クサウオ

Scientific Name / Liparis tanakae (Gilbert & Burke, 1912) 

クサウオの形態写真

50cm SL 前後になる。吸盤があり、背鰭、尻鰭が非常に長く、全体が柔らかい。尾鰭近くに白い横縞がある。

    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★
      まずくはない

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カジカ亜目クサウオ科クサウオ属

    外国名

    学名

    Liparis tanakae (Gilbert & Burke, 1912) 

    漢字・学名由来

    漢字 草魚(漢字は当て字)。
    由来・語源 石川県宇出津での呼び名。石川県加賀地方ではつまらないもの、いやなものを“くさい”という語を使う。これが転訛して「くさいうお」から「くさうお」になった。意味合いは「つまらない魚」。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。水深50-133m。
    北海道奥尻島から山口県の日本海側、福岡県玄界灘、長崎県、鹿児島県獅子島、北海道〜紀伊半島の太平洋沿岸、紀伊水道、瀬戸内海、豊後水道、高知県以布利。
    朝鮮半島西岸・南岸・済州島、中国の東シナ海沿岸、台湾北部、黄海、渤海。
    希/ピーター大帝湾、千島列島

    生態

    基本情報

    国内、朝鮮半島や中国黄海沿岸などで揚がる。日本各地で利用されているものの詳細は不明。
    関東には福島県から入荷していたが、他の産地のものは知らない。相馬市原釜港では寒くなると、産卵回遊してきたものが刺し網などで大量に揚がる。それを皮を剥いて出荷している。
    皮付きのままでは売れなかったものともいえそう。
    基本的には煮つけなどで食べていたようだ。また下北半島西岸佐井村では素干しに加工して保存する。

    水産基本情報

    市場での評価 皮を剥いた状態で入荷してくる。非常に安い。
    漁法 刺し網
    産地 福島県
    クサウオの水揚げ風景福島県相馬市原釜漁港での刺し網の水揚げ風景。水揚げした岸壁ですぐに頭を落として皮を剥いてしまう。(2007年12月7日)
    クサウオの出荷前関東の市場では皮を剥いたものが見られる。産卵期で卵巣が膨らむと卵をつけたまま出荷。(2007年12月7日)

    選び方

    一般に皮をむいて入荷。剥いた身に透明感のあるもの。触って張りのあるもの。

    味わい

    旬は冬。
    鱗はほとんど気にならない。皮は厚く強く剥きやすい。骨は柔らかい。
    白身で筋繊維が弱く、熱を通すと身離れが悪い。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    クサウオの料理法・調理法・食べ方/煮る(煮つけ)、揚げる(唐揚げ)、焼く(コンブ焼き、塩焼き)、生食(刺身)

    クサウオの煮つけ 皮を剥ぐとともに内臓をとる。適当に切り、湯通しし、冷水に落として霜降りにする。これを酒・醤油・砂糖でこってりと煮る。身は繊維質ではなく身離れが悪く、ぼろぼろする。イヤミのない味であるが、調味料の味になってしまう。


    クサウオの唐揚げ 繊維質に欠ける身なので煮ても焼いてもぼろぼろする。揚げて食べるのがいちばんおいしいのかも知れない。皮を剥き、水分をよく拭き取り、片栗粉をまぶしてじっくり二度揚げにする。骨が柔らかいので丸ごと食べられておいしい。
    クサウオの昆布焼き 単純に塩焼きにしてもさほど美味しいとは思えない。昆布でしめて水分を抜き。昆布の味を足して焼き上げる。イヤミのない味で万人向きの味わいになる。
    刺身ポン酢かけ 福島県相馬市原釜漁港で聞いた「おろしポン酢和え」。鮮度のいいものを適当に切り、大根おろしとポン酢で食べる。鮮度がイマイチのものは湯通しして冷水に落として水分をきり、食べやすい大きさに切るといい。
    卵巣の醤油漬け なかなか手に入れにくい素材だが寒い時期なら抱卵固体であることが多い。これを80℃くらいの湯のなかでほぐして、しょうゆに漬け込む。意外にも卵粒にいい食感があり美味。

    好んで食べる地域・名物料理

    関連コラム(郷土料理)

    記事のサムネイル写真ぼんだらの干もの
    下北半島西岸では定置網や刺し網に混ざるもので、漁獲量がそれほど多くない。  基本的に皮をむき、そのまま素干しにする。強く硬く干し上げたもので塩分添加をしていな・・・ 続きを開く

    加工品・名産品


    干しぼんだら(干しなめあぶらこ) 下北半島佐井村では定置網、刺し網などでとれたものの皮を剥き、軒先などで素干しにする。これをあぶって木槌などでほぐして食べる。もしくは水で戻して煮て食べる。そのまま戻しやすく、あぶってもおいしく優れた加工品である。
    干しぼんだら(干しなめあぶらこ)あぶり 木槌などでたたいて、ほぐしフライパンなどでから煎りしたもの。非常に香ばしく、軽くほぐれて口の中で柔らかくなる。タラ類よりも味はいいと思う。
    干しぼんだら(干しなめあぶらこ)煮つけ 青森下北郡佐井村では、保存食で総菜には保存食で水で戻して煮る。水に半日つけて戻したがもっと短い時間でもいいようだ。戻したものを酒・砂糖・しょうゆで煮た。とても柔らかく、ほぐれ感が心地よくおいしい。
    剥きどんこ 2011年の東日本大震災までは福島県相馬市から入荷していた「むきどんこ」。刺し網などでとったものを漁港の岸壁などで皮を剥く。ぬめりなどのないきれいで使いやすい素材だ。

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『魚と貝の事典』(望月賢二 柏書房)

    地方名・市場名

    キツネ
    場所京都府舞鶴 参考文献 
    クマガイ
    場所北海道胆振 参考文献 
    チャーチル
    場所千葉県銚子 備考クサウオの頭部が大きく角張ったところがイギリスの首相、ウィンストン・チャーチルに似ているから。 参考『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版) 
    チローチル
    場所千葉県銚子 参考文献 
    グゾボ
    場所千葉県銚子市 参考文献 
    グズラボウ
    場所宮城県松島 参考文献 
    クサベ
    場所富山県滑川 参考文献 
    ババ
    場所島根県松江市恵曇 参考文献 
    ビクニン
    場所新潟県出雲崎 参考文献 
    アバチャン
    場所新潟県能生町 参考『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版) 
    クサウオ
    場所石川県宇出津 参考文献 
    カンテンウオ
    場所福岡県 参考文献 
    バゴ
    場所秋田県男鹿 参考文献 
    ゴデレ
    場所秋田県男鹿半島 参考文献 
    ゴンダラ
    場所青森県 参考青森県水産技術センター 
    ポンダラ
    場所青森県下北郡佐井村 
    ボンダラ
    場所青森県下北郡佐井村牛滝 参考20200225木下 
    ナメアブラコ
    場所青森県下北郡佐井村矢越 
    ミズドンコ
    場所福島県相馬市原釜 
    ゲンギョ ゲンゲ ゴデレ
    参考文献より。 
  • 主食材として「クサウオ」を使用したレシピ一覧

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