筋肉は甘味が凝縮する。さくさくといくらでも食べられる。ビールに合う。
    シラエビの煮つけ さっと水洗いしただけで水分を切っておく。鍋に酒・しょうゆを合わせておき、さっとかき混ぜながら短時間煮上げたもの。ていねいに尾剣(尾にある棘)とヒゲを取ってもいい。手でつまんで気軽に食べてこそうまし。

    シラエビの炒め煮(シラエビと万願寺唐辛子の炒め煮) 本種のうま味を野菜と煮て生かすといい。ナスや竹の子にも合うと思う。野菜はいろいろ考えてみるといい。油を熱し、ヒゲと尾剣を取ったエビと甘長唐辛子(万願寺唐辛子)を絡めるようにいため、みりん(酒)としょうゆで味つけする。

    シラエビの卵とじ(シラエビの卵とじ丼) 卵との相性がとてもいい。鍋に少量の水・みりん(甘いのがいやなら酒)・しょうゆを煮立て、頭部のヒゲなどと尾剣を取ったエビを入れる。煮立ったら卵を溶き入れる。エビをどれくらい煮るかは好み。ご飯に合うのでそのまま丼にするといい。
    シラエビのだし(シラエビうどん) 富山県ではたくさん取れていたとき、安かったのでそうめんのだしにしたという。そうめんのつゆを温め、本種を入れて煮立てないようにうま味を出す。これを乾麺ゆでて温めたうどんにかける。ゆで麺なら温めるだけでいい。単純な料理ながら贅沢な味わいである。

    シラエビの炊き込みご飯 ヒゲと尾剣をていねいに取り、炊飯準備をした釜に入れて、酒・しょうゆ(塩でも)で味つけする。これを炊飯する。このとき薬味にしょうがやコショウを加えるといい。エビのうま味を吸ったご飯が非常にうまい。柑橘類が合う。

    シラエビの刺身 1尾ずつ刺身は身を押し出すようにして造るが根性がいる。この1人前で30分はかかる。非常に手間がかかる。やや単調な味わいで、少量食べてもあっけない気がするが、そのまま食べても、しょうゆをたらして食べてもいい。
    シロエビ、そら豆、竹の子シラエビの中華炒め 額角(頭部の先端)と尾節(尾)を取る。フライパンなどに油、しょうが、にんにくのみじん切りを入れて香り出しをする。ゆでたそら豆、竹の子、シラエビを一緒に入れてからめるように炒めて、中華スープ・酒・水を合わせたものを加えて塩コショウで味つけする。このまま炒めたら殻が気になった。もうひと工夫しないとダメだ。

    好んで食べる地域・名物料理

    素麺つゆ(そうめん) 富山県では昔、安かったときにそうめんのだしに使っていたという。シラエビ生を水から煮てだしを取り、素麺(うどんでも)つゆにする。[富山県魚津市などで聞き取り]

    加工品・名産品

    加工品 富山県では多種多様なものを作られている。生での流通は全体の10パーセントに過ぎず、素干しや煮干し、釜上げ、塩辛、総菜、菓子などの加工食品になる。
    シラエビの素干ししろえびの素干し ゆでないでそのまま干し上げたもの。から煎りしてそのまま食べてもおいしいし、そうめんや煮ものなどのだしにもなる。今は高価だが、古くは安かったのではないか。[富山県産]
    釜揚げシラエビしろえびの釜揚げ とれたばかりのシラエビを産地で塩ゆでして放冷したもの。冷凍流通しているが非常に高価だ。そのまま食べても酢の物に使ってもいい。[富山県滑川市]
    しろえびのむき身 お土産でも市場流通もしている。富山湾周辺で作られているもので、市場では比較的よく見かけるもの。
    しろえびの塩辛 生のむき身をもろみ、みりんと漬け込んだもの。
    しろえびの煎餅 米菓などお土産の菓子類にも使われている。富山県で本種が観光資源であることがわかる。

    手造り 白えび踊り漬 本種を調味料につけ込んだ、和風マリネだ。

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    ■菊池勘左右衛門(1896〜1979)がイタリアなどに送り、存在を知らしめる。
    ■水産博士・大森信(1937年生まれ)が研究、従来Pasiphaea sibadoとされていたものを研究、新種として記載した。
    ■1897(明治30)年に白えび漁場発見、1922(大正11)年漁業権取得の記録が残る。
    ■オキエビの仲間はスペイン、イタリアでもとっている。

    参考文献・協力

    『日本のエビ・世界のエビ』(東京水産大学第9回公開講座編集委員会扁 成山堂書店)、『原色日本大型甲殻類図鑑』(三宅貞祥 保育社)、『水産無脊椎動物Ⅱ 有用・有害種各論』(奥谷喬 恒星社厚生閣)
  • 主食材として「シラエビ」を使用したレシピ一覧

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