オヨギピンノ

Scientific Name / Tritodynamia horvathi Nobili, 1905

オヨギピンノの形態写真

甲長9mm、甲幅13mm前後になる。甲は横長の六角形。写真は遊泳期で第1・第2歩脚には後方に、第3・第4歩脚には前後に長い毛が生えている。[雄]
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甲長9mm、甲幅13mm前後になる。甲は横長の六角形。写真は遊泳期で第1・第2歩脚には後方に、第3・第4歩脚には前後に長い毛が生えている。[雄]甲長9mm、甲幅13mm前後になる。甲は横長の六角形。写真は遊泳期で第1・第2歩脚には後方に、第3・第4歩脚には前後に長い毛が生えている。[雄]甲長9mm、甲幅13mm前後になる。甲は横長の六角形。写真は遊泳期で第1・第2歩脚には後方に、第3・第4歩脚には前後に長い毛が生えている。[雌]甲長9mm、甲幅13mm前後になる。甲は横長の六角形。写真は遊泳期で第1・第2歩脚には後方に、第3・第4歩脚には前後に長い毛が生えている。[雌]
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度


      食用として認知されていない
    • 味の評価度

      ★★★
      美味

    分類

    節足動物門甲殻上綱軟甲綱(エビ綱)真軟綱亜綱(エビ亜綱)エビ上目十脚目短尾下目スナガニ上科オサガニ(Macrophthalmidae)科Tritodynamiinae亜科ヨコナガピンノ属

    外国名

    学名

    Tritodynamia horvathi Nobili, 1905

    漢字・学名由来

    漢字/泳ぴんの Oyogipinno
    由来・語源/酒井恒の命名。群泳する性質があるためと、今はオサガニ科だが、古くはカクレガニ科(Pinnotheridae)だったので「ピンノ」となった。
    倉場富三郎はトウヨウムツアシガニ。
    酒井恒はコウダカヨコナガ。
    T.Sakai
    酒井 恒(さかい つね 1903-1986)。動物学者。カニの研究で知られ。『日本蟹類図説』などの著書がある。

    地方名・市場名

    ミロクガニ
    場所有明海 
    サバガニ
    場所東京湾 参考酒井恒 
    ミロクガネ
    場所長崎県雲仙市橘湾沿岸 参考佐藤厚さん、竹下敦子さん 

    生息域

    海水生。
    東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、有明海、八代湾、橘湾。
    韓国鎮海湾、中国山東省。

    生態

    10年から20年周期で5月〜8月にかけて、内湾などを大きな群れを作り遊泳するが、7月〜8月が盛期だ。
    チンチロフサゴカイに寄寓。

    基本情報

    三宅貞祥は〈有明海で漁業者はミロクガニと呼び、10年・20年周期で大発生し、群泳は豊漁の前兆であると信じ、古くから漁業者の言い伝えがある。〉とある。
    また三宅貞祥の弁として、〈このカニがミロクガイ(有明海でのハイガイの呼び名)またはサルボウの外套腔にすむと考えられていたことで有明海沿岸ではミロクガニと呼ばれている〉。
    有明海などで群泳するオヨギピンノは食用とはされず、鶏の飼料や畑の肥料になっていた。
    食べ方によってはおいしいのだけど、ふだんはまったく現れず、ときに大発生するのでただの漁の時の厄介者としかみなされなかったようだ。

    水産基本情報

    市場での評価/流通しない。
    漁法/巻き網など
    産地/長崎県

    選び方

    触って粘液などの出ていないもの。

    味わい

    旬は不明だが5〜8月、10月・11月に群泳する。
    殻は柔らかい。筋肉はほとんどない。
    ゆでて噛むと微かに脂の甘さを感じる。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    オヨギピンノの料理法・調理法・食べ方/汁(塩味、みそ味)、揚げる(素揚げ)

    オヨギピンノのみそ汁 生を流水でよく洗い、仕上げにザルなどに入れてざくざくと洗い上げる。水分をよくきり、水から煮出す。これではほとんどだしが出てこないので、しゃもじなどでつぶしながら火を入れる。ザルで濾す。鍋を替えて少量の酒とみそで味つけをする。濃厚な味わい、強い甘味が感じられる汁になる。

    オヨギピンノの汁 生を流水でよく洗い、仕上げにザルなどに入れてざくざくと洗い上げる。水分をよくきり、水から煮出す。これではほとんどだしが出てこないので、しゃもじなどでつぶしながら火を入れる。ザルで濾す。非常にうま味が強く、どことなく脂があるように思う。これに塩味をつけただけでも甘味のあるおいしい汁になる。
    オヨギピンノの素揚げ 非常に小型なので筋肉を食べるわけにはいかない。よく水洗いして水分をきり、低温からじっくりと揚げる。揚げすぎると苦くなる。とても香ばしく、なかから甘味のあるエキスが染み出してくる。フタホシイシガニと同様に利用できそう。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品


    オヨギピンノの煮干し 長崎県雲仙市でエタリ(カタクチイワシ)に混ざって塩ゆでになったもの。殻が軟らかいのでこのままでも食べられるが、ややうま味にかけて飽きてくる。





    オヨギピンノの義助煮風 義助煮は小魚や小さなエビなどを干して甘辛く煮たもの。これを干すと出来上がる。ここでは煮干しをフライパンでから煎りして、醤油とみりんをかけて味つけしたもの。義助煮よりも単純で作りやすい。醤油とみりんのうま味と、ほどよい塩分で実においしい。

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/天洋丸(長崎県雲仙市 ■http://tenyo-maru.com/index_qhm.php?)
    『原色日本大型甲殻類図鑑 Ⅰ、Ⅱ』(三宅貞祥 保育社)、『オヨギピンノの生活史Ⅱ』(松尾美好)
  • 主食材として「オヨギピンノ」を使用したレシピ一覧

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