キサゴ

Scientific Name / Umbonium costatum (Valenciennes in Kiener, 1838)

キサゴの形態写真

殻幅3センチ前後になる。いわゆるカタツムリ形。螺層の上に4、5本の螺溝(筋)がある。

    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★
      美味

    分類

    軟体動物門腹足綱前鰓亜綱古腹足目ニシキウズガイ科Umbonium(サラサキサゴ)属

    外国名

    学名

    Umbonium costatum (Valenciennes in Kiener, 1838)

    漢字・学名由来

    漢字 喜佐古、細螺、扁螺 Kisago
    由来・語源 「きさ」とは木目のことで木目状の模様のある巻き貝の意味。
    「きさご」について
    〈幾左古 正字は未詳 思うに幾左古は状蝸牛に似ているが、厚く堅くて彩文がある。殻の中には寄居虫(ごうな/ヤドカリ)のような虫がいる。伊勢・尾張および東海の諸浜に多くいる。土地の人は虫を取り去って洗浄し、これを玩具とする。〉『和漢三才図会』(寺島良安 正徳3年/1713 東洋文庫 平凡社)
    Valenciennes
    アシル・バランシエンヌ(Achille Valencienne 1794-1865)はフランスの動物学者。ジョルジュ・キュビエとともに『魚類の自然誌』を刊行。国内で水揚げされる多くの魚を記載。

    地方名・市場名

    ネコメガイ
    場所福岡県福岡市能古島 
    ネッギャ
    場所長崎県雲仙市小浜町 備考ダンベイキサゴである可能性もある。 参考佐藤厚さん 
    マサハジキ
    場所鹿児島県阿久根 備考子供が「おはじき」にしたためについた。 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 
    ナガラミ ナガラメ
    場所関東の市場 備考「ナガラミ」。また「ナガラメ」と呼ぶ地域が多い。 

    生息域

    海水生。
    北海道南部から九州の砂地に棲息。

    生態

    基本情報

    流通するキサゴ類はダンベイキサゴとキサゴ。
    ともにあまり多くはないが、キサゴはダンベイキサゴと比べても少ない。
    比較的ローカルな、しかも地味な存在で、ほそぼそと各地で楽しまれている。
    また「まさはじき」の呼び名は、貝の中でもよくオハジキ(お弾き)にして遊んだからだ。

    水産基本情報

    市場での評価 愛知県などから入荷してくる。量的には非常に少ない。値段はやや高め。
    漁法 不明
    産地 愛知県など

    選び方

    原則的に生きているもので、足などを盛んに出して動いているもの。

    味わい

    旬は春から夏。
    貝殻が薄く、身(可食部)は多い。
    熱を通すとやや硬くなる。
    ダンベイキサゴ、キサゴは共通。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    キサゴの料理法・調理法・食べ方/煮る(塩ゆで、しょうゆ煮)
    キサゴの塩ゆで
    キサゴの塩ゆで キサゴの仲間はあまり火を通しすぎないのがよい。陶器などの器に塩と入れて熱湯をそそぎ、しばらく蓋などをして待つ。ほどなく待った後、その湯の中で身を洗いながら食べる。また大型は鍋で1分ほど煮て鍋止めをする。ともに煮た汁ごと供する。
    本種のいちばん嫌われるのが砂をかんでいるものの多いことであるが、これを器の湯で洗い落として食べる。
    個人的には単にゆでる方がうまいと思うが、醤油味で煮てもおいしい。
    産地ではゆでたものを、酢の物にしたり、佃煮とする。これらもとてもうまい。

    好んで食べる地域・名物料理

    関連コラム(郷土料理)

    記事のサムネイル写真ナガラミの料理法
    ガラミとして流通する多くがダンベイキサゴ、めったには来ないもののキサゴも流通したことがある。 キサゴは内湾など波の穏やかな場所にいる。ダンベイキサゴは九十九里・・・ 続きを開く

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    おはじき はじき(御弾、お弾、オハジキ)は、大言海に〈細螺ノ介殻ヲ指先ニテ弾ク、小兒ノ遊戯〉とある。古くから浜の落ちている貝殻の美しい物を拾い、指ではじいて遊んだものとある。そのもっともよく遊ばれた巻き貝が本種などキサゴ類である。
    〈この頃のこどもはどうか知らないが、年配の方なら大てい小さいころ、キサゴ(標準和名のキサゴ)のおはじきで遊んだ記憶がおありだろう〉。『原色・自然の手帳 日本の貝』(奥谷喬司、竹村嘉夫 講談社 1967) 奥谷喬司は1930年福岡県北九州市門司出身。

    参考文献・協力

    『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)、『日本語源大辞典』(小学館)
  • 主食材として「キサゴ」を使用したレシピ一覧

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